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32-魔法少年と武闘大会

 最初から最高調です!テンション高く、アナウンスも青空高く舞い上がっています。赤コーナー、青コーナー双方から、選手入場とともに、解説が入っていますね。

 赤コーナから舞台へと登場するのは、我らがゆーき少年です。異世界帰りの勇者さまで、遠近双方に対応していますとか、破壊神を調伏して、彼の召喚された世界を救ったとか紹介されています。

 超絶美少年としても有名ですとか、いい紹介文ですね。見た目がローティーンなので観客に、多少驚かれています。はっきりと顔を確認すると、確かに、美少年であるので、黄色い声援が巻き起こっていますね。ええと、のぶとい声援もあります。相変わらず老若男女問わず、魅了する可愛さですね。ちょっと照れている表情やら、歓声にびっくりしている表情やら、いいですね。うん、ゆーき君可愛いよ、とっても可愛い。


 異世界帰りとか、勇者さまとかは、特に珍しがられていないようです。結構、前の出演者達にも似たような立場の方々が多かったからでしょうね。テンプレートとかフォーマットとして、そのような立ち位置が定まっているようです。

 召喚されたり、迷い込んだり、転生したりと、幾つかのパターンがあるようですね。物語の舞台へ移動する間に、超越者とか、神様とか、偶然とかで、特殊な能力を身につけたり、世界の設定上、そこ(異世界)へ行くと強くなったりして、ちょっと、卑怯じゃないかなー、というほどの能力で無双する、というのが多そうです。

 努力と忍耐と、多くの幸運やらご都合主義やらで、成り上がったりするパターンの勇者さまも多いみたいですね。でも基本的にあまり悲惨な筋書きの主人公は、出場していないようですが?

「そうですね、”異世界帰り”症候群の患者さんは、精神的な障害を負いかねない悲惨な展開の登場人物としての記憶を持っている方というのは皆無、というか、全くいないのです」れーねいさんが関係者として確保している観客席にて、解説してくれていますね、へえーそうなんですか。

「多少、流血表現やら、性に関わる表現やら、ある”異世界での物語”的な記憶はあるようですが、本人の精神に多大なストレスを与えるような展開になった、そんな記憶を持っている患者さんは今の所確認されていませんね。これは、そういう記憶やらを思い出すことを、精神の安定を欠くので自己防衛として忌避しているのか、何者かの意思が関わっているのか、そいういうシステムなのかは、未だ確定されていないのですけどもね」おっと、説明が続きそうですか?どんとこいですよ!

「そんなに長く続きませんよ?一説には、この症候群は、本人の願いやら、幸せに感じる状況を擬似的に再現してストレスを抑えようとしているのではないか?つまり、疾患そのもにまるで意思があるかのように振舞っていると、いうものまでありまして。未だ研究の真っ只中なわけです」なるほどなるほど。

 つまり、世界を崩壊させた主人公やら、最後に立っていたのは自分一人とかやら、愛する人をすべて亡くして、復習に生きるとかやら、世界そのもの運命そのものを呪ってすべてなかったことにしてしまうとか、そんなネガティブな展開の方々はいないということでしょうか?

「そうですね、少なくともコチラでは把握していません。深く静かに潜っているかもしれませんが、まあ、被害も確認されていませんので、よろしいのではないでしょうか?もちろん、監視の目はいつもどおりに整えられていますけれども」薄く自信ありげに笑っていますね。


 おっと、勇者ゆーき君の相手が登場しましたね。こちらも小柄というか、子供ですかね?華やかな格闘着という感じの服装で、狐のお面をかぶっています。アナウンスによると、謎の覆面格闘家で、異世界帰りではなく、一般参加のお方のようです。

 これまでにも軍隊上がりの格闘家とか出場していましたが、それなりにこのような場所に登場するくらいには、場を盛り上げてくれていましたね。

「そうそう、会場の端でしゃがみこんで、じっと待っているような、金髪角刈りのごっつい軍人さんとか、定番でしたよねー」ママさん、もぐもぐと食べているのはポップコーンですか?美味しそうですね、あとで私にもください。そのキャラクター実在したんですね。

「真空波とか出してきたのにはちょっと驚いたネ」今回はギャラリーに徹する予定のリカルドくんが試合描写を交えて、キャラ解説をしています。

「あれで、異世界帰りではないそうです、けれど、ちょっとというかかなり、症候群の影響を受けているような気がしますね」れーねいさん、影響とは?

「具体的には、カードですね。職能カードとか能力カードとか。気がつないうちに自身の設定に付け加えられていたり、上書きされていたりされている事例が確認されています」ああ、帰還者周りに出現する怪奇現象でしたっけ?

「あの軍人さんは、昔からああでしたよ?むしろ変わってなくてホッとしたというか、なんというか、ああ、お家芸だなーと、安心しました」ママさんのコメントも秀逸ですね。

「周囲の認識も遡って、設定する可能性もあるので、記憶とか記録とかも頼りにならないのが、なんとも問題なのですが」れーねいさん、それは問題ではないと思います、むしろご都合主義的すぎて、ちょっと怖いくらいに便利な設定ですよ(笑い声)。

「いや、笑っていい場面じゃないようーナ?アイディンティティーがシェイクされないカ?」リカルドくん、それはすでに問題ではないのですよ?

「?」不思議な表情ですね。なぜなら、自己同一性はすでにもう崩壊しているからです。ほら、自分のキャラの乱れっぷりに狂気するがよかろうなのです。

「NOー!!」あ、なんかその表情、古典的絵画見たいですね。こう両手で頬を挟んで絶叫とか。

「古い映画にもありませんでしたか?」れーねいさんのコメントです。

「ああ、確か、一人ぼっちの留守番とかなんとか」ママさん、なんというか、ほのぼのとした題名の映画ですね。それたしか展開が結構えげつなかったような覚えがあるのですが。

「子供って無邪気に残酷ですよね、と思わせるものでした」れーねいさんが淡々と語ってますね。多少仇役に感情移入するというか、ああ、あれは痛いとか思わせられましたっけ、懐かしいですね。


「ところで、顔を隠してもそのままなんだガ、イイノカ?」確かにそうですね、小柄でリスのような雰囲気の格闘家というともう、あのお方しかおられないわけでして。どうして仮面をつけているのかというと。

「バーサーカーシステムの影響、というのは嘘ですよ。ただ単に、素顔なのが恥ずかしいからでしょう」ママさんの解説ですね、でも個人を特定するような、認識をずらすしかけをしているのでしょう?

「ええと、まあ、常識的な感性ではそれを丸々信じるのも怖かったんじゃないですか?」なるほど。

「後、ゆーきくんと相対する時に変に力むとか、頬が赤らむのをばれないようにじゃないかなと、推測するのですよ、ママさんは」なるほどなるほど、正しく捻くれたキャラクター付けですね(大きくサムズアップです)。

 ところで、観客の認識には干渉できるようですが、対戦相手にはそれは適用しているのでしょうか?

「一応、積極的に公開しようとしなければ、個人の特定はできないという建前ですが、まあ、”異世界帰り”どうしですから多分なんとなく判明できるんじゃないでしょうかね?知覚能力の桁が違う見たいですし?」れーねいさんが冷静に答えてくれますが、うーんと、ゆーき君もしかして、相手がなっちゃんさんと気がついていないのじゃないかなーと?

「いやまさカ、本当カ、凄いな、あの鈍感力、なにそれカワイイ(はーと)」いや、カワイイと言っていれば許されると思うなよ?いや、ゆーき君は可愛いですけども。


 武舞台では、相方、軽く、拳を交わしていますね。ゆーき君はまだ返信前の、半ズボンにパーカー姿ですね。ユニセックスなデザインですので、ちょっと見美少女に見えます。仮面の幼女VS半ズボン美少女、いいですね、良い絵です。

 ほとんどコマ落としか?というような動きで、狐のお面少女が間合いを詰めますね、基本ゆーきくんはアウトレンジでの魔法のようなエネルギー弾を飛ばして戦うのを得てとしているので、接近戦は不利とみましたか?

「でも、結構、ゆーき君、格闘戦も得意なんですよね」れーねいさんの言う通り、きちんと見えない打撃に反応して、捌いていますね。それも円の動きですよ?カラテと言うよりは、ケンポーでしょうかね?

「基本は形象拳ですね、映像で往年のアクション映画を含めて視聴させた(一緒に見た)ことがありますから」帰ってきたり、逆襲したり、怒ったりするやつですか?

「プロジェクトなんとかとか、酔っ払って戦うやつとか、最良の少年とかですかね?」古き良き時代のコンテンツですね。たまに直線的な蹴り技が混じるのは、ムエタイですか?

「最速の蹴り技といえば、あれですからね、異論は認めますが」ゆーきくんのポテンシャルなら、素で世界ランカーとかといい勝負ができそうですね。

「ギアをトップに入れたら、ついてこれるのは正しく超人くらいじゃないでしょうかねー」

 そうですね、今、リアルにそれは残像だ、をしましたよ?それに合わせて、空きが見えた(ように見える)狐面の少女に炎の散弾を叩きこみました。あれは魔法ですかね?

「無詠唱くらいは乙女のたしなみですからね( ^ω^ )」どこの乙女ですか、というか帰ってきたんですね淵島さんこと異世界帰りの魔法使いさんにして、ゆーきくんの魔法の師匠さんでしたっけ?

「ポテンシャル的には、とっくに師匠越えをしていますけどもね、まあ、経験の差でまだまだ勝負になりますが( ´ ▽ ` )ノ」おかえりなさい、どうでした?そちらの様子は。

「魔法理論の比較検証と、各世界の実践魔法についての懇談会というか、討論会というか、雑談会?みたいなのは、比較的無難に終わりましたよ♪( ´▽`)」

「会場が爆炎に包まれたそうですが、なるほど、それくらいなら平穏無事のうちということですね」れーねいが手元の端末から流れる速報やら、報告やらを斜めに確認しながら、ちょっと冷たい目で魔法使い(主犯者)を見ていますね。

「だって、最後には、実践に勝るプレゼンテーションはないでしょう?大丈夫、ちゃんと、再生呪文も織り込み済みだから、時間経過とともに、元に戻る、はずですよ♪( ´▽`)」

「まあ、周りの異世界帰りの魔法使いたちもノリノリだったそうですから、あまりとやかくは言いませんが、もう少し自重していただきたいです、本来の趣旨として、症候群の方々の非危険性をアピールしないといけないのですから」 

 まあ、逆に触れると火傷ではすみませんよ?という各方面への警告?、そんな穏やかな脅しみたいな面から見れば、よかったんじゃないですか?

「(明後日の方向を見るれーねいさんです)」図星ですか?やっぱり結構怖いひとですね(笑い顔で)。



 武舞台の方では、残像に攻撃したと見せかけた狐少女がさらに、それは残像であって、炎の散弾がすり抜けていきますね。同時にゆーき君の背後に出現して、両手を組んで、後頭部へ打ち下ろしていきますが、ノールックで体を躱してその勢いに繋げるように体をひねって斜め後方へと踵から蹴りを振り抜いていきますね。

「ええと、ユーキはともかク、なっちゃんさんは特に特殊な能力とか持っていなイはずだよネ」本人曰く、日々の修行の賜物、武術の域だそうで。

「嘘ダー」ええ、私もそう思います。ただ、さすがに気を弾のように放つとかはできないそうですよ?直接打撃と、関節技が主体だそうです。あと、消えるように見えるのは、歩法にコツがあるそうです。

「空中を蹴って動いているように見えますよ(^◇^;)」まあ、世の中は広かったということでしょうか?格闘技には、空中を滑っていくように移動する歩法とかもあるらしいですし。

「いや、そういうレベルじゃないでしょうヨ?」気がついていたら、相手は倒れていたというような技があるくらいですし?

「虚構と現実を混同していませんか?(笑ながらママさんです)」いや、まあ、貴女に言われたくないような気がしますが、確かになんだか境界が曖昧になっているような気、は、いたしますね。

「”症候群”は伝播しますからね、まあ、半端に感染するよりはどっぷり浸った方が、却って被害は少なくなるという計算がされている?かもしれませんね」したっぱだがら、分かりませんというポーズですが、なんだか嘘っぽいですねー。


 あー、ゆーき君、変身するみたいすよ?本人気がついていませんが、祭りの雰囲気に飲まれて、高揚しているようですね。きわどいバンクシーン、激写、いただきましたよ!

 そして、狐面の少女、見入ってしまってしまいましたね。固まってしまいました。ゆーきくんあれ、僕どうしよう?という表情で戸惑っていますね。

 

 で、格闘戦の続きですが、密着しての関節技とかの応酬とか、妙に色っぽいダメージエフェクト(ゆーき君側ですよ)に、やられて、狐面の少女が大ダメージを受けていますね。

 観客のレーティングセイバーも働いているみたいですが、はて、それほど、如何わしい映像にはなっていないと思うのですが?

「まあ、私たちは慣れていますからねー」確かにそうですね、ママさん。


 微妙に、会場を桃色空気に変化させつつ、さらりと次回へと続きます。



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