44-魔法少年と人工知能の反乱
「「「続くのかよ!」」」
冒頭からいいツッコミですね、一応コメディと銘打っていますので、終わる終わる詐欺は伝統芸ではなかろうかと?
「嫌ナ伝統だナ」好きな方も一定数いるようですけれどもね?ともあれ、タイトルで遊ぶのは終わりましたので、下記が正式な最終タイトルとなります。
44-魔法少年とカーテンコール
「なるほど、エピローグ的なことをするのですね?」なっちゃんさんが納得しているのが少し物足りませんが、どうでしょうね?ちょっと語り足りなかったとか、説明不足であったところの補足とかするようになるような、そうじゃないような?
「最後までこうですか」あ、ため息をつくと幸せが逃げますよ、れーねいさん。
”箱舟”創設時の美少女科学者さんの、作り上げたシステムですが、これは今後も問題なく、ある意味大きな問題はありますが、まあ、そのような世界になってしまっていると納得していただいて、稼働し続けていきます。
「そこの所をもう少し詳しく説明してくださいませんか?」了解しましたなっちゃんさん。
この”箱舟”の時間の流れと、外の流れはおよそ1:500から1:1000ほどの振れ幅で推移しています。現象の原因はキーワード、ウラシマ効果で検索してください。
もともと”箱舟”計画は、文化の動態保存をするために立案、実行されました。参加する人員は基本的には有志です、私たちがいる”箱舟”は当時の既存の勢力が行っていた権力争いにいやけがさした、とある有志連合が、計画途中で乗っ取った機体ですが、計画参加の人員の意思確認はできています。
中心となったのは、当時計画の主任研究員、を、影で操っていた、とある謎の美少女科学者と言われていますが、その正体は本人にきつく口止めをされているので、口が裂けても言えません。
「はいはい」
通常、光速に近い速さで、虚空、この場合は、障害物が極端に少ない、安定した宇宙というくらいの意味ですが、を驀進している船と、時間の流れが違うその他との情報のやり取りは難しいのですが、気になっていたアニメの続編やらがリアルタイムで視聴したい、というなんともご立派な動機で光の速さを超える情報伝達システムを、くだんの美少女科学者が開発しました。
「頭痛いですね」「ほっといてください、というか引きが凶悪すぎたのですよ!」
同時に、かねてより温めていた、”人”社会のバックアップや、文明の発展やら、社会構造の推移やらを、リアルタイムで観察する実験も、いい機会だからと軽い気持ちで実行に移されたわけです。
「いちばんのネックだった、実験結果がこの目で確認できない、という問題点は、”箱舟”と”超光速通信”でクリアされましたしね」
環境改善とか、人類創造とかはそれほどネックではなかったと、おっしゃる点がさすがでございますね。
「そうですね、その辺りは資源を確保できれば問題ないですし、そのための自動機械とか人工知能とか、とかく時間がかかるけれどルーチンワークで乗り切れるシステムは早くに開発できていましたしね、ええと当時の美少女科学者が、やったことですが」
はいはい、それでですね、ある程度の文明をスタートできるシステムを組み込んだ”種”と呼ばれるユニットを宇宙各地にばらまいた、と。
「いまだに拡張とかAIの自己成長によるバージョンアップで機能を効率化したり、進化させたりしている、”種”射出の母機が健在ですので、現在進行形でバラマキ続けていますよ」
飽和しませんかね?
「射出頻度はさすがに外世界で数年に一度とかですし、環境改造に適した場所も少ないですから、さすがに飽和するほどにはならないですね、最近母機そのものも増えたみたいですけど、やはり光速を超えて移動する手段が完成するまでは、あまりその手の心配をする必要はないのではないでしょうかね?」
そうですか。種発祥の文明同士が出会うとかはあるのでしょうかね?
「確率は低いですかね?一応考えて射出していますし。時間的にもその”種”どうしずれてたりしますから」
というと?
「適度に滅亡している文明とか?生存圏とか?もあるので、なかなかねー。文明の開始レベルを色々調整しているからというのもありますね、さすがに滅びるしかないような環境設定はしていませんけど、結構無事に最初のブレイクスルーを突破できる文明は少ないですね」
「今のところどの程度の”種”世界があるのです?先輩?」
「うーん、およそ生きている世界が1000いくかいかないか?崩壊したり、センサがの反応が薄いところとかを含めるとその10倍くらいには膨れあがるけど」
「結構多いように感じますね」
「まあ、そうかな?観察するには母集団が多い方が便利だからまだ増やす予定ですけどね」
転生とか転移とかそのようなものは結局どのような仕組みなのでしょう?
「説明できませんのでブラックボックスだと思ってくれていいです」
「おい」
「正確には、概念を正確に記述したり伝えるのが非常に難しくて、こちらの次元に合わせると冗長になりすぎるのです、少なくともコメディの範囲は超えますね」
あえてそこを突き進めば、逆にコメディっぽいような気もしますが。
「そいういうネタは一度あれば十分でしょう」
左様ですね。
光を超えて情報を伝達する仕組み、の大元は”人”の関係性を構成しているもの、記憶とか、知識とか、そのようなもの、簡単にまとめて”魂”とか言ってもいいようなそれを、相互に伝達できるものである、ということ。
なので、その仕組みで各地”種”より発生した世界に出現させた、”箱舟”に存在する人格の相似的な存在を標的にして、情報をやり取りしているのですよね?
「簡単に言うと、”人”の”魂”を媒介にして情報のやり取りをしているわけですね。それがしやすいように、遺伝子的、肉体的におなじいれものを”種”世界で構築させて、それに”魂”をコピペするという感じでしょうか?別に全くおなじような肉体でなくてもいいのですけど、特定”魂”を入れやすいフォーマットは、それぞれスペシャルですので、やはり調整は必要なのですよね」
なので、種に記録してある、基本”箱舟”にいる”住人”しか転生とか転移とかできないと。
「そうですね」
「先輩、転生とか転移とかしている人のうち、その記憶を持っている人と、そうでない人がいるようなのですが?」
「基本、情報収集のためだけに”魂”をコピペしているので、種世界の記憶はあまりその元の個人には残りません。一晩の夢、そのような感覚で、目がさめると忘れているレベル、が普通です。そうでなければ、何回も”魂”の通信をしているうちに、ストレスで使用できなくなりますし」
「人権とかどうなっているのでしょうか、なんとも不穏当な発言が出てきたのですが」
「そのあたりは華麗にスルーしつつ、むしろ記憶を残しているのは特殊な例で、ほぼ間違いなくなんらかの能力に目覚めた”人”ですね。どうやら、超能力とか、再三話題になっている未知の要素である”魔法”とかが関わっているようですが、これらはまだ研究が始まったばかりです」
「限りなく人体実験に近いような?しかも被験者に承諾を取っていない系列の」ちょっと背筋が寒くなっているれーねい=後輩さんですね。
「まあ、もともと出自が非合法である”箱舟”に所属してしまった時点でもう遅いという意見もありますし、最初の計画賛同を承諾する書面で、被験者として全面的に協力すると宣誓していますから、ギリギリOK?」可愛く首をかしげるおかーさんと、否定のゼスチャーを繰り広げる面々でした。
「まあ、私も自分の子供を被験者にしているから、お互いさまということで。もちろんゆーき君は愛していますよ」私もですよ!愛しているよゆーき君。
「実験動物に向けるような愛情ではないでしょうね」ジト目にならないでいただきたい。れーねいさん。
「うん、僕も、おかーさん、おとーさんを愛しているよ」ニコニコと無邪気に笑うゆーき君はかわいいですねー。
「最近あの無邪気さガ、実は怖いんジャナイかとか思うのだガ?まあ、ゆーきだからいいか?」
「ううう、でも離れられないのよね」なっちゃんさんも身悶えてますね。
「結局このカードってなんだったのでしょうね^ ^」ちょっとしたフレーバーです。いえ冗談ですが、あながち間違っていないですかね?”魂”情報伝達システムと、”魔法”的な要素が干渉しあって、システムに揺らぎとか雑音が混ざってしまったので、それを抽出して管理しようとしたら、できました。基本”私”系列の能力が発露したものではないかと、推測されています。
「結局、ゆーき君のおとーさんってどんな能力者だったのですか?」
簡単に言うと、個人やら社会の認識を歪めて、整合性を持たせる能力ですかね?行ったことが常識になるというか、ごまかされていることがわからないまま、ごまかすとか?わかっていても、気にならないと云うパターンもありますね。
「万能ですか!」
いえ、物理的にツッコミを受けて意識を失うと制御が甘くなりますし、体質的か持っている能力で正しく”私”が”そこ”にあると認識されると、途端に効果が薄くなりますので、弱点は多いですよ?
「攻撃されていることにすら気がつかない能力というのは、すごく恐ろしいものなのですが?」れーねいさん、確かにそうですが、まあ、そこはそれ、能力者の人間性を信頼していただかないとどうしようもないですね。
「一番信用してはならないような人が何を言っているのですか?」真顔で反論しないでいただきたい、泣きますよ。
この能力を使用して、社会が混乱しないように立ち回っていたんですね。まあ、ごまかしていたとも言いますが。基本、異世界症候群の患者さんの能力やらが暴走しないように、色々とやっていたわけなのです。
「まあ、世界の平和はダーリンの手で守られていたのです」
「そして危機を呼び込んでいたのが先輩と」
「何のことかなー、100年も前の美少女科学者がやったことなんて知らないしー」
はいはい、そうですね。
「だいたいお話は終わったかな?」あれ、はーちゃんが来ましたね。
「何でしょうか?」ゆーきくんが尋ねますと。
「いや、元配下の四天王がこちらに、やってきた、先ほどの説明だと、情報伝達の揺らぎとやらでこちらに魂が帰還した?のだろうか?」
あ、やっぱり彼女たちも転生とか転移体要因でしたのですね。それで?
「暴走しているようなので、沈める、いや鎮めるのを手伝ってくれまいか?」
「「「!?」」」
「ダーリン?それはあなたの管轄だったのでは?」まあ、ゆーき君が可愛すぎてついうっかり忘れていたなんてことはありませんよ?
「”地の文”お前は、仕事しろ!」あ、閃光の蹴り技ですね、やはりなっちゃんさんがこうでないと。
「ええと?手伝いましょうか?」うんゆーきくんは、やっぱり優しいですね。
こうして、私たちは、いつまでも、いつまでも、お祭り騒ぎを続けていくのでありました。
すべて世はこともなし
めでたしめでたし。
***
「本当にこれで終わりですよね」
本編より長い外伝とか、ご所望ですか?
画面隅で、スタンバッている暴走しているAI役の会長の出番はおそらくありませんよ?
***
これで、本当に、おしまいです。
それではまたどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。




