私の夢3
入院中!!
真っ暗な空間。
『私』はそこにいる。
『私』は疑問なんて浮かばない。
だって、これは夢だと知っているから。
『私』の前には、標本が2体並んでる。
板に乗せられ、宙に浮いてる。
これが何かはもう知っている。
だって、これを『私』は毎日見ているの。
それは……その標本は……私。
1つは私が前を向いてる標本。
私の目は、光を映さない。『私』が死んでるようで怖かった。
『私』はそれから目をそらし、もう片方をそっと見る。
その私は背中向いてる。
『私』に見えるのは背中だけ。
さっきと違って怖くない。
いつの間にか、『私』の手は大きな大きなピンを握ってた。
標本に使うみたいなピン。
これから『私』は私を標本にするの。
だって、『私』は始めから私たちを標本だと思っているんだもん。
私たちは標本にされなければならないの。
『私』の腕があがってく。
『私』は嫌だ、嫌だと叫んでる。
それでも、『私』の手は止まらない。
『私』は私たちを刺していく。
首、肩甲骨に腰、胸、肘、膝。
そしたら、そこから黒い物が出てきたの。
少ししか出ない所もあるけれど、いっぱい出てる。
ドロドロ、ウネウネ。
『気持ち悪くて怖いもの』
そいつらが、私たちから出てくると、苦しんで苦しんで、消えていった。
そして『私』が私たちを見たときに、私たちは笑ったの。
とっても、スッキリしたように。
私たちは標本から人間になった。
さあ、これで終わり。
夢が覚めるよ。
『私』は待ったけど、夢はまだ覚めない。
どうして?このままじゃ『私』は疑問に思ってしまう!
はやく覚めて!覚めて!!覚めてえ!!!
あああああああ、出てくる!出てきてしまう!
「『私』はどうなの?」
わからない。だって、知らないから。
ここにいるのは、私たちと『私』。
今は私たちが羨ましい。
『私』は、私たちを刺すのが嫌だった。
だって、刺しちゃったら治るもの。
私たちを蝕んでるものが出ちゃうから。
『私』はまだ、治らないのに。
羨ましい。羨ましい。うらやましい。うらやましい。うらやましい。ウラヤマシイ。ウラヤマシイ。ウラヤマシイ。ウラヤマシイ。ウラヤマシイ。ウラヤマシイ。
はやく『私』は私になりたい。
友人Nは、言った。そう、「カエル」
あー、ね。