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宇宙コンポート
1
耳 包む うぶ毛 は
ベルベット
揺らめいて
揺らめいて
夏になる
なめらか 曲線 描く 額
汗だけを
焼き残して
焼き残して
秋となる
だから
しかし
まだ
いつか と
言っているまに
小さい手を すり抜けて
とろりと混ざるのは
宇宙のコンポート
飲み干すには
まだ青い
回転するのは きっとそう
往生際が悪いから
スプーンで混ぜるのは
宇宙のコンポート
いつまででも
ぐるぐると
時間を稼いでいるのです
2
空 空 見て 空
笑う歯の
隙間から
隙間から
冬がくる
雪 積もる まつ毛 は
つやめいて
一瞬のち
春の風
あのね
わたし
わたし、
わたしね、と
言いあぐねて
息を吸うけど もう遅い
とろりと混ざるのは
宇宙のコンポート
飲み干すには
まだ熱い
もうすこし ぬるくなったら
それまでは それまでは
とろりと混ざるのは
宇宙のコンポート
飲み干すには
まだ青い
回転するのは きっとそう
往生際が悪いから
スプーンで混ぜるのは
宇宙のコンポート
いつまででも
ぐるぐると
時間を稼いでいるのです ほら




