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私、元カレの猫になりました。【800文字SS】

 カレが帰ってきたわ!

 私はとととと駆け出して玄関に向かう。

 そして、玄関ドアを睨みつけるの。


 カチャリとドアが開く。


「マリーちゃん、ただいま♡」

「にゃーん」


 私はカレのズボンに耳の裏をこすりつけながら、八の字にくるくる回る。

 こうして私の匂いをたっぷりと擦り付けるの。


 うふふ、これで他のオンナは警戒して寄ってこれないはずよ。

 

「マリーちゃん、今日は特売品の猫缶ですよー、楽しみですねー」

「にゃーん」


 普段はドライなんだけと、ときには缶詰もいいわね。

 プチンという音が鳴ると、つい耳がピクッと動いてしまう。


 お皿に盛られた猫缶は安物の味がした。

 だから私は床を前足でスリスリ……スリスリ……スリスリ……

 そして、カレを睨み上げる。


 「あっ、あれ? 美味しくなかったの?」

 「にゃーん」


 おろおろと狼狽(うろた)えているカレ。



 そう、これが私の復讐なの。



 風呂上がりにビールを片手にサッカー中継を見ているカレ。

 私は本棚の上からその様子をじっと観察している。

 時々、思い出したようにカレが振り向く。


「マリーちゃん、こっち来て来て~♡」


 膝をポンポンして私を誘うが、私は行かない。

 耳だけをピンと立て、目を細めて睨み付けるの。

 ついでに喉をゴロゴロさせて威嚇してやる。


 カレは目を細め、少しがっかりした表情になった。



 そう、これが私の復讐なの。



 深夜、私はカレのベッドに潜り込む。

 仰向けに寝ているカレの肩に上体を乗せ、耳元で喉をゴロゴロ鳴らす。


「う……ん。あ、マリーちゃん……」

「にゃーん」


 安眠を妨害されたカレは、掛け布団に隙間を作り私を招き入れる。

 私はころんと横になり、カレの太ももを両手で交互に押す。

 何度も何度も何度も、ゴロゴロ喉を鳴らしながら押すの。

 ふにふに、ふにふに、ふにふに、ふにふに。

 そして、ときどき爪をきゅっと出すの。


 今夜もカレは寝不足になるはず。

 


 そう、これが私の復讐なの。

 


 カレの浮気のせいで大喧嘩した私は家を飛び出し、トラックにはねられそうになって川に飛び込み、溺れそうになったところを偶然通りかかった親切な老人に助けられ、なんとその老人が神様で、私を猫の姿に変えてくれたことによって、私の復讐劇は幕を上げたのである。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 続きが読みたいです。 [気になる点] 続編を求めます。 [一言] 本当に続きはどこですか?(しつこくて失礼いたしました 復讐は猫人生が終わるまで彼の貯金をむさぼり、死んでもなお彼の心の中…
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