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tenth  作者: 大友 鎬
第6章 失せし日々
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負担

10


「また重荷を増やしたんじゃないの?」

 外に出るとアリーに言われた。図星だった。

「というかよくあんなことに気づいたわね。フツー気づかないわよ」

「昔読んだ本に載ってたんだよ。夜に旧き印を描いた石で魔方陣を描くとナイトゴーントが召喚できるって。でもまあ、旧き印や魔方陣がどんな形なのか誰も知らないって書いてたからなんだそれって強く印象に残ってた。それにゴーザックさんに少し不思議な感覚を抱いたんだ。たぶん自分が触れないことを知っているからこそ、誰にも触れないようにしていた違和感だと思うけど。グールについても本に起源が人間であるという可能性があるって書いてあった。人語を理解するなんてことは魔物(モンスター)にしては珍しいほうだからああいうふうに推測できたんだよ」

「変に鋭いわよね、あんた。魔物(モンスター)についても妙に詳しいし」

「やたら調べる時間があったってことだよ。島に居たときは居心地も悪かったから読書と修行で気を紛らわしていたから」

「しかしながらそれが実った結果が今でござる」

「むしろその知識とやらで余計な推測を語って挙句、勝手に重荷を背負うんだから厄介だわ」

「しかし厄介、厄介と言いつつ、突き放したりはせぬのでござろう?」

「うっさいわね」

 そっぽをむくアリー。頬が赤くなっているような気がした。こんな僕でも見捨てないアリーとコジロウがいるから、今の僕がいるんだろう。

「とにかく、戦闘の技場(バトルコロシアム)の情報収集を兼ねて、隣の闘技場に行くわよ」

 アリーが話題を変えるようにそう言って、大通りを横切ると、ものの数分で太陽の闘技場(ソールコロッセオ)にたどり着く。

 入口と思しき扉がふたつあり、そのひとつには受付があった。

 もしかしてこの人もゴーザックと同じだろうかと懸念する。アリーに睨まれたので、尋ねるのを断念して、顔を逸らす。

 すると受付横の看板に順位が張り出されていることに気づく。しかも僕らが一位だ。

「これどういうことだろ?」

 その声に反応して、受付が反応する。

「よくぞお気づきになりました。戦闘の技場(バトルコロシアム)は実は十六組しかエントリーできません。先着順といえば非難轟々。そこでです、過去に行なった的狩の塔(ハンティングタワー)で点数の高い順にエントリーできるようになっているのです。ということであなた方はすぐにでもエントリーできますよ、レシュリーさん」

「はあ……」

 矢継ぎ早に言われ、少し困惑する。

「ですがまあ、エントリーしても今のままでは人数不足で不戦敗になってしまいます。ここでは四人一組じゃないと受けることはできないのです」

「それは初耳ね」

「もちろん、自力で探すのは困難という人たちのためにこの闘技場の裏手に酒場をご用意させていただいております。そこではエントリー枠の問題で戦闘の技場(バトルコロシアム)を受けようにも受けれない冒険者が多数います。すぐにでもエントリーできるあなた方と仲間になりたいという方は多いはずです。ぜひともご活用ください」

「何にせよ、エントリーはできるのよね」

「ええ、それは問題ありません。ただ人数が揃わなかった場合のみ、あなた方は不戦敗となります。その場合、次回のエントリーはペナルティとして見送りになります」

「じゃエントリーしておいて。仲間はあんたが言うその酒場とやらで探せばいいわ」

「かしこまりました。それでは試練は明後日明朝から行ないます。試練中最大三日間は闘技場に拘束されますので、準備がございましたらその前にお願いいたします」

 受付が一礼し、エントリー用紙を受け取ると僕らは酒場へと向かった。


 ***


「よほほほほほっ! 出場者は集まったでおじゃるか?」

 太陽の闘技場(ソールコロッセオ)受付へとオジャマーロは顔を出す。

「これはこれは、よくぞおいでなさいました」

 雇われの受付は雇い主たるオジャマーロへと頭を下げる。

月の闘技場(マーニコロッセオ)での試練が終わったときいたでおじゃる。さて今回は三人組はおったでおじゃるか?」

「今回、的狩の塔(ハンティングタワー)を合格した三組ですと、ここに来られたときは三位がふたり、二位が四人、一位が三人でした。うまくいけばこの一位の三人組に入り込めるかもしれません」

 そう言ってエントリー用紙と三人の顔写真を見せる。

「よほほほほっ! なんとびっくりぞえ! この三人、最近入った[十本指ザ・ゴールデンフィンガー]でおじゃる。話題性抜群でおじゃるよ! うまくいけば今回も一攫千金のチャンスでおじゃる! よほほほほっ!」

 オジャマーロは景気よく笑い声をあげた。

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