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tenth  作者: 大友 鎬
第6章 失せし日々
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三魔

 30


「これだからゲスメイドは詰めが甘いのです。楽がしたかったのですが止むを得ませんね」

 ルクスの呟きとともに魔召鍵(アプリ)が輝き、瞬く間に三匹の悪魔が召喚される。

 最初に現れたのは鹿の姿をした四足歩行の悪魔。その瞳は赤く輝いていた。背には翼が生え、燃え盛る蛇が尻尾代わりに尻から生えていた。その後ろには二十六匹の小悪魔が連なる。

フルフル(嘘吐操魔)!」

 雷を操る悪魔の名をルクスが呼ぶとフルフルは応じるように嘶く。

 次に現れたのは赤い馬。と高速で上空へと飛び立った何か。その何かはほとんど人間と変わらない姿をしていた。空中で優雅に回転するとその赤い馬にうまく着地する。少し不気味に笑うとその人間のような悪魔の上に冠が乗る。どうだ格好いいだろうと言わんばかりのポーズを決めるその悪魔の下に自らが従える小悪魔が二十六匹現れた。

ベリト(虐殺魔人)!」

 人間の虐殺と拷問が趣味たる錬金術の悪魔の名前をルクスが呼び、ベリトは姿勢を変える。

 最後に現れたのは三つ首と人間の胴体を持つ悪魔。肌は黒く、三つの首はそれぞれ人、猫、蛇の顔に繋がっている。両手に握り締めるのは松明だろう。その灯りの下、可愛らしく座るのは醜い小悪魔二十六匹。

アイニ(虚言炎魔)!」

 ルクスが両手に持つ松明でなんでも燃やし尽くす火炎の悪魔の名前を呼ぶと、人の顔が笑い、猫の顔が鳴き、蛇の顔が威嚇した。

「あとは頼みますよ」

 ルクスが三匹の悪魔に命令すると、

「――消っ、消えた!?」

 悪魔士に姿が消える技能はなかった。

「呼んだ悪魔は三匹じゃなくて、四匹か」

 おそらく消えたのは自分に憑依させた悪魔の能力だろう。そう考えて僕はルクスの居場所を知る方法を模索する。

「悪魔と戦う日が来るなんてね」

「師匠の言うことはきいておくものでござるな」

「何をのん気にっ! これはあちきにも予想外だよっ! 悪魔だなんて……」

「ああ、気張らなくてもいいわよ、シュキア。レシュ、あんたもそこでのほほんとしてなさい」

「そうでござるよ。案外、楽に終わるはずでござるから」

 唖然とする僕とシュキアを残し、にんまりと笑ったアリーとコジロウは疾走する。

「冒険者ヨ。オマエタチニ、雷ナド不必要ダ」

 まるで相手にもならないと言わんばかりにフルフルが呟く。得意の雷を使わずに相手してくれるのかと思いきや、アリーめがけて雷を落とした。

 ……不必要じゃなかったのか。と思いながらも知識の片隅に引っかかりを覚える。

 言葉に惑わされなかったアリーは既に雷の落下点にはいない。

「次ハ、ソコニ落トサナイ。不要ダロウ、雷ナド!」

 言いながらフルフルはアリーが移動した先に雷を落とす。

「魔界デハ、戦イノ場ニオイテ傍観スルコトハ死刑デアルッ! モットモ人間ニトッテハソンナコトハナイダロウシ、魔界デモ実ハ、ソンナコトハナイ。ツマリハ嘘ナノデアルッ! ブハハハハッ!」

 饒舌に語るアイニが僕へと迫ってきていた。のほほんなんてしてる場合じゃない。

 アイニの松明を避けると【煙球(スモーカー)】を展開。目くらましついでに松明の炎が消えることを期待するも消えない。

「ネエネエ、聞イテクレルカイ? 僕サア、呼ビ出シタ彼ニハ『殺スナ』ッテ予メ言ワレテテネ、ソレデ僕モ『ウン』ッテ答エタンケドサ。ソンナノハ嘘ナンダヨ。僕ハ虐殺シテコソ、僕ナンダシ!」

 その場しのぎで言ったことを懺悔したいのか虐殺大公ベリトはコジロウに語る。

「別に拙者はどっちだろうと構わんでござる。どうせ、倒されるのはお主でござるからなっ!」

「アハッ、ソーナンダ。ダッタラ左カラ行クヨ」

 そう言いつつベリトは右から迫っていた。

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