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25-魔法少年と続々量子力学入門

 ええと、Thomas Young(トマス・ヤング) さんの実験をもう少し詳しく説明してほしいと、フレーム外からリクエストがきましたんで、行いますね。

「フレーム外ってどこだヨ」リカルドくん、そこに言及するといろいろ破綻するので、控えてくれるとナレータさん嬉しいです。


 じゃあ、実験の方法を解説しましょう。ご家庭に良くある材料で、この実験は行うことができます。

 用意するものは、


 ・単色光の光源

 ・0.1mm~3mm程度の間隔で作成したスリット(切れ目)

 ・スクリーン


の三つでOKです。どこからか、まあ、本当にこんな簡単なもので作れるのスティーブ!という喜びの声が聞こえてきそうです。その通りだよフランソワ!


「ええと、もう少し具体的に材料を説明する必要があるような気がします」ゆーき少年、確かに、いやでもシンプルに抽象的に説明する方が分かりやすいでしょう?

「いやこの場合は家庭でできるヤングの実験というテーマなんだかラ、ダメじゃないカ」リカルドくん、そーですか。じゃあ、もう少し詳しく具体的にいきましょうか。


 ・単色光の光源=レーザポインタ

 ・スリット=適当な針など細い金属を3本束ねたもの(隙間が自然にできます)

 ・スクリーン=適当な布か紙で色は白っぽい方が見えやすい。


他に光源がない方が観察しやすいようですね。

 

 暗い部屋で、レーザポインタでスリットに光を通して、スクリーンに当てると、光の波が干渉した縞々が見えると言った寸法てぇわけだってばよっと、てやんでー。

「どこの人ですか´д` ;」


 「なるほど?ええとこで実際に、やってみるんですか?」ゆーき少年が実験をやりたそうにこちらを見ている。しかしナレーターはかぶりを振った。

 今晩は時間がないので、実際にはしません。これ、結構コツやら何やらが必要になるので、満足のいく結果が出るまで時間がかかるんですよ。

 

 詳しく実験結果を知りたければ、各種検索エンジンを用いて、《量子消しゴム》というワードで検索をかけてみてください。動画もまだアーカイブに残っているかと思います、あれ、というか、この手の画像、ゆーきままの書庫にもありますかね?

「たぶんあるよー」左様で。

「”消しゴム”って、なんです?」なっちゃんさん、そこが気になりますか?

「いえ、そもそも”消しゴム”というものを知らない可能性が高いですね」あー宇喜多会長は知っているんですね。筆記という概念が昨今かなり変わっていますからねー。”鉛筆”のアイコンも元ネタを知らないでしょうし、実物を見たことのない世代なんでしょうね。

「博物館とか、歴史資料館クラスの道具ですからねー、私も使ったことないしー」それは嘘でしょーゆーきママさん。確かあなたはナレータより年上……ぐほ。

「いい感じにみぞおちに拳が決まってますね」

「あれ、嫌な感じに痙攣してないカ?」

「女性の年に言及するなんて(´Д` )」

「当然の帰結」


「ええと生きてますか?」


 ゆーき君優しいなぁ。君の優しさがあれば、僕は後100年は戦えるような気がします。気のせいですか?そうですか。


 さて、話を戻しますが、そういえば、そもそも波って何か?というお話もまだしていなかったような気がします。

「ええと?波ってザッパーンてやつじゃないの?」なっちゃんさん、何だか頭が悪くなっているような表現ですよ?それは大量の水が岸辺に打ち付けられるイメージですね。


 波とか波動とか言われているものはですね、つまるところ、力の伝達のことなんですね。まず一点に力が発生しますよね?分かりやすいように例えば、上向きに力を発生させます。

 で、その力を及ぼしたものが連続していた物質とかだった場合、力がそちらにも伝わりますよね、そして順々に力が伝わっていったものを波と呼んでいるわけです。

「ええと?水とか、そういう液体って繋がっているの?」

 その話になると長いですよ?

「じゃあいいで 」

 そこまで言うなら仕方ありませんね!

「おーい」


 紐など、明確に繋がっているものは、イメージしやすいですね。こう端をもって上下に振るとその力が順に、紐の先へと伝わっていきます。これは力を伝達する物質が繋がっているからです。

 じゃあ、水は?となりますよね?これは紐のように確かに繋がっているようには見えませんが、見えない力で実は繋がっているのですよ。

 ものが分子という細かい粒つぶで作られているという話は以前にしましたよね?

「……しましたっけ?」

 もしかしたらしてないかも?まあ、そうなんですよ、幾つかの原子が集まって分子というものになっているんですが、水というものは、酸素という原子一つと、水素という原子が二つくっついてできている分子の集合なんですね。


「ああ、水素水というやつですネ、飲むと健康になるといウ」

 またキワモノのネタを知ってますね、それを飲料水として飲むと効果があるとされたのは、プラセボ効果を狙ったハッタリ的商品だったようですよ?基本、水素水というものは、洗浄用として活用していたらしいですね、というか、今も使っているんじゃないですかね?

 そもそも、今それは関係ないので忘れてくださいね。

 あくまで、水という分子が酸素と水素でできているということですから。


 で、原子と原子が繋がっていくにはそうすることのできる力が必要なわけですが、それにはさらに遡って原子というものがどのような要素で作られているか?と説明する必要があるわけなんですね。

「うわ、どこまで遡るんですかヨ」あきれた表情ですねリカルドくん、でもまだまだ序盤なんですよ?でもまあ、できるだけ簡単に解説してきますね。


 原子は、原子核と電子でできています。で、どうして原子としてそれらがまとまっているか?というと、原子と電子は互いに引き合う力を持っているからです。

「なんで引き合うのでしょうか?」なっちゃんさんいい質問です。

 ですが、実を言うとよくわっていないのです。

「そうなんですか?」

 そうなんです、原子核と電子はそれぞれ同じフィールドにおける対極の性質を持っていて、その対極の性質を持つものどうしは引かれ合うという、現象が観察できる、のは確かなのです。けれども、それが、なぜ起こるのか?ということについては、はっきりとはわかっていません。

 正の電荷と負の電荷とか言いますね、この対極の性質は。


「「「へえ」」」

 +(プラス)とか−(マイナス)とか聞いたことないですかね?

「バッテリーにある記号ですね」そうです宇喜多会長には身近なものですかね?

「そこまで旧式なものは使用してませんが、概念としては身近なものですね」会長、いい笑顔ですね。


 根本的な原因は不明ですが、そのふるまいからこんな風にミクロの世界ではなっているんじゃないかな?といろいろと推測して、実験して、確認を行ってきた歴史が今ここにあるのですね。

 

 ええと、何の話でしたっけか?


「原子と分子の話だったと思います」ありがとうゆーき君。

 ええとさて、原子が原子核と電子で構成されていると言いましたね、ですけどねこれ、このままでは安定しないそうなんですよ。

「そうなんですか?」そうなんですよなっちゃんさん。

 原因はこれまた、よくわかっていないんですが、原子というのは、電子の数が一定になると安定するという性質がありましてね、それを満たすために、近場の原子と電子をシェアするんですよ。

「シェア?」

 つまり、お互いにお互いの電子を使うんですね。共有するわけです。

「ええと?その場合要素が半分になるんじゃないですか?力とかこうエネルギー的な何かが?」鋭いですねなっちゃんさん。

 イメージ的には間違いないですね。

 電子の数が増えます、そして、その増えた割合だけ”力”が減ったら、結果として、立ち位置は変わらないでしょ?

 つまりですね


『この子かわいいわね、ねえ、私も欲しいわ』

『いいわよ姉さん、だけど私もそっちの子をかわいがらせてね』

『『仲良く分け合いましょうね、それぞれを可愛がる時間は前の半分になるけどいいわよね』』

 (ガクブルとしながら頷く”子”たち)

『『よかったは、これで私たちの心も休まるわね(にっこり)』』


みたいな感じでしょうか?

「いやいやいや、その例えはオカシイようなきがすル?」

「実はそれほど間違っていない気もします」ゆーき君は相変わらず優しいなぁ。


 それでですね、そのように、安定するように集まった原子の集合したものが、分子というわけなんです。

「「「へえ~」」」


 でですね、ここで水の話に戻るのですが、実は水の分子どうしで引き合う力があります。

「そうなんですか?」

 その名も水素結合と言います。水が酸素と水素でできているという話がここに繋がってくるんですね。水分子を構成する水素が問題なんです。問題というか原因ですかね?

 

 水素には電子が1つあります。酸素には電子が8つあります、でですね、電子というものは、原子の周囲に均等に分布しているわけではなくてですね、酸素では、近い方に2つ、遠い方に6つ存在しているんですよ。

 で、遠い方にある6つの電子ですが、この場所に後2つ電子がくっついて、8つになると安定するという、性質が、酸素原子にはあるんですね、でここに、近くに水素原子が2つあれば、その電子をそれぞれ、一つずつシェアするわけです。

 こうすると、水素原子がシェアする2つの電子の組みができるわけです。

 ここで注目するのは、酸素の方の原子核から遠い方にある電子なんですが、これが、4つほど水素原子からシェアされずに余りますよね?そうすると、ここがわずかに負の電荷を得るんですよ。

 さらにですね、酸素とシェアしている水素原子の電子、その反対側には電子がないので、この場所では正の電荷を得るんですよ。水素原子の電子が1つしかないから起こる現象ですね。

 なので、この水素のシェアしていない場所に発生した弱い正の電荷と、酸素のシェアしていない電子の部分に発生した弱い負の電荷が引き合うのですね。

 このように引き合うことを、水素結合と言います。強さは酸素と水素が引き合って水になる力、これを共有結合と言いますが、その1/10程度だと言われていますね。



ええと簡単に以下に図解みたいなもので説明しますね。


水素原子は 水ー電 と表記します。水が水素原子の原子核です。

酸素原子は 電電電ー電ー酸ー電ー電電電 と表記しますね。酸は原子核ですね。

原子核に近い方にある電子が2つ、遠いところにあるのが6つと、このように表現しています。


で、水素と酸素が共有結合すると以下のようになります。


 正電荷弱→水ー【電電】電電ー電ー酸ー電ー電電【電電】ー水←正電荷弱

 

 そして、水素のシェアしていない方面にそれぞれ弱い正電荷が発生します。

 さらに酸素の、シェアしていない電電のあたりにそれぞれ弱い負電荷が発生します。


 例えると、


 6人の可愛い子と2人の側近を従えた姉さんが、さらに可愛い子を2人欲しがりました。

 側近の子はもうどうにも動きようがありませんから、それ以外の6人のうちの2人を、それぞれ1人しか可愛い子がいない娘とシェアすることにしました。

酸素大姉『クククいい子もってるじゃないか、私の6人組の1人をそれぞれに出すから私にも使わせな』

水素娘2人『『く、仕方ないわね』』

酸素6人組の中でシェアされなかった4人『ちょっと寂しいですね』

 4人はちょっと誰かにかまってほしいのですよ。ということで、マイナス感情UP!

水素組2人『『ちょっと部屋が偏って、こっち側が空きましたね、このあたりに可愛い子を置きたいわね』』

 水素娘さんは偏ってしまった空間に誰か呼びたい気分で、プラス感情UP!

水素娘『『じゃあ、隣の酸素大姉さんの所で寂しそうにしている子でも呼ぼうかな?』』

よその酸素原子姉さんの電子たち『『話し相手くらいなら喜んで!』』


 といった感じでしょうか?


「擬人化、シリーズにしちゃったような気がしますね」なっちゃんさんが疲れた表情をしています。カルシウムが足りないじゃないでしょうか?

「これ、かえって覚えにくいんじゃないカ」

「そう、私は結構好きよ(^ ^)」

 概ね好評ですね。

 

 ということで、水素結合によって水分子同士が引き合って影響し合っているので、一見繋がっていないように見えている液体でも、力が伝わって、波が起こるわけなんですね。


「「「ああ、波の話でしたね」」」


 忘れてましたか。

 無理ないような気がします。しかも、これら一連のお話、量子力学の話をするつもりでの前段階だったんですよねー。

「「「そういえば!」」」


 ううん、また長くなったので次回に続きそうですね。


「こレ、終わるのカ?」

 ループしなければ多分?いずれ?


「不安ですね」その冷たい視線はご褒美ですねなっちゃんさん。

 ええと、なっちゃんさんが無言になってしまいました。

 

 はい、それでは次回でまた、お会いいたしましょう。

 でわ、まったねー♪


「「「激しく不安((ダ))(ですね)(´д` ;)」」」





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