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tenth  作者: 大友 鎬
第11章 戻れない過去
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終極魔窟・序編-2 乱入

『ELECT>こんなはずじゃあない。こんなはずじゃあなかった』

 世界に見放されたようにPCが叫ぶ。

「負け惜しみかァ。出直してきなァ」

 ディエゴが顔面めがけて蹴りを放つとともに言い放つ。

 ELECTはついてない男だった。

 昨日、彼はバグ★スターと呼ばれるRPGが異世界転生に対応するという告知を見て驚いた。

 あえてバグを残した、と開発者が言うほどのバグまみれだった。そのバグを利用してLVマックス、所持金マックスなどが容易に可能で、彼はバグを利用しまくってバグ★スターではトップランナーだった。

 だからこそウキウキで今日を迎えたのだ。

 結果、ディエゴと戦っている時点で、終極迷宮への挑戦という転生への切符は手に入れていた。

 がしかし、彼が挑戦する寸前、バグ★スターに修正が入る。あえてバグを残したという開発者の発言はそもそも炎上していたし、そのバグを利用したものを転生に利用できるのは公平性に欠けるとの指摘もあった。

 バグの修正か挑戦権の剥奪か、バグ★スターの選んだ道は前者だった。

 ELECTたちバグ★スターの戦士たちの挑戦は無残なものだった。LVこそ修正されず適した階層のNPCたちと対戦になったが、ステータスはバグ利用で上昇したものは是正されていた。

 バグを利用しすぎたELECTはディエゴたちのいる階層に転送されていた。ステータスは最低値のままで。

 だからこその瞬殺。

 他の階層でもバグ★スターの戦士たちはほぼ一撃で瞬殺されていた。

 のちにPCの世界でバグ★スター事件と呼ばれる炎上騒動はNPCたちにとっては関係ない。

 ELECTひとりを倒したところで戦闘は終わらない。

 

 直後、だった。

 そこに乱入者がやってくる。

 本来ならPCと戦う階層に乱入者は許されない。

 もちろん、その戦闘でのルールに補充が組み込まれていれば問題ないが、今回は四対四の殲滅のルールでお互いに補充はない。

 NPCたちはディエゴにトワイライト、サスガに加えレストアと呼ばれる冒険者がいた。

 PCたちは先程倒されたELECTに加え、虎柄の衣装に身を包んだtosyutora、仮面で顔を隠したDADADAに大きな鷹を連れ添った弓術士のyahato。

 それ以外は不可侵。

 そのはずだった。

 不可侵が破られたからか警告が鳴り響く。エラー音のようにどことなく人を不安にも不快にもするような音だった。


「お邪魔するぞ」


 乱入者の顔を見て、ディエゴたちに緊張が走る。

 仇として倒したばかりの顔がそこにはあった。

 キング、そしてクイーンだ。 

 クイーン・オブ・カグヤ〈7th〉、キング〈7th〉。

 おそらくどちらとも本名ではないはずだが、ディエゴたち〈10th〉の世界ではその名前で通っている。

 それが適用されたのかもしれない。その時点で異質さが際立ってた。

 他に三人。

 クロスフェード・シュタイナー〈7th〉、リオリット・イター〈7th〉、タミ・ミネタ〈7th〉。

 誰も聞いたことがない名前だった。


「どうやって入ってきやがった?」

 ディエゴの声には気に食わないという感情が入っていた。

 次元が違えどキングは仇だ。それに〈7th〉のディエゴはとっくに死んでいた。

「もちろん種も仕掛けもある。話す気はないが」

 キングはディエゴを一瞥だけして答える。

「終極迷宮の記録保持者(トップランナー)がお前たちだとは何たる因果だ。王の覇道を邪魔した奴らとそっくりではないか」

「俺たちはこっちのお前を殺すために少しだけ終極迷宮から脱出していたもんでなァ。そのときの記録保持者(トップランナー)はとっくに追い越した」

 そうなのだった。

 ディエゴが本格的に冒険を再開したときに記録保持者(トップランナー)は入れ替わっていた。だが、冒険を再開して再度記録保持者(トップランナー)に躍り出たのだ。

 そういう意味ではそのディエゴたちにしがみついてきているレストアという冒険者は相当な実力を持っているのかもしれない。

「ふむ。そうか。そちらはそういう世界線か」

「性格も何も違いすぎるな」

 ディエゴが知っているキングではないことに調子が狂っている。とはいえ本質はキングはキング。多少の差異があれどそれは変わらない。

 十全の警戒は怠らない。

 それでも一瞬だった。

 tosyutora、DADADA、yahatoがキングの手によって一瞬で消滅させられていた。

「さて、覇道を邪魔するPCは消え去った」

「次はオレたちの番か?」

「察しがよくて助かる。王たる王の覇道の糧とさせてもらうぞ」

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