18-魔法少年(達)の後片付け
「さて、じゃ、この混沌とした空間をどうにかしましょうかね?」長い睫毛で大きなウインク、一つ。魔法使いのガーベラさんこと、少年同士の純粋な恋愛模様(笑)が大好きな、ゆーき少年のクラスメートである、淵島さん(若干腐りきっている少女)が言い放ちます。
「ええとどうするのでしょう?というか、どうにかなるのでしょうか?」ゆーき少年がそのガーベラ女子の胸元でかいぐりかいぐりされながら尋ねます。
あー、なっちゃんさんが子猫のように毛を逆立て、威嚇していますね。リカルドくんは平然とそれに混ざるべく距離を0につめ(瞬時ですね)一緒に少年を愛でています。ああ、美少年どうしの微笑ましいスキンシップですね。でも、胸元から手を入れるのはやりすぎではないでしょうか?
あれ、ガーベラさんもちょっとほおを赤く染めて、ジーと直視していますね。
「ああ、うん、校内の自立的なキャラクターたちには、その付近のデバイス(パーソナルなのが99%近く、強化現実経由)で、強烈なトラウマを刺激するような映像と音楽(音響)と仮想的な感触を並列化して送り込んで、精神的なショック状態を与えて、萌えゾンビから、解放していますよ?」児童会長の宇喜多さんが、若干黒い笑みを浮かべて言います。
「ええ、見事だわね、その手腕。この娘も黒い歴史を正面のモニタから被曝して、精神的なダメージを負ったみたいだし」ガーベラさんは淵島さんのダメージを把握しつつ言います。
「だけども、こう、魚河岸の商品のごとくいつまでも、津々浦々にゴロゴロ転がしておくわけにはいかないでしょう?それにだいたい、この状況、ほっとくと、こういう状況を隠蔽しようとする勢力の介入を受けて面倒臭いわよ?」
そうゆう組織に心当たりがあるんですか?ガーベラさん。
「ないけど、まあ、ありそうじゃない?こう黒尽くめの人物たちとか?」
それは淵島さんの持つフィクションのイメージだとは思いますが、ええと、まあ、存在するかもしれないですね?というか、地の文で肯定すると、存在が確定するわけですかね?
「地の文が言わないでくださいヨ、でも、確かに、後始末、誰がするんだロ?」イチャコラしながらリカルドくんが言います、その手が、ゆーき少年の衣装のきわどいところに届こうとした瞬間、瞬時にフレームアウトするように、体が弾けとびます。
「今のモーション見えなかったわよ?」ガーベラさんが、ヒア汗を書きつつ、足をリカルドがいた場所で振り切ったであろう、小柄な獣である、殺戮兵器リスであるところのなっちゃんさんを、驚愕の目で見つつ呟きます。
次に、殺意のこもった目で見られて、慌ててゆーき少年をその、10歳程度にしては大きい胸から離します。
「うーようやく世界が見えるようになってきました」視界が大きめな胸で制限されていた、美少年がほっと安堵の息を吐きます。
「それで?」地獄の底から、鳴り響く釜のにたつ音を、小柄な女の子が放ったら、こんな声になるのではないか?という感じで、ガーベラ淵島(日系三世くらいか、売れない芸人のリングネームみたいですね、この表記「うるさいですよ?」はい。)さんへ尋ねます。
「はい!答えますから、消さないでください!」そのキャラクターの生殺許可が目の前の少女に握られているかのような、そんな怯えた声を出しているガーベラ淵島さんでした。
「なっちゃん?」困惑気味なのは、ゆーき少年です。
「で?」
「はい、ただいま!」パンと手を打ち鳴らして、どこかに置いてあった、長い杖(淵島さんの身長くらい)を呼び出して両手で構えるガーベラ(魔法使いです)そして、その杖をパートナーにダンスするように、くるくるとその場で回ると光輝く帯、なにやらぱっと見理解できないような文字が描かれているそれが、周囲に展開していきます。
「あーなるほどですね」にっこり笑いながら、ゆーき少年が納得しつつ。
「合わせられますか?」ガーベラさんが尋ねると。
「了解ですよ『ししょーオネーさん』」ゆーき少年も両手に構えていた円筒状の砲撃兵器(ピンク色でかなりファンシー)をくるりくるりとバトンのように体の、そのきわどい衣装をはためかせるようにして、回して、同じように光の帯(文様付き)を展開していきます。
「つねならむはかなきゆめまぼろしよりうつつよへすすめうつろぶね」
「まわりまわりかえれかえれはじまりはおわりてんちょうはねのはし」
「りんかんめぐるわにしてらせん」
「ねじれくだけこねてみはじけん」
「こなたへたどれ」
「かなたへおとす」
「さてなれ」
「いとこや」
「あ」
「う」
「「」」
二人舞うは、うつつにて夢幻の舞台。奉納する柱はなく、仕組みそのものに捧げ、支配する言の葉と、色、音。
無色に塗られ、
無音が響く
すべて世は事もなし。
***
***
「はいそれでは、残りのお休みも、気をつけて、過ごしてくださいね!」
教壇から、かわいらし声で生徒たちに締めの言葉を放っているのは、ゆーき少年の担任の先生です。まだ若く、夢と希望に満ち溢れている女の子先生(美人独身)でした、しかしこの後、まさかあんなことが起ころうとは、誰も予想だにしていなかったのです。
「どうしてそう不穏当な発言が改まらないかな!」なっちゃんさんのツッコミがいい感じですね。スピンオフ的に女教師があーなったり、こーなったりするようなお話、書きませんかね。作者さん。
((呼んだ?))
異世界へ迷い込む、新任女教師とか結構需要があるようなきがするのですけど、どうかな?
「正直異世界転生まぎれ込みもしくはスリップ、モノ、ハ、供給過多だと思うヨ?」むむむ、やはりそうですかねーリカルド(スポーツ少年であまり読書しないタイプ)くんにも言われるくらいですからねー。
エロティックにすれば需要はあるかな?
((書けと?))
「書かなくていいです。そーゆーのはゆーきままだけに任せておけばいいと思うヨ!」確かに、今度提案しておきましょう。
「嬉々として担任ちゃんをモデルにして薄い本を書きそう(^ ^)、
是非読みたい*・゜゜・*:.。..。.:*・’(*゜▽゜*)’・*:.。. .。.:*・゜゜・*」
「相変わらずどうやって発音しているの?その顔文字?それと、さすがに先生がお気の毒だからやめなさいね」疲れた顔で淵島さんに突っ込むなっちゃんさんです。
今気がつきましたが、この人間関係、ツッコミ役がなっちゃんさんしかいないですね。これは負担がきつそうですね。
「あなたたちが、まっとうにお話を進めれば、疲れないのよ!」
ちょいちょいと、激昂するなっちゃんさんの袖を引くのは我らがゆーき少年です。
「ウスイホンってどういうことなんですか?なっちゃん?」相変わらず、そうゆう面では疎いと言うか、鈍感と言うか、むしろそうゆう能力なんじゃないかな?と思わせるようなキャラクタですね、かわいいです、大好きです、愛してます。
あ、急に愛でられて、赤くなった、美少年くん。いいなあぁ。
「ええと、まだ、お話が終わってないんですけど?」教卓の先生がちょっと涙目なのもいいですね。こういろいろいたずらしたくなる幼げな容姿ででも年齢的には大人で問題ないという、あれ、本当に妄想的にいいんじゃないかな?
「何がよ!」痛いですなっちゃんさん、頭が割れるように痛いですので、両手で挟みこんでギリギリするのはやめてください、あっ。
パキンと何か軽くて硬いものがわれるような音が周囲に響いていきます。あー周囲の人がさーと引いていきますね。
「ええと、それでは気をつけて下校してくださいね」じっとりと、気温管理をしている室内であるのにもかかわらず、脂汗をかいて、薄ピンク色のハンカチでそれを拭いながら、担任の新任教師ちゃん、通称はーちゃん先生は、教室をちょっと足早に後にするのでした。
「あー、エーと。どうしよう、これ?」ぶらんと力なく、その手の間でぶら下がっている物体をなんとも困った目で、見ているなっちゃんさんです。
「燃える日のゴミは明日でしたかネ」
「掘って埋める-_-b」どこらか取り出したそのシャベル?スコップ?
「ええと、語源の違いでどちらも同じものでしたっけ?」ゆーき少年、今はそういうトリビアはいらないと思います。
「どこへ埋めル?」
「園芸部が有機肥料が足りないって嘆いてたよ( ´ ▽ ` )ノ」
「こんな肥料で育つ作物は遠慮したいなぁ」ひどいですね。と言うか既に意識は戻っていますからね?無体に扱わないでください、地の文の人権もきっちり守っていただきたいですね。
「「「あるの?!」」」
その驚愕の唱和、あんまりじゃないでしょうか?
「お、お話、再開してもいいかなぁ?」ちょっと引き気味に見ていたゆーき少年がおずおずと発言しますね。うんいい子ですね。
「何か、お話してましたっけ?」本気で首をひねっているなっちゃんさんです、ええと、自分の首をひねって、疑問に思っていることを表現しているということですよ?地の文の首を真剣に殺意を持ってひねっているわけではありません。少なくとも今回は。
「うん、なるほど、こっちではこんな感じになるんですね」ゆーき少年は淵島さんに視線を向けて言いました。
「うぃ!b(^o^)」「基本常識の上書きだから、異常状態が日常であったという誤認識が正しい認識になるので、違和感がなくなるのですよ( ´ ▽ ` )ノ」
ご都合主義魔法ですね!
「???」不可思議な表情のなっちゃんさんです。
「あーえーとナ、なっちゃんさん、今日の午前中の出来事覚えてるカ?」
「うん、もちろんよいつもの通り、登校した、珍しく萌えゾンビが発生したから、児童会の面々と一緒に対処して、さっきまで後片付けしてたーーーーーあぁああああああ!」
認識が追いついてきたようですね。
「まあ、中心に近いキャラ達は、影響を及ぼす範囲が低いみたいですけど、これで結構ごまかせますね-_-b」
「なにこれ気持ち悪い!」
「うん、でも記憶を操作するほどでもないし、ちょっと認識を変化させるくらい?だから大丈夫だよね、多分、きっと?おそらく?」少し不安そうになるのは、術をかけた人間の立場的には怖いのでお止めいただきたい。
読み切りのマンガや小説で(コメディとかギャグとか、たまにシリアスなものとか)、次のシーンになったり単元が切り替わった時に、前回の影響がなかったことになったようになっていることがありますよね?
その原因の8割くらいがこの魔法の仕業なのですよ(当社比)(どどーんと効果音が鳴り響きます)。
ちなみにこの魔法の通称は『ダメダコリャツギイッテミヨウ』ですね。
こう言い放つと、カメラが激しく揺れて、中心キャラを含めて、控えていたモブも同時に素っ転びますね。そして、管弦楽的SEが短く特徴的に入ります。
そうそう、直前に爆発するのもありだそうですが、それはそれで別の落ちだそうです。
あれ、反応が無くなりましたね。人類の古き叡智に感動しましたか?。
「呆れているんだと思うんですよ、多分」よろよろと立ち上がるキャストの皆様を見つつ、いち早く立ち直ったゆーき少年が言いっています。
「昔ゆーきままに見せてもらったことがあるヨ、その番組」結構復帰が早いですねリカルドくん。
キー局が違う作品が混同されていたりもして、記憶というのは面白なぁと再認識しましたね。ええと、毎週土曜日午後20時に始まることを高らかに歌い上げて番組と、月1放映方式のコント番組とあったんでしたっけ?
「なんの話ですか´д` ;」
前世紀のお化けコント番組の話ですが何か?視聴率が40%を超える回があったとか?ちょっと化け物じみていますよね?
「視聴率?」
昔は、映像を無償放映してましてねー標本を抽出して、その時間帯にどのくらいの割合で放映時に作品を見ていたかの割合を観測していたのですよ。
「ええと、何のためニ?」
主には、制作費を稼ぐためにスポンサー確保における根拠とか、そういう用途ですね。
「???」
あーつまり、その時代はコンテンツが大規模な宣伝と同じで、無料で提供されている代わりに広告が入っていましてね?その番組の広告としての有用性を示すためのバロメータとして活用されていたわけですよ。
「「「へー」」」
まあ、スポンサーの意向に左右されて、あまり思い切ったコンテンツを切れなくなって、衰退していきましたが。後期某国では、明確なスポンサーがいない、『国営放送』なるコンテンツが先進的な映像やら、シナリオやらを繰り広げて、全方位向けの映像放送という斜陽文化を支えたという伝説もありますね。
閑話休題
「あ、また、閑話しかしてないような」
失礼な、少しは進んでますよお話。
「ええと、いろいろ認識の擦り合わせとかしなきゃいけなかな?」
とゆーき少年が自宅へのご招待を提案したところで、 次回に続きます。




