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tenth  作者: 大友 鎬
第11章 戻れない過去
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超人計画編-13 加三

 ザイセイアさんを守るように追い越して、僕たちへと名前の知らない冒険者たちが襲いかかってくる。

 僕よりも先に出たアリーがひとりの冒険者の攻撃を受け止める。

 断切刀剣(カットラス)の刀身がアリーの狩猟用刀剣〔自死する最強ディオレス〕とぶつかる。

「武器強化の強さを実感するわね」

 アリーがわずかに押されていた。断切刀剣〔油断するアイジム〕+3を抑えるのに精一杯になっていたアリーの横から鉄鞭〔献身のギギユ〕+3が振るわれる。同時に魔物使士が使役するウルフ2匹が襲いかかる。

 応酬剣〔呼応するフラガラッハ〕がアリーの身を守り、

「燃えろ、レヴェンティ」

 魔充剣から迫るウルフめがけて【弱火】を放つ。火に怯えたウルフが逃げ帰っていく。

 が攻撃は止まらない。断切刀剣で切りかかってきた狩士を蹴飛ばすと、忍士がふたりががりで飛びかかってきた。忍士はそれぞれ丁字返短剣(ペシュカド)肉切短剣(クファンジャル)を持っていた。

 僕が瞬時に【速球】を二発繰り出す。二人の忍士が【変木術(ウッドチェンジ)】で回避してこちらへと標的を返る。

 忍士の持つ丁字返短剣〔不揃いのアンドレ〕+3を鷹嘴鎚〔白熱せしヴァーレンタイト〕で弾くと、次いでもうひとりの忍士が肉切短剣〔不揃いのカンドレ〕+3で切りかかってくる。

 動きを見切って【転移球】で回避。

 偶然か必然か、名前の知らない冒険者たちが扱う武器はどれも見知った冒険者たちの名前を冠していた。

 それがひどく僕の感情をまさぐってくる。

「ドイテクダサイ」

 アリーと僕のような阿吽でまだ息が合わないジェニファーが忠告。

「ちょっとはこっちに合わせなさい!」

 ジェニファーが取外式巨大槍(ンギンドザ)を思いっきり振りかぶっていた。その軌道上にアリーがいるからこその忠告だった。

 それは連携以前のような気もする。元より戦闘専用ではないがゆえに直線距離での最短を選択した感じだろう。

 長柄鎌(シィアー)を手に持ったリザードマンが尻尾で応戦。当然、獣化した冒険者で魔物ではない。取外式巨大槍(ンギンドザ)をうまく受け流し、そのまま長柄鎌〔蜥蜴男のジゼロ〕+3が強襲。

 同時に後ろに回り込んだワーウルフに獣化した冒険者が長爪〔人狼のムサハ〕+3でジェニファーを強襲。

 ジェニファーも覚束ないながらも基本に忠実な足さばきで長柄鎌(シィアー)を回避。だが背後には気がついていない。

 けれどそのワーウルフが急に倒れ込む。【不在証明(アリバイ)】によって姿を消えていたジネーゼが倒していた。

「毒は使ったけどすぐに解毒したから致命的ではないじゃんよ」

 弁明を聞いて少し安堵している自分がいた。

 やっぱりザイセイアさんの理由を知らなければ、そう思った。

 戦わなければならない、などという使命感にザイセイアさんは脅迫されているようにも見えた。

「余所見しない!」

 アリーに背中を蹴られて無様に転ぶ。

 僕がいた地点へと戦鎚〔勇ましき竜殺しノノノ〕+6が打ち下ろされていた。かなり筋肉質な肉体。狂戦士だろうか。

 狂戦士の厄介さはアエイウで痛感している。

「ごめん! ありがと」

 アリーにお礼と謝罪を告げて立ち上がる。ザイセイアさんに味方する冒険者はたくさんいる。

 同時に土の塊で作られた鎚が雨のようにこちらへと放たれていた。後方、魔法筒〔開戦を告げるテッソ〕+3から放たれた【土轟鎚(テレモトマルテロ)】だった。

「避けて!」

 上から降ってくる土鎚を避けるだけならまだましだった。戦鎚を持った狂戦士が地面に落ちた岩を破壊してこちらに飛ばしてくる。

 同時に岩の陰から狩士の冒険者が二股槍(ドゥ・サンガ)で攻撃を仕掛けようとこちらの様子を伺っているのを見つける。

 【転移球】で後ろに周り、肩を叩く。

「うわああああああ」

 怯えた狩士が二股槍〔髭蛇竜士のハイム〕+3で突き刺そうとしてきたが慌てすぎて狙いが甘い。首を手刀でストンと叩き気絶させる。体術の賜物だった。

 余裕があるように見えて余裕なんてなかった。

 絶え間なく襲いかかってくる冒険者を攻撃をいなし、気絶させるものの総数が多い。

 むしろザイセイアさんがその気迫に気圧されているような感じがした。

 冒険者たちの攻勢が収まるまで積極的に攻撃しようとしていない雰囲気まであった。


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