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tenth  作者: 大友 鎬
第6章 失せし日々
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決意


 26


 昼食を摂り終えると同時にエリマの話も終わった。

「これで分かったはずさ。だからあんたらは勝てない」

「あー、その話聞いたらたぶんレシュは勝ち負けなんてどうでもいいって感じになってるわ。そうでしょ?」

 アリーが嘆息しながら指摘するが、ずばりその通りだった。

 僕が頷くと、

「……どういうことだい?」

 エリマが不思議な顔をしていた。

「やれやれ。また、助けるつもりでござるな?」

 コジロウが分かったように尋ねてくる。

「そりゃ、助けるよ。助けなきゃ。仲間だし」

「言うと思った」

 アリーが呆れる。

「にしても、やっぱり巻き込まれていたのね」

「巻き込まれていたならなおさら放っておけないよ」

 それを見ていたジネーゼが呟く。

「やれやれ。お前見てるとお前と旅してなくて良かったって思うじゃん!」

「何それ……もしかしてジネーゼは金魚のフンと旅したかったわけ?」

「……なわけないじゃんっ!」

「いや、どー見ても今のはしたかった発言だと思うけど」

 ジネーゼの言葉の真偽はともかくとして、リーネの言葉に敏感に反応したのは紛れも無く変態だった。

「なんだとっ!? だったら俺さまと冒険しないか?」

「死ねじゃん!」

 お口チャックマン状態をやめたアエイウに、ジネーゼは怒鳴る。

「アエイウ! 用事も済んだしとっとと行くよ。残りの時間はハーレムのメンバーを探すんじゃなかったかい?」

「ガハハハ! おおっと、そうだった。そうだった。俺さまを待っている美女はたくさんいるのだった。それではジネーゼ、リーネ、アリテイシアにコジロウちゃん、さらばだ」

 なぜかこの場にいる女性の名前を呼んで去っていく。しかもコジロウはちゃん付けだった。

「キモっ……」

「同感じゃん」

 リーネのぼやきにジネーゼが同意した。当然、アリーやコジロウもげんなりしていた。

 その後ジネーゼたちと別れた僕たちは試合に向けて準備を始める。

 アリーは武器のメンテナンスに勤しみ、コジロウは瞑想していた。

 僕はそんなふたりに一言断りを入れると、ジネーゼたちを探しに行くことにした。言い忘れていたことを思い出したのだ。

 試合開始五分前、ようやくうろちょろしていたジネーゼを発見し、一言告げる。

「時間がないからいろいろ省くけど、準決勝終わったら手伝ってほしいことがある」

「はあ? 待つじゃんよ。省き過ぎで意味わかんないじゃん!」

 僕の話が分からなすぎて戸惑うジネーゼを尻目に僕はアリーたちと合流する。

「こんなギリギリまで何やってたのよ」

「人助けの……準備かな?」

 シュキアの前なので詳しいことは話せないが意味は通じるだろう。

「間に合ったからまあいいわ。行きましょう」

 アリーはいつも通り呆れつつ僕を先導した。

 いよいよ準決勝だった。

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