終極迷宮編-13 救命
『Re:ENCORE>やるね』
一瞬で駆け抜けていったレシュリー・ライヴにRe:ENCOREは素直に感心する。
まさに一瞬の出来事。
まだ本気を出していないと言えば負け惜しみか。
Re:ENCOREの能力を使う前にルルルカとアルルカが危機に瀕していると判断するや否や、危険を承知で【転移球】で転移していった。
転移先は筒抜けでlaser scissorsに任せていたが、さすがのlaser scissorsも匕首の処理に手一杯のようで、任せきりにしたRe:ENCOREも責める気はなかった。
レシュリーが転移した直後、アルルカではなくルルルカが死んだ。
けれどもレシュリー・ライヴは言い放ったのだ。
「僕が、ルルルカを助けてみせる」
と。
死者を救ってみせると。
Re:ENCOREも聞いたことがある。こちらのPCだって蘇生魔法は使う。
ただし、Re:ENCOREが異世界転生を向かうTenthの世界には蘇生をする道具は存在しない。
癒術という技能に蘇生が存在するが、レシュリーも使うことはできない。
待てよ。
Re:ENCOREは情報の片隅にあった情報を思い出す。
『Re:ENCORE>レシュリーを止めて』
それだけで全員が動き出す。
sourisがアルルカへと向かっていた刃の方向を変えてレシュリーへ。
ルルルカ死亡により手漉きになったlaser scissorsがレシュリーへと銃口を向けて、
yoshitaro iidaがアリーとコジロウの目の前に蜘蛛の巣を射出。
бeper aдもRe:ENCOREともにレシュリーのもとへと駆け出していた。
『Re:ENCORE>【蘇生球】を使わせるな!』
『Adgk;>は?』
『candy store>え?』
『yo-gur party>マジ?』
『Black cat>ないない』
誰もがRe:ENCOREの言葉を信じない。
廃れたと言われた職業――投球士の、覚えるのも難しく、成功率の低い投球のひとつ。
ごくまれに現れる投球士系複合職ですらこの技能を使ったのは一度。
しかも失敗している。
だからこそ【蘇生球】の情報は少なく、Re:ENCOREも忘れかけていた。
けれど、嫌な予感がした。
その嫌な予感が、まるで嫌な経験を思い出すようにRe:ENCOREにその情報を思い出させた。
だからこその号令。
既にレシュリー・ライヴは【蘇生球】をふたつ【造型】していた。
連投。
その球を【捕縛恤・無我鞭遊】が叩き――
落とせなかった。
sourisに衝撃。見れば先程まで戦意を失っていたか弱い少女がsourisへと体当たりしていた。
sourisにとっては大した威力ではない。
それでもその少女の体当たりは手元を狂わせ【捕縛恤・無我鞭遊】を外させるには十分だった。
「姉さんはわたしが守るんだっ!」
十本の匕首がlaser scissorsの銃弾へと襲撃。
涙ながらに叫ぶその少女の声は全集中をしていたlaser scissorsの意識をそらすには十分だった。
laser scissorsにも姉がいた。だからかもしれない。
そのわずかがスピカの精密射撃に狂いが生じる。
撃ち損じた一本の匕首がlaser scissorsが足を掠める。
その間に【蘇生球】はルルルカの体内へと侵入し
――効果を及ぼさなかった。
『Black cat>ほらね。ありえない』
『kiwami relay>でも成功率はガチャとかより高い……はずw』
見ている側は随分と楽観的だった。
『souris>何発撃てる!?』
『laser scissors>鬱陶しいのよ!』
一方で、ふたりは必死だ。
蜘蛛の巣の迷宮の分断で、бeper aд、Re:ENCOREがたどり着けてない一方で
アリーとコジロウもsourisとlaser scissorsの元へとたどり着き、人数差が生まれている。
捌き切れないわけではない。
けれど目の前のルルルカの必死さに、完全に動揺しているのだ。
たぶん、殺してしまおうと思えば殺せる。
カジバの馬鹿力を消費しきって疲労している少女だ。
魔充剣が壊れるのを恐れて振り回すこともしない。
匕首をメインで使っている。本領とは言い切れない少女の気迫に圧されていた。
そうこうしているうちに、再度投げた【蘇生球】が二発。
おくれてさらに二発。
つまり四発が、ルルルカへと向かっていく。
『souris>ひとつは確実にやる!』
「させないっ!」
「当たり前っ!」
ルルルカの呼応にアリーが吠える。
ここに来てのsourisへの【三剣刎慄】だった。
『бeper aд>カクレミノ!」
だが同時にбeper aдも到着する。
Re:ENCOREが対アリーに用意した疑似異世界転生系オンライン<防装女師はくっつかない>の防装女師である。
そして彼が到着したということはRe:ENCOREもそこに到達している。
そのRe:ENCOREが4つある【蘇生球】をひとつを【豪速球】で撃ち落としていた。
なぜRe:ENCOREがその技能を使えるのか。
答えは簡単だった。
彼は自身の能力を発動していた。




