37-魔法少年と武道大会3試合目覚醒編
金色の光が、少女の小柄な体を覆うように展開されていますね。演出ですでに古典の域に入っているような現象ですが光源はどこなのでしょうかね?皮膚だけでなくて、髪の毛とか、衣装の上に光が載っているように見えるので、体表から少し離れた空間から光が発生しているのでしょうか?
その割にはまぶしそうな表情でもないので、視界には入らないような発光現象なのですかね?そもそも空間に何もないように見えるのですが、一体何が光を発生させているのでしょうか?
プラズマだとすると、とても物騒な気がしますね、高温であるような気配はしないのでおそらく違いますね。宗教画とかで後光が差している表現ありますが、あれは、対象の背面、それも結構離れた位置に光源を置いているような、感じですので、この絵にはならないでしょうしね。
「ええと、いきなりの考察が続いているのですが、問題ってそこなんでしょうか?」いい質問ですね、ゆーきくん、本筋とは関わりがなさそうな、閑話に見えるのですが、結構本質に迫った伏線になる可能性も0ではないのですよ、とドヤ顔してみますがどうでしょう?
「いえ、普通に小憎たらしい感じですよ?」相変わらずキツいですねれーねいさん。
光子そのものを制御しているのでしょうかね?サイコキネキスといったものですね、念じるだけで対象を動かせるとか。光子一つ一つを認識しているのでなくて、結果だけを想像して、そのように動かしている、のでしょうか?元の光は周囲のものを集めているのでしょうか?その割には空間における明度が、急激に下がっているような感覚はないですね。つまり、光子の発生源が、彼女の体表近くにあって、その光を操作しているということでしょうか?
微妙に周囲の気温が上がっているような?いいえ明確になっちゃんさん周囲の気温が上昇しているのを見ると、発熱を伴う光の発生でしょう、発生している場所はどこでしょうね?あの、上昇気流によってたなびいていたり、見ようによっては逆立って見える、髪の毛でしょうか?これが光を発生する器官に変異しているのでしょうかね?
発光する器官を持つ生き物は、それほど珍し部類ではないのです。そのような形に肉体の情報が書き換わったのですかね?ナノテクノロジーで一応説明はできそうです、そして光源を確保してその後、念動で光子を操り、全身を黄金色に光らせているという演出を行っている、と。
「あのその、なぜそんな演出を行っているのでしょうか?」おずおずと、ゆーきくんが尋ねてきましたね。
決まってるじゃないですか、強そうに見えるからですよ、あと、なんだか本気が出てきましたよ、と言うサインですね。威嚇する意味もあるでしょうか?様式美ですね。
「最初にこのような演出を考えた方のは、どんな方だったんでしょうね?」ちょっと首を傾げているのは宇喜多会長です。ヤブヘビに加えて、地雷を踏み抜いてしまって、怒れるご母堂に破壊されたのたボディから新ボディに乗り換えて再登場ですね、というかタフですね。
「会長は、タフでないと生きていけないのですよ、それと、万人に優しくしないと、生きている価値がないのです」そんなCMが昔ありましたね。
八方美人で全方位からやっかみやら、嫉妬の炎やら、背後からの包丁やらに、対応しなければならないから、タフネスに能力値を降っているというのは、なんだか無駄が多いような気がします、コネクションの整理を進めてみますが。
「だが断る!」あ、反射的に返されましたね。まあ、いいんですけども。
「記憶が確かなら、最初に主人公格の周囲を発光させて、特別感を出そうとか、されたのは、超能力をテーマにしたSFを描かれた漫画家さんだったような覚えがあります」ママさんがフォローを入れてくださりました。確かに、超能力ならなんでもありのような気がしますね。おそらく、空間に作用するような超能力を使った時に、発光現象がその発動のシンボルとして都合がよかったのでしょうね?
「ええと、さらに遡ると、宗教家の奇跡とかその場面での演出で、行使者が光に包まれているような演出が絵画とかに多く見られていたり、文章として、光に包まれてとか、残っていたりしたところからの演出なんでしょうかね?」さらにママさんの予想が続きます。大筋では間違っていないような気がします。後光とかと同じくくりだったんじゃないでしょうかね?おそらくは、奇跡の瞬間は尊いもので、解析されたくないとか思ったりしたりして、光の中でごまかそうとかする発想もあったのかもしれません。
光と奇跡はセットになるタイプですし、神々しいは、光々しいに通じるのかもしれません。こうこうしいとか、濁音にならない繰り返しだと、なんだか、間抜けに感じますね。
「怪しげな記事とかに出てくるような、発光現象が元になっているという線もありそうですよ?」宇喜多会長が指摘していますね。前世紀では、心霊写真とかに分類されるものですな、あと、人の周りにオーラが見える、とかいう類の、映像資料があったりしましたが、撮影時のミスやら、光の加減やら、単純にトリックとかであったような気がしますね。
生体から光が出てくるには、やはり生物学的な何かの仕組みが必要と考えるのが普通だと思うのですよ、つまりホタルとか、イカとかも発光しますよね、提灯アンコウとかもそうでしょうか?
「えと、なっちゃんさん、イカ娘さんになっちゃったんですか!」ええと、イカ娘とかいうと何でしょう、微妙な気持ちになってしまうゲソ。ホタル娘の方が、綺麗な感じではありますね。いえ、決してイカ娘が嫌いというわけではないのですが、脳裏に該当する漫画やアニメーションの映像とかが出てきてしまって、にやけてきてしまいますね。
「SFのネタでも、人と水棲生物とが合体して、宇宙に適応できるような生き物に人口進化?したというネタもあったような気がします」ママさんそれも結構マイナなネタのような気がしますが、確かに、無重力である宇宙空間と、浮力によって重力が感じにくい水中では感覚が似ているのでありますから、合成する生物のモチーフとしては正しいというか、妥当な連想なのでしょうね。
「でもいつの間になっちゃんさん、かいぞーされたのです?」あ、改造して生体的に発光器官を得るようになったというのは、予想の一つです。事前に改造されたのでなくて、こう、もともとそういう因子を持っていたところで、今回、解き放たれたとかいうパターンもあり得るなと。単純に、摩訶不思議な不思議現象によって引き起こされたものであるという、可能性もあるわけです、だいたい、”魔法”とか物理法則に真っ向から喧嘩を売っているような、現象が普通にある前提で、光源のない光とか、空間が発光しているとかの原因を、真面目に考察する意味があるのか?と言われると、趣味の世界ですと、胸を張るしかなくなるわけなんですが、
「いやいやいや、それは身も蓋もないのではあるまいか?」でも確かにそうなんですよね、会長さん。
「超能力に伴う発行現象というのは、一時ブームと言えるくらいの勢いで研究されたテーマでもあるんですよ」れーねいさんが解説を補足してくださってますね。
「基本、各種映像記録機器の不具合とかが原因だったようですが、どうにも説明のできなかった発光現象もあったようですね」続きますね。
世界に力を及ぼす時に、光の宇宙とも呼べるような、この世に重なる何か別のレイヤーからそれを引き出しているんじゃないかな?とか、想像した人がいたようです。でその、引き出す時に、そのこことは異なる空間から、光も一緒に漏れ出でるんじゃないですかね?という妄想にも似た、推測がありまして、で、その妄想、意外にも一定の市民権を得てしまったようですね。
その結果、不可思議などこからかやってきたのかよく分からない力を発揮する時には、その行使する主体の周囲が、光輝く、とまではいかなくても、こうオーロラのように発光するように、表現されるようになった、のかもしれませんが、まあ、予想でしかありませんけど。
「単純に放電による発光現象という、見方もありましたよ?」ママさん、確かに、初期超能力SFだと、衝撃波とか放っている時に、体全体が光っている炎出でしたよね。ええと、エネルギー衝撃波でしたっけかね?正確には電気ではありませんが、雷のようなものが見えたのでしょうかね。
もっとも、すぐに放電したり、通電したりするはずの電気が、行使者の周囲にとどまっているのはナンセンスなわけですが、そこはそれ、演出のうちだったんでしょうね。何かよく分からないエネルギーをまとっている、キャラクターって、すげー、だろ?というノリだったような、そんなことで、光らせてみたのでしょうかね、まあ、派手な演出は判りやすいわけですし。
「さらに発光現象も大元は、ファンタジー世界とか神話時代の物語まで遡れそうですから、まあ、今現在”魔法”によって引き起こされていたなら、原点に回帰しました、と言ってもいいんじゃないかなー」あー、そいうい発想はなかったかもしれないですね。
「しかし、なっちゃんさんがフレア姫さまだったとしても、それほど魔法が得意というわけではなかったような気がするのですが?」れーねいさんのツッコミが入りますね。
「あ、確かにそうだね。フレア姫って、自分の拳で相手をこうごつんと”打ち砕く”とかする、女の子だったはず、ああ、でもたまに拳が光って、対象が光の粒に変わっていたような?」ゆーき君が当時を思い出して行きますね。
「姫さまは、いわゆる魔法はお得意ではありまんでしたけれど、こう、内包するエネルギー?魔力以前の生命力的なものが大きくありましたから、それを活用する術を磨いていたはずです( ^ω^ )」あ、一息ついたガーベラさんが、会話に加わりました。チャットのようですね。
「チャットって何ですか?」そうですね、ゆーき君たちの年代だと、知らなくて普通ですが、古においてですね、ネットワークと通じて、文字だけで意見のやり取りをしていた時代がありまして、記入したレスポンスに対して、リアルタイムで返事が返ってくるようなやり取りが、比較的少ない人数で形成される、まあ、5、6人から多くても30人はいかないくらい、で行われていた、コミュニケーション形態の一種なんですよね。
で、その場に参加し始めました、とか、退出しましたとか、が明示されていたので、このように、忘れ去られていたようなキャラクターが突然、私も発言よろしいですか的に会話に参加する様子を見て、ああ、チャットのようですね、といったわけですよ。
「説明しなければ分からない言い回しを使用して、さらりとも流さずに、きっちり説明してしまうところに、ナレータの拘りを感じますね」そこを大事にしている私ですから、もう、お話の本筋なんて置いておいて、すべて閑話で埋め尽くしてもいいじゃないか、とか、話がなかなか進まない、という現状を、意図的に引き起こしていると、思われることに、最初から快感を得ているんじゃないか、などという疑惑がございますが、全くもってけしからんことですね。
「ええと、わざと展開を遅らせているんじゃないの?」無垢な瞳を向けないでくださいませんか?ゆーき君、あるはずのない罪悪感がチクチクとこのスモールハートに突き刺さっていきます。不本意ではありますが、その件はノーコメントで、もしくは、記憶にございません、秘書が勝手に処理した案件でございますので、まーそのー。
「昔の政治家語録が出てきましたね」ママさん笑ってないで、フォロミー。
「いや、ついていってどうするんですか」なるほど確かに。多少混乱しているようですね。ええと、じゃあ、お話を戻しましょう。発光現象の考察でしたっけかね?
「ええと、とりあえずなっちゃんさんがどうなっているのか?というお話が先だと思います」なるほど。
「気がついているだろうか?冒頭より全くお話が進んでいないということに、皆様気がついているだろうか?」会長、シーです。言わなければ誰も気がつきませんって。
「「「そんなわけあるか!」」」ぎゃふん。このぎゃふんって、どこから来た言葉なんでしょうかね?ぎゃふんと言わせてやる、が語源かとは思うのですけど、そもそもぎゃふんって何でしょうか?驚愕の発音、その音声表記なんでしょうかね?としてみても、過去映像で、驚きの表現とか、感服した表現とか、やり込められた断末魔みたいな場面とかで、ぎゃふんとか、表記されているのを見たことがないような?
「一部ギャグ漫画のようなものには、見られましたね。あと、ぐうの音も出ない、とかいう表現から、『ぐうとでも言ってみろ』、からの『ぐう』も定番だったようです」ありがとうございますママさん。
「ノータイムで話が脱線しましたよ、驚愕です*\(^o^)/*」あ、褒められた。
「褒めてないですよ、それより、武舞台で光り輝いているなっちゃんさんと、対峙して、その力の暴走っぽいものを抑えているはーちゃんさんを、どうにかしましょうよ?」疲れたようなれーねいさんのツッコミが入りましたね。
どうやら、不可視のエネルギーで周囲を圧殺しようとしていた、なっちゃんさん覚醒モードの威力を、結構平然と押さえ込んでいたみたいですねはーちゃんさん。さすがに神の一柱ですねえ。
「いや、結構他に何かできるほどの余裕もないのだが、どうするかな?」
どうしましょうね?対応を先延ばしにつつ、次回へと続きます。
「展開に詰まったので、場当たりな対応でお茶を濁しました?」
そ、そんなことは、ございませんよ、ええ、計算通りです。本当だよ?
で、では次回にてお会いしましょう。




