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白い腹
1
分厚いガラスに隔たれた
場所にひとりで立っている
喧騒は聞こえず
かわりに囁きも届かない
時折曇るので文字を書く
何語なのかは分からない
白い腹を見せて
無防備に散るのは ああ、きっと
今まで書いた文字なのだ
都合が良いよな「大丈夫」なんて
人々の群集は いつでもぼんやり黒くって
焦点が合わずに 虚像を結んで
誰が誰だか疑わしい
平気な顔をする以外に
「大丈夫」の表し方を知らぬのは
私が悪いからなのだ 多分
2
知らないところに行くならば
必ず何かを手に入れる
深い深い音がする
こちらの側から音がする
潜るように絵を描く
呼吸が途切れてしまわぬように
白い腹も護らず
無防備に走るのは そう、ずっと
無知なりの足掻きであった
都合が良いよな「大丈夫」なんて
人々の群集は いつでもぼんやり黒くって
焦点が合わずに 虚像を結んで
誰が言ったか疑わしい
平気な顔をする以外に
「大丈夫」の表し方を知らぬのは
私が悪いからなのだ 多分
でも 美しいことよ 傷付くのは
どこからともなく聴こえた声は
誰の言葉であったろう




