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tenth  作者: 大友 鎬
第10章 一時の栄光
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沁情切札編-52 低下

エース

LV1225(ランク7上限) 超剣師 ランク7

ATK:96000 INT:92990 DEF:66425 RGS:44400 SPD:104355 DEX:104125 EVA:65025


 低下が止まらない。


「何をした! 何を!」


不在証明(アリバイ)】によって消えていたジネーゼを見つけようと周囲をまんべんなく攻撃するエース。

「無駄じゃんよ」

 ジネーゼは言う。「ジブンはそこにいるけど、どこにもいないじゃん」

 追撃。さらにエースへと一撃が放たれる。


エース

LV1225(ランク7上限) 超剣師 ランク7

ATK:95000 INT:90990 DEF:62425 RGS:40400 SPD:104055 DEX:104005 EVA:64025


 低下が加速する。


「不可解だろォ?」

 ディエゴが笑う。

「お前には毒も、能力低下も本来なら通用しない。そういう固有技能を持っているんだろうが、それでも透明お嬢ちゃんの毒は通用しちまってる」

 エースの動揺ぶりを見れば、ディエゴもさすがに気づく。

「もはやそれは毒だが毒ではない、と結論づけてもいい。だが本質はそうじゃない」

「何が言いたい?」


エース

LV1225(ランク7上限) 超剣師 ランク7

ATK:94000 INT:89990 DEF:60425 RGS:39400 SPD:94055 DEX:94005 EVA:63025


「お前は世界に嫌われすぎた」

 ディエゴが一言。

「おとぎ話のような話だ。それでも寝る前には絶対に言い聞かされてきたもんだ。世界には嫌われるな、と」

 ジネーゼを探すエースに向かって、ジャックとディエゴが肉薄。距離を詰めて、万一にでも逃げようとする可能性を潰していく。

「お前は世界が定めた法則を逸脱した。要するに」

 ジャックがエースの首を絞める。

「固有技能覚えすぎってことだネ」

 そのまま地面に叩きつけるが、背負投するようにエースはジャックを蹴り上げる。

 がそこにジャックごと巻き込むような【弱火】の連弾。

 当然、エースが取る行動を読んでのことだ。

 一撃、二撃と食らうが、まだ能力値は高い。

 それでもわずかでも効いたという手応えがディエゴに妙に自信をつける。

「それが、どうした。なら錬金術師はどう説明する? そいつも確かエースにして王、王にしてエースと同様の固有技能を有しているではないか」

「だが、あいつは投球オンリーだ。投球内での万能性は世界が認めても、お前みたいな固有技能でなんでもありを世界は許してはくれない」

「ふざ、けるなああ」

「だからこそ、あのお嬢ちゃんの毒は、お前の固有技能の隙を突いたんだろう」

「エースにして王、王にしてエースの技能に隙などない」

「それだよォ。隙のない技能が技能同士を競合させ、お前では判断できない隙間を作ったんだ。そしてそれこそが世界に嫌われすぎた証拠だァ」

「考察するに、都合のいいことばかりが重なって逆に不都合が生じたのサ」


エース

LV1225(ランク7上限) 超剣師 ランク7

ATK:85000 INT:80000 DEF:40055 RGS:30000 SPD:90055 DEX:84005 EVA:53025


「そして逃さねえ。片を付ける」


 目にも止まらぬ速さで展開した【絶封結界(ホリゾントバリアー)】が

 エースとジャック、ディエゴ。そしておそらく見えぬジネーゼだけを包み込んだ。


***


「置いていかれたでするな」

「この状況だ。仕方あるまい」

 サスガが嘆き、トワイライトさんが嘆息する。

 ディエゴは僕たちの誰をも戦いに参入させまいと【絶封結界(ホリゾントバリアー)】を展開していた。

「ジャックはともかくジネーゼが……」

「ジネーゼを選んだのは、現状必要であり、おそらく大丈夫と踏んだでする」

「もしかして透明中は無敵ってこと?」

 サスガが頷く。

「推測止まりであるが、エースがあれほどまでに攻撃を与えられないというのが証拠でする」

「まあ、心配だろうが、ディエゴがいる。ディエゴが判断したからには全力で彼女を守ってくれるだろう。私達とて、あの場には選ばれなかったのだ」

 トワイライトさんとサスガが悔しそうな顔をしていた。精神摩耗が激しいサンスも当然ながら選ばれなかった。

「けどこれがベストでする」

 同時に最善手であるのは僕にも判断できた。

 ジネーゼの攻撃で能力低下が起こっていると理解したときにとっさに動いたのはジャックとディエゴだけだ。

 ジネーゼの能力低下が続くのであれば、できるだけ長引かせるのが得策だと判断していた。

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