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tenth  作者: 大友 鎬
第10章 一時の栄光
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沁情切札編-8 切断

「91+010101010101010101(があああああああああ)!!」

 口から吐き出された溶岩が、ジャックを襲う。

 【溶岩吐息(ラヴァブレス)】と呼ばれるそれはヴァーゴの得意技だった。

 自らが殺したヴァーゴの口と溶岩を吐き出すための器官を植え付けらたカプリコーンは何の呵責もなくその能力を使用していた。

 弱かったものが悪い。まるでカプリコーンに言い訳を用意してくれたかのようにキングは言った。そもそも仲間同士で戦うことに何の疑問も抱いていなかったはずなのに、カプリコーンはどこかで感じていた言葉にしがたい感情が消えていくのを覚えていた。

 ジャックはその溶岩をたやすく避ける。カプリコーンは実力的にはランク5。改造によってランク7に近いランク6だろうとジャックは考察していた。

「なるほど」

 ジャックはカプリコーンに接近せず停止。

 無差別に所構わず【溶岩吐息】を吐いたというわけではないようだった。

 地面に付着した溶岩は、その場で停滞していた。

 避けたら終わりというわけではなく、溶岩がとどまることで、行き場を限定する役割もあるようだった。

「王の間を汚して良いのかい?」

「91003905610905699979,3525837795272577+8339*05(寛容な王のこと、許してくださるでしょう)」

 カプリコーンは行き場を限定することで、自分の動線を誘導することで何かをしようとしている。そう考察したジャックはあえて誘導されてみる。

 案の定、カプリコーンは誘導されたジャックへと鋏を突き出した。元々はキャンサーのものだ。

 転がるようにカプリコーンの足元へと潜り込んで回避したジャックに、カプリコーンはニッと笑う。

 自分が張った罠にかかったことがよほど嬉しいと言わんばかりに。

 対してジャックは至極つまらなさそうだった。

 考察通りに行き過ぎて、面白みも何もないのだ。

 キャンサーのだった鋏がカプリコーンから分離、それを繋ぐのはジェミニのだった軟体のような腕。それがジャックを逃さないように巻きつけようとしていた。

 ジャックはカプリコーンが自身の能力を含めて四つの能力を持っているだろうと考察していた。カプリコーンはこれみよがしに他の能力を使っている。ならば体を拘束した後はカプリコーン自身の必殺の一撃を受けてくるだろう。

 あえて、巻き付かれてみるか。

 強者の余裕、考察者の探究心、どちらとも取れる。

 ジャックが下したのは


「飽きた」


 一言。

 何が起こったのか分からなかった。

 がジェミニの軟体のような腕が細切れに千切れていた。


「616319(何を!?)」

「言っただろう、飽きたって。キミと戦うのは飽きた。面白くない。考察に値しない。面白そうだからキングがいなくても付き合ってあげたのにキミは単調だ。王を守るために戦い、考察通りの動きしかしない」


「だから、もう終わりだ」

 カプリコーンが何かを言う暇も、何かをする暇も、なかった。

 一瞬。

 実力差ゆえに何もできなかった、とも言えるかもしれない。

 けれど今までのジャックと決定的な違いがあった。

 カプリコーンの首が切断され、顔が宙へと飛ぶ。

「ごめん。ひどくつまらなくて力加減ができなかった」

 ジャックは首と胴体で二分されたカプリコーンにそう謝罪する。

 今までのジャックは力加減を調節して、首を締め、絞殺に至らしめていた。

 ジャックは、ジャック・ザ・チョッパーと呼ばれながら

 なぜか考察者にして絞殺者だった。

 本来なら切断者(チョッパー)であるべきなのに。


 その答えがこれだった。


 苦締めるのではなく、一気に力を入れて首を締めて、握り潰す。

 そしてその勢いが強すぎるがゆえ、顔が宙に吹き飛んでいた。

 それがまるで雑に切断されたように、千切られたように見えるのだ。


 この圧倒的握力こそがジャック・ザ・チョッパーの真骨頂だった。


 キングともに行動するときでさえ絞殺者(チョーカー)だったジャックは、この機を境に本性を現した。ジャックには秘めたる目的があった。

「さて、キングをこのまま待つとしよう」

 キングの家来(ジャック)だった彼はまるで反乱を起こすかのように、玉座へと腰をかけた。

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