14頁、15頁、16頁 日記の日記
今日は私《日記》が主様の1日を記す。
主様は通常玉座と言われる場所で眠っていた。
白いシャツにオレンジのカーディガンを羽織っていた主様を、横から目を通すとショーツが丸見えである。スカート履けよ。
主様は起き上がって
「城に誰かが入ってきた」
と呟くと、どこからともなくスカートを取り出して履いた。
勢いよく目の前の扉が開かれた。
この空間に、中肉中背の青年、深くフードを被った者、修道服に身を着込んだ少女が入ってきた。
中肉中背の青年が言った。
「お前が魔女か、街に依頼が出ていた。村の女を返してもらうぞ!」
勇者が素早い攻撃を主様に仕掛けてきた。
主様は寝起きだったためか、青年の攻撃に対応が遅れた。
何かが切り落とされる音がした。
青年の腰巾着が「勇者様さすがです」と声を上げた。
男は勇者だった。
切り落とされたのはイムルだった。
主様を庇ったイムルは、真っ二つにされた。
イムルは僅かだが、主様とお祖母様の複合魔法で生成されている。
主様は無意識にイムルを現世に残された、お祖母様との繋がりと思っていた。
主様の中の何かが切れた。
ブチッと。
勇者はイムルを切り落とした体制のままだった。
動けないのだ。目の前にある存在に気押されて。
主様の眼が開かれた。その瞳は勇者を捉えた。
そして主様は手に、白くもドス黒い光の剣を生成すると、勇者にそれを振り下ろした。
束の間、風が勇者を動かした。
勇者は割れた。縦に、左右対称に、割れた。
勇者の血が、壁や床に化粧を施した。
城に腰巾着の絶叫が轟いた。
主様が腰巾着らに問いかけます。
「貴様らは、その抱き抱えた杖で何をするつもりだった?右は体を、体の中から焼き尽くし、左は体を巡らす血をふっとさせるぞ?」
腰巾着は答える前に気を失いました。
主様は、瞳の力で解を吐かせなかったのでしょう。
主様はその場を放ったらかして、返り血を洗い流すべく、風呂へと向かいました。




