プロローグ
思えば、前世の俺様は恵まれていた。
大企業社長の父と華族の血を引く母を両親に持ち、次期社長の座を約束されていたし、幼い頃から英才教育を受け帝王学を学んだ、いわゆる生まれながらのエリートだった。
家は大豪邸。庭は車が走らせられるほど広くプール付き。
料理は一流のシェフが作り、太ったりすることがないよう専属のインストラクターなんかもいた。
金持ち校に通いながら株で儲け、学業優秀で生徒会長まで勤めていた俺様の、未来は明るいに決まっていた——のに。
車にはねられて気づけば、俺様は異世界で平民の子供になっていたのだ!
いや、異世界というのはどうでもいい。
平民だぞ、平民!
生まれながらに人の上に立っていた俺様が、平民の、それもとてつもなく貧乏なそれに成り果てたのだ。
一日二食、酷ければ一食で、肉なんてもちろん無い。
風呂は週に一回入れればいい方だ。学校に通う余裕も金もなく、一日中親の手伝いをして過ごすしかない。
今もまた、畑の種まきをしていた。
腰が痛くてさすっていれば、すかさず、母親だという女から叱責が飛んでくる。
「こら、なにしてるのリュー。それ早くやっちゃって」
「何故俺様がこんなことを……痛っ!」
「グズクズ言ってないの!」
少し手を止めるだけで頭を叩かれる。
ちなみにリューというのが、今の俺様の名前らしい。
フツフツと俺様の中で怒りが浮いてきた。
俺様だって、ただ死ぬよりはまだ生きられた方がいいと思ったさ。
だけど……、
「こんな生活、やってられるか!」
シェフの料理が懐かしい。ジャグジー付きの風呂が、退屈だった授業さえも。
俺様は叫びながら決意した。
この世界で必ず、前世と同じ水準の生活を手に入れてやる。
そう、俺様は、
「成り上がってやる!」




