表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

09-魔法少年の校内活動

 長く苦しい戦いだった。ゆーき少年一行は、伝説の聖なるショットガン(人体には安全な弾丸を使用しています)を、萌えゾンビの首領に叩き込んで、この災害に終止符を打ったのであった。

 しかし、これは、彼らの伝説の最初の一歩、ほんの序章に過ぎないのであります!そう、彼らの冒険はこれからだ!

 ゆーき少年の今後の活躍にご期待くださ、さささッッ、いて、イタタタ、痛い、いやほんと痛いから、やめてください。なっちゃんさん。


「いい加減なことを言わないでください、皆さん、本当に行間で解決したのかと思って、混乱するでしょう!」痛いですよ、なつみちゃん。

 だからと言って地の文に物理的にツッコミを入れないでくださいよ、油断してたから、結構痛いです。

「いや、油断とか、それ以前に、普通は、地の文にツッコミとかありえないと思うのですが」

ゆーき君いいこと言った。そうですよ、皆さんにはもっと常識ある行動を期待したいものです。

「ええと、お前が言うな?って言えばいいのかな」地の文は、力強くサムズアップしますよ。

「だから自重しろヨ」なんだかリカルド君に言われると、堪えますな。


閑話休題


 「閑話から始まるお話というのも新しい、のかなぁ」

 そうですか?意外と多そうですけどもね?



 教室へ立てこもってから、数十分が過ぎました。相変わらず、透明な壁の外側には萌えゾンビがウロウロしています。

「やっぱり、外部との連絡は取れないですね」ゆーき少年が手元のデバイスをいじりながら、話します。校内への、プライベートな端末の持ち込みは、そもそも許されているわけです(もちろんゲームとかしてはいけませんけどね、建前上)そもそも分離が難しい生徒が大半なわけですし。

「アー、最悪のパターンだと、校外もこんな状況なのかもヨ?」

「どうかな?それにしても、完全自動型のネットワークまでも接続できなくなっているのは変だと思うけど」

「電子的なパーソナリティにも感染してたりネ」冗談めかして言うリカルド君ですが。

「ありえない、と言い切れない状況なのですね」真面目に答えるゆーきくんです。

「勘弁してください」とほほと、情けない顔のなつみちゃんです。


『今回も、数日前の山道での盗賊との絡みやら、ドラゴンの襲撃やらの状況と同じ、匂いがするのです。なら、”変身”して、かいしんのいちげき、とかすれば解決しそうなのですけど』内心呟くユーキ少年ですが。


「うーん、みんなの前で?それはちょっと、というか、かなり、恥ずかしいなあ」口に出して、呟くゆーき少年です。

「「??」」疑問符を浮かべる、リカルドとなつみちゃんでした。


「せっかく、萌えゾンビのサンプルが目の前にあるのですから、まずはそれを調べてみればいいんじゃないかな?」ゆーき少年は、みんなに提案します。クラスメイトの生き残り(他の生徒も死んでませんが)と、リカルドくんなつみちゃんも、同意します。

「柿崎くん、僕のはなすことわかるかな?」ゆーき少年は拘束された大柄な少年に話しかけます。

「も、モエ?モエエエエエエ」小首を傾げて、尋ねる、可愛い、ゆーき少年の様子に、心のどこか、そう琴線に触れたのか、少し興奮して叫び声をあげます。

「アー、イチオウ反応アるみたいだネ」リカルドが、ゆーき少年の肩に首を乗せつつ、引っ付いて言います。

「ビビビビビエエエエエルウウルルル!!」大興奮しているのは、ゾンビについて語ろうとしていた、もと女子生徒の萌えゾンビです。

「うわ、笹原さんが反応してますね?どうしてでしょうか?」純粋に、疑問に思っている、ゆーきくんをよそに、密着度を増そうとしているリカルドくんを、蹴りとばしているのは、なつみちゃんです。

 ゆーきくんが、ふと周りを見ると、教室外の萌えゾンビもゆーき少年とリカルド少年の絡みを注視しているようです。

「なんだか、僕と、リカルドくんが近づくと反応が大きくなるみたい?」

「ドレドレ」なつみちゃんの蹴り技コンボをかいくぐりつつ、リカルドくんゆーき少年に大接近です、ほおを寄せ合ってスリスリですね。ゆーき少年の陶磁器のように、白い肌と、エボニーなリカルドくんのエキゾチックな肌、そのコントラストが良いですね。

 少し、顔が赤くなって恥ずかしがっているゆーき少年と、悪戯っぽく笑う、小悪魔的な、彫りの深い国籍不明なこれまた、怪しい魅力なリカルド少年。戯に、唇をそっと近づけたりなんかしたりすると、周囲から悲鳴が聞こえてきます。実際には、触れていませんが、角度的には、直接唇どうしが触れているようにも見えますね。

 萌えゾンビ以外のまだ無事な生徒からも悲鳴が、それも嬉しい方のそれが聞こえてきたりしていますわけですが、当然、瞬時になつみちゃんの蹴り技がリカルド少年へと、炸裂していくわけです。ここはうまく蹴り技を食らって、漫画のように吹き飛ぶ少年でした。


 と、過度なスキンシップを眼前で見せつけられていた、柿崎少年と、笹原さんですが、なんというか、感極まって、泣き始めてしまいます、そして、そのまま幸せな表情を浮かべたまま、ばったりと床に仰向けに倒れてしまいます。

「オヤ?」慎重にそれを観察しているリカルドくんですが、ぽむっという可愛い音とともに、周囲にカードが数枚、散らばります。

「何でしょうねこれ?」なつみちゃんが、直接触らないようにして、床に落ちたそれを観察しています。


 そこには、なつみちゃんには分からない言語で書かれた文字がありました。ただ、カードの上部は絵が描かれていたので、その描写を口に出します。

「ゾンビ?の絵かな」そこには、虚ろな目でもって、墓場を徘徊している、不気味な人型クリーチャーが暗いタッチで描かれていました。

「もう一枚ハ、メガネをかけた少年や、夢見る乙女?かなこう変な笑いヲ浮かべて、いる人物の絵が描かれているネ」リカルドくんも見て言います。

 ゆーき少年は、それらを手にとって、調べます。以前に見た文字ですね、山間で山賊や、村長になっていた人から出てきたり、帰宅時の竜襲撃時に、手に入れた、カードと同じものに見えます。


 それらにはこう書かれていました。


 ゾンビのような絵が描かれたカード


 『ゾンビ的存在』『分類=役所:動的な障害、罠、仕掛け、状態変化、思考停止』『特性:接触感染、病原菌のように、周囲のその役所以外の存在に、激しく触れるとその存在を同族に変化させる。行動指針としては、自己増殖に対する欲求と、ある一方向への思考誘導によって、行動が規制され続ける。付与される特性によっては、動く死体、死に損ないなどの特性が加わることがあるが、単独だと、元になった存在の生理情報が維持される。基本理性的な行動は行えず、単純な思考(嗜好)に支配され、行動はそれに縛られる。例:シャワー室に一人になったヒロイン(使い捨て枠)を必ず狙う。異性(稀に同性)の同族の番を積極的に狙うなど(リア充爆発しろ的思考)、など。 セリフ例:ウリリリリリリィ。』

 右下の数字は『2/2』でした。


 メガネ男子、妄想女子?が描かれたカード。


 『腐敗した状態の趣味嗜好を増大する』『分類=付与(主に役所に追加される)、性格、嗜好、状態異常、喜劇要素(大)稀に悲劇に』『特性:役割や、場面に付与される。対象は非生産的な恋愛や、常識を越えたところにある趣味嗜好的要素が強制的に増大させられる。喜劇的な空間を作り出すことが主題であるが、登場人物のチョイスによっては、精神に致命的な傷跡を残すこともある場面を作成することも可能となる。例:まっちょの軍団に使用する場合。注意)以下の事例は年齢制限がある情報です、閲覧されるかたは18歳以上でしょうか? はい/いいえ 。

 

 情報は展開せずに読み進めるゆーきくんです。


 精神に由来する状態異常であるので、大きな衝撃をその心に与えることで、その状態を解除することが可能。例:妄想を看破し、現実を突きつける(注意:さらに引きこもる可能性あり)。次例:妄想を極限まで体現、経験させて、達しさせる。悟らせる。圧倒的に満足させてみる。」

 

 声に出して読んでいた、ゆーき少年ですが、周囲の空気が変化していることに気がつきません。


「ううん、結局どうして治ったのかがわからないです」首をひねるゆーき少年。

「それハつまり、もっと僕らが、いちゃつけばイーンダヨ!」擦り寄ろうとするリカルド少年。

「やらせないよ!」それを阻止するなつみちゃんです。

「???どうして僕とリカルドがくっつくと治るの???」やはり分かっていないゆーき少年でありました。

 周囲のクラスメイトは、あー、て顔で納得していますね。


「柿崎くん、萌えゾンビから戻ったということは、そういう趣味もあったんだね」

「意外よね」

「笹原さんは、まあ、そうゆう要素もあるキャラだったかな?」

「オカルト一辺倒ではなかったということですね」

 冷静に状況を確認していく背景のクラスメイトたちです。ああ、柿崎くん、笹原さん、君達の知らないうちに、あなた達の趣味が暴露されていますよ?

「でも正直、その手の趣味がなくっても、ちょっといいわよね、二人の絡みとか」ぽつりと呟いている少女さん。

「あー、わかる気がするよーな、わかりたくないよーな。ただ、一方的に柿崎を変態扱いできる感じはしねーなぁ」ポリポリと、頭をかきながら、別の少年が言います。


「うーん、何が?うわ、腕が動かないんだけど?これ」

「ちょっと、動かないでよ重いよ」  

 あ、拘束状態でまとめて隔離しておいた、柿崎くん(大柄男性生徒)と、笹原さん(オカルト映画好き)が正気に戻ったようですよ。


「うん、お前の本性がそうであっても僕は友達を続けるよ、ただ、それ以上は無理だからね」男の子のクラスメイトがちょっと、優しい笑みを浮かべながら言います。

「笹原さん、今度いろいろお話したいんだけどいいかな?」女子の数人が笹原さんに声をかけます。

「「???」」

 なんだか、クラスメイトの生暖かい視線が注がれている状況に、盛大な疑問符を浮かべている、お二人さんでありました。

 青春ですね。


「つまりネ、ぼくとゆーきが、イチャコラするト、みんなショックで元に戻るのサ!」

「そんなに気持ち悪いのかな?」ちょっと嫌そうな、憂を帯びた表情もキュートですねゆーき君。

「逆ネ、むしろキモいいーヨ、僕らもよくなろうヨ!」ちょっと怪しげな手付きのリカルド少年です。

「やらせないよ!」もはや、殺気が形になったような鋭い蹴りを放っているなつみちゃんですね。

「でも他に手はないヨ、ここは僕らが身を呈しテ、くじジュウジのお尻だんを持って、ゴーするシーンネ!ゆーきももう覚悟完了してるネ!」

「『苦渋の決断』かな?えーと、うん、それしか手がなさそうなら、僕は(どうなっても)構わないよ」ちょっと体の前で拳を握って宣言するゆーき少年です。

「オウ!好きにして発言イタダキマシタ、キタコレ、これでカツルヨ!」

「黙れこの変態!」

「ダマルのはなっちゃんさんね!相手ができるのは僕しかいないヨ!」

「私がやるわよ!」反射的に答えるなっちゃんさんです。

「ホワィ?」うろんな表情になるリカルド少年です、そして、小柄なというか、まるで幼女のような体型の小リスちゃん的少女を見下ろします。

「確かニ、ある一定方向のニーズを満たす、プロポーションではありますネ!」

「身体のことはゆーな、というか見るなこの変態男子!」

「別に、僕は女の子というか子供には興味はないヨ?」

「同い年だろ!」

「だから、子供だロ?」不思議そうな表情をするリカルド少年です。

「ゆーきもだろうが!」吠えるなつみちゃん。

「だからいーんじゃなイカ」澄み切った笑顔です。

「おまわりさんこっちです!じゃない、首尾一貫してないじゃないか!」

「ゆーきはその存在自体すでに超越しているから、少年とか、子供とか、そういうカテゴライズ自体がナンセンスなんだヨ?ゆーきは、ゆーきであるからこそ愛らしいのですヨ」

「お前何処かに噛み傷ないか?」

「完全無欠な健康体ネ!」きらりんと歯を光らせて、サムズアップ。

「なお怖いわ!」


「えーと僕無視されているのかなぁ」

「そんなことないヨ、むしろ世界の中心はゆーきだヨ」するりとなつみちゃんの蹴りわざをかいくぐって抱きつくリカルド少年です。

「だから抱きつくな!」

「羨ましイ?」

「そうだ!」勢いで答えてしまって、次の瞬間、真っ赤になる小リスちゃんですね。可愛いなあ、と周囲のクラスメイトも見守っています。

 ゆーき少年は気がついていませんが。

「えっとなつみちゃんもくっつく?」あまつさえ、両手を広げてウエルカムな姿勢になったりしますけど。あーなつみちゃん、顔がさらに赤く、そして、熱くなっていますね。

「ば、ばばばばばばか、で、できるか、恥ずかしい」

「そう?リカルドや男子とはとはよくやってるし、クラスの女子も結構引っ付いてくるよ?」不思議そうな表情なゆーき少年です。

「ううう」周囲のクラスメイトの女子を睨みつける、なつみちゃんと、明後日の方向へ、視線をそらすクラスメイト女子の面々でした。


***

 

 さて、相も変わらず、お話が進む様相がありません、そろそろ未登場の萌えゾンビのボス的存在があくびをしている気がします。

「いや、結構二人の絡みを見て、楽しんで(興奮している)いるよ?」さいですか。

 しかし、ここには特殊な嗜好を持つ存在しかいないのでしょうか?日本の未来は結構明るいですね。(お前がいうな的発言は狙っています、長距離射撃ですね、つまり狙いが遠いわけですね、つまり、あれ?どういうことだろう?)


 

 よくわからなくなってきましたので、仕切り直すためにも、ここらで次回へと続きます。 



 











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ