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02-魔法少年の計測

 外国製の小さめな車に美少年とその母親が乗っています。季節、時刻は夏の午前中です。美少年のユーキ君、小学校は夏休みでありません。小柄で一見美少女というか、ローティーンの少女?にも見える母親は自由業であるので、比較的自由に時間を使うことができます。

 なので、ゆーき少年が美少女魔法使いに変身して呆然とした朝に早速行動を開始してみました。呆然とする美少年を車に拉致して、人気のない山奥へ連れ去る、描写すると犯罪の臭いしかしませんね。

「ええと、お母さん、僕達はどこへ向かっているのでしょうか?」

「もちろんそれは、輝ける未来をめざしています!……具体的には”いつもの”石切り場”ですよ」うろんげな視線に堪え兼ねて、ちゃんと目的地を伝えます。

「ええと?」疑問の表情なゆーき君です。

「日曜朝の英雄時間に怪人とヒーローがアクションをしているロケ地です、ちょっと知り合いにスケジュールを確認すると、今日は一日空いているようなので」謎の人脈というか、おかーさん、知り合いに制作会社の方がいるそうです。

「なぜそこへいくの?」

「体力測定?能力把握?と、資料写真の充実といった感じかな?」ひょいひょいと細い山道を軽快に駆け抜ける赤いてんとう虫のような小型車。その車中での会話です。

「?」まだよくわかっていないようなゆーきくんです。

「夢でみたゆーくんの能力?話半分にくらい聞いても、ちょっと町中で飛び跳ねてもらうと悪目立ちするでしょ?それに、ゆーくんもあの恰好で、人前にでるのは嫌じゃない?ああ、でも、そーゆー趣味があるのかな?私は理解ある親だから、そうゆうアブノーマルのなのも受け止めるよ?」慈母の笑みを浮かべながら、対向車もない山道を走らせるおかーさんです。濃い目の緑が目にしみますね。

「ないですから!……でも、それはそれとして、やっぱりおかしい恰好なんだね……」落ち込みちょっと涙目になる美少年です。きゅっとシートベルトを握る白く細い指がなんだか、可愛らしいです。車中に落ちる、緑の葉を透かして届く陽の光が、良い感じで少年を照らします。


 ゆーき少年親子は、人気のない採石場につきました。車は少し離れたところに止めてあります。まずは体力テストをしましょうということで、母親から体操服を渡されます。ユーキ君はハーフパンツの体操着に着替えます。すらりと伸びた白く細い足がなんとも華奢で可憐です。足首も細く、さらにそこにまとわりつくようにはいている、ちょっとゆるんだ白いソックスがたまりません……。

 胸のゼッケンにはなぜが、ひらがなで”5ねん2くみ ゆーき”と書かれています。ちょっと上の丈が短いのか、仕様なのか、かるく柔軟体操とかしていると、かわいいおへそが見えたりもします。ええとアンダーシャツはつけているので乳首は透けませんね、残念です。ただ襟ぐりはまるくて広目なので、ちらりとのぞく鎖骨やら、ちょっと準備運動で火照ってうっすらピンク色になった首筋とががなんとも、ええこの娘、誘っているのかこれはという雰囲気を醸し出しています。注)ゆーき君は男の子です。

「じゃあちょっと走ってみようか?」同じく体操着に着替えたおかーさんですが、ええと……なぜに”ぶるま”なんでしょう?実年齢より大分若く(控えめな表現です)見えるので違和感がないところが逆に違和感を感じさせるのですが?

 どこから持ってきたんですという疑問に対しての答えは、「資料よ」なにの?「ナニの……大丈夫ちゃんとクリーニング済みだからね」さいですか。使用済みですか。

 手にはちょっと大きめのストップウオッチが握られています。首からは銀色に輝くホイッスルをさげています。胸がないのですとんと笛が落ちていて、体を動かすたびに揺れています。もちろん彼女の胸にはゼッケンがついていますが、その書かれている文字が”おさなづま”(はーとが最後に付いている)というのがもはや意味不明でございますね。

「だいたいその切り出している辺りから、ここまでが50mだから、ちょっとタイムはかってみようか?スタンディングスタートでいいよね」

「クラウチングスタート苦手だからそれのほうが良いです」

 準備を整えて、ゴール近くでストップウオッチを構え、手を上げるおかーさん。でちょっと目を会わせて呼吸をはかって、子供のような細い手を振り下ろします。

 一陣の風が吹きました。目の前をつむじ風が舞います。

「えーと、2秒フラット?というか、走り始めて瞬時にトップスピードとかなにそれ怖い」

「……えっと、まだもうちょっと走れそうな?」軽く回って、おかーさんの前に来るゆーき君。

「しかも魔法少女に変身するとさらに肉体能力が上がると?」ちょっと冷静になるおかーさん。

「少女じゃないです」ちょっと涙目で抗議するゆーき君です。

「可愛らしコスチュームだからいいじゃない、似合ってたし。さて、ゆーきくん、普段は手加減できるよね?」

「僕は可愛いより恰好良いほうがいい……。うん、ある程度自然に手が抜ける?手加減できる?えーと『わったた』てなることはないよ?」


「うーんじゃあ、今度は純粋に筋力と見ようか?ええと、とりあえず手頃な石を持ち上げてみて?」

 採石場の石を徐々に大きなものまで持ち上げていってもらっていきます。体の上に差し上げいく石が、岩と呼ばれるにふさわしい大きさになったあたりで、自分の怪力に驚愕して青ざめてしまったゆーき君を見て、止めさせるおかーさんでした。

「……およそ1トンくらいは軽く持ち上げられる?」

「おかーさんじつはそれくらい(今持ち上げた岩を指し示しつつ)ならあと二つはいけそう」ちょっと泣きそうなゆーき少年です。

「本当に手加減してね、お家が壊れるのは嫌よ?」


「じゃあ、その岩砕いてみようか?」軽く。そんなちょっと上脱いでみようか?というような口調で話すおかーさんです。

「えー?」

「まあ、ちょっとだけ、ためしで、軽く?」

「痛いのやだ……」ちょっとびくびくしている少年がなかなか嗜虐心をくすぐります。

「だいじょーぶだいじょーぶ、痛いのは一瞬だから(多分)」

「聞こえたからね、最後の多分って!」

「(ちっ)つべこべ言わずに言うことをきくんだよ!まったく生娘じゃあるまいし」

「僕、息子だよ、娘じゃないよ!あとなんで悪役口調なの!」


 その後、なだめすかされて、岩を殴ってたのち、あっさりと砕け散ったそれを前に呆然自失となったゆーきくんでありました。

「痛かった?」

「……ちょっとだけ……」少し赤くなった小さめのこぶしをぼんやりと見ている少年でした。


「結論から言うと、普段の生活は慎重にいきましょう、かな?」ビニールシートを地面にしいて、水分補給をしている親子です。

「ゲームで言うと各種能力値?それらが、数倍から数十倍くらいに補正されている感じかな?ゆーきくんは。それでいて、日常生活をおくる上で力加減とかも問題ないみたいだし。とっさに全力を出さなければ大丈夫なんじゃないかなぁ」

「ねえ……聞いてる?」

 ゆーき少年は人間離れしてしまった自身の身体能力を目の前に突きつけられて、呆然としています。ええと、灰になったように座り込んでうなだれています。

 ひらひらと、その目の前で手をふるおかーさん。反応がないので、ちょっと顔を近づけて、目をのぞき込んでみます。ゆーきくんの目は焦点があっていませんでした。

「えーとリアルれいぷ目?」小首をかしげて、ちょっと冷や汗をかくおかーさんです。

「おーい、そろそろこっちにもどっておいでー……じゃないと、いたずらしちゃうぞー」ぺたんと、座り込んでいる少年の側に両手をついて、首筋から耳へと口を近づけて、囁く、ローティーンにしかみえないブルマ姿の少女(じつは実の母親……かえって背徳感が加わってエロいシチュエーションですね)。

 そして、はむっと耳を噛んでしまいましたよ。

 少年はびびくーと体を震えさせて、とっさに、少女おかーさんを押しのけます。そこでおかーさん、うまく少年の服を掴んで体制を崩して、自然にのしかかられるように誘導します……なんという見事な体術?技術でしょうか。夜の運動会ではいつも一等賞といった感じですね、なにを言っているか?

 最終的に出来た構図は、ローティーンの可愛らしい少女、しかも足が大胆に露出している、ブルマ姿です、その娘さんに覆い被さる、短パン美少女に見える美少年、しかしてその実体は、実の母親を覆い被さって組み伏せる美しい一見少女に見える容姿の息子さん……ええと字面も絵面も半端無く背徳感溢れるテイストです。

「ほら、大丈夫大丈夫、咄嗟に反応しても手加減できているでしょ?」ニッコリと笑って、ゆーき君の頭をなでなでする、おかーさんです。

「……うん、ありがとう、おかーさん」ちょっと涙目ででもほのかに微笑んで、されるがままになる少年、そして無意識に押さえつけていた手から力を抜いて、ビニールシートに寝転がっている、組み伏せてしまった、おかーさんに覆い被さります。そして、薄い胸に頭を預けます。おかーさんはその子の頭をゆっくりと撫でて落ち着かせます。

 ……そこで、さわさわといろいろなところへ手を動かして、触り心地を堪能しなければ良い母娘像でおわるのですが。残念です。加えて、その動きに過敏に反応して、ちょっと表現し辛い声を、可愛らしい小さな口からもらす、ゆーきくんの将来が少し……いえ大いに心配です。


「じゃあ、落ち着いたら、”魔法少女”に”変身”して能力測定いってみようか?」

「……やっぱりやるんだね」絶望のどん底から少し引き上げられたと思った瞬間に、再び突き落とされたような、そんな表情を浮かべる、美少年さんでありました。



 結論:魔法少女スタイルだと可愛さが半端なくあがって、むしろ犯罪的でした。

「ちがうでしょ!」

 失礼。


 結論その2:身体能力がさらに補正されています。その様相は、まさしく『弾よりも速く、力は機関車よりも強く、高いビルもひとっ飛びです』(Q:古いですかね A:地質学的には古いとはいえません)。


「あと、知っていて見ていても、”変身”した後、ゆーくんだと解らなくなりますね」

「?」

「ええとね、可愛らしい魔法少女であるという、なんだろう、概念というか見た目の印象は記憶に残る……覚えてられるのだけども、それがゆーくんであると、いうことが解らない?覚えてられないという感覚なんですね」ちょっと首をひねりながらおかーさんが言います。

「よくわからないけど、つまり、この姿になっても僕だとはバレないの?」

「多分……おそらく……、やったね、これでやりたいほうだいだね♪」可愛く指を振るおかーさんです。

「なにさせる気なの!」

「そうね……作品のネタ用にちょっと町中でからませて見ようかな?」にっこりと笑います。

「言ってる意味がよくわからないけど、おかーさん笑顔が怖いよ」ぶるぶると震えます。

「まあ、基本は気をつけて行動かな?よく考えて動くように、で、何かあったらおかーさんに言ってね」

「……」

「うっかり、やっちゃたら、後始末はまかせて」きらりんと、ウインクとともに親指を上げるおかーさんの頼もしい笑顔です。

「うわぁ、それはあんしんだぁ」ちょっと壊れた笑顔が怖い、ゆーき少年です。

「まあとにかく、体育とかクラブとかで体を使う時には注意が必要ですね、オリンピック級なにそれ?といった感じになりそうですし」ちょっと寂しそうに言うおかーさんです。

「……あーそうですね。ちょっとこれで競争するのはずるっこいです」

「じゃあ、身体測定(?)はこれくらいにして、夢の世界で使っていた魔法?みたいな技とかの検証をしていきましょうね」


魔法?技能の検証結果:


 基本的に変身前でも小技が使えることを確認しました。簡単な種火作りやら、水の作成、擦り傷程度を完治させる治癒、汚れの除去などの、まあ、現代日本でも器具をつかえば可能ですよね?という程度の規模です。仕組みとかはどうなっているのでしょうね?

 変身後は、火炎放射やら、激流の放出やら、狙ったところに落とせる落雷やら、結構自然現象を任意に起こせるような程度まで可能でした。さすがに裂傷の治癒やら、四肢の再生やらは、止められました。というか、涙目でおかーさんが自分の体にナイフを振り下ろすのを止めるゆーくんです。


「これで本職の魔法使いには及ばないというところが驚愕です」おかーさんも若干、戸惑いぎみです。

「うわー……。でもまあ、僕は、直接殴った方が早いので夢の中では、相手を”ぽかり”としていたほうが多いですね……。そもそもなんだか、相手と争うということ自体が少なかったような気がする?」なんでかみんなぼんやりと、赤い顔をしてこちらを見つめて、話し合いでだいたい決着していたんだよね。

「あー、そういう感じですか(天然ジゴロ?同性もいけますよね、……総受けのロリ属性もちショタて、どれだけ盛っているのだろう……おっとよだれが)」

 本能的におかーさんの視線に恐怖を感じて身震いするゆーきくんです。

「”かいしんのいちげき”は、悪い心を無くさせて、こういい子にさせる感じだったかな?」両手に抱えるピンク色の大砲を見ながら、これも測定不可能であるので感覚をおかーさんに伝えるゆーく少年でありました。


「それじゃあ、後は家に帰ってから、ええと座学?頭のよさとかいわゆる”かしこさ”を調べてみることにしましょうね?」

 というわけで母娘(違った息子だ)は、赤いてんとう虫型の車にのって、山道を帰路につきました。


***


「キャー助けてー!」

「ひゃっはー命が惜しけりゃそれ以外全部おいてけー!」


 そして帰宅途中の山道で、山賊達に襲われる、娘さんとそのお爺さんと遭遇するのでした。


「なんで!」鋭いツッコミを、地の文にいれるゆーくんをアップにして、お話は、次回へと続きます。 



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