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tenth  作者: 大友 鎬
第9章(後) 渇き餓える世界
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肉塊

132


 ドゥドドゥドゥ・ジョーカーの下半身が膨れていく。

 それは大きな心臓のようにも見える肉塊だった。巨大な部屋の半分は覆い尽くさんと言わんばかり。

 同時に狭苦しくなった部屋が動き出し、中庭のように変形。空が開いていく。

 暁の空。

 そこに浮かぶのはドゥドドゥドゥ・ジョーカーを上とする肉塊だ。

「ヒャーハハッハッハ!」

 狂い狂い、狂い咲くようにドゥドドゥドゥは笑う。

 ドゥドドゥドゥと肉塊を挟んで真下。そこに現れたのはウルウ。

 いやウルウとその元になったディエンナ・カーメリックが継ぎ接ぎでまるで縫いぐるみのようになった姿でその肉塊に出現していた。

 上にドゥドドゥドゥ。

 下にウルウ(猫星)≡ディエンナ。

 間の肉塊とふたりの中点。そこを十二等分するように、そして方角を指し示すかのようにそれぞれを司った星々が出現する。


   子

  亥 丑

 戌   寅

酉  猫  卯

 申   辰

  未 巳

   午


 元の姿と改造された姿。それが順序なく、秩序もなく、慈悲もなく、継ぎ接ぎで縫い付けられた姿で出現していた。

 彼らは改造された十二支悪星であり、改造されてしまった冒険者でもあった。

 ゆえに、


 コントン(子星)≡ラリリアン。

 セキフンジャク(丑星)≡ミトリステ。

 セッテイカク(寅星)≡ザンギ。

 タンアツ(卯星)≡デスコ。

 ダイコウラク(巳星)≡チュツェリカ。

 トンショウ(午星)≡ブリーモ。

 キョウコウ(未星)≡ファッタン。

 トンタン(申星)≡モンキッキ。

 サクガク(酉星)≡バードル。

 エンモ(戌星)≡ドッカー。

 ダイエンケン(亥星)≡アーフェイ。


 十二支悪星にして、十二の冒険者は、嘆き恨み悲しみ怒り泣き喚き、負と呼べるあらゆる感情を垂れ流す。

 シネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデドウシテシネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデ

 ネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデドウシテシネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデシ

 コロスユルサナイタスケテニゲロナンデドウシテシネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデシコ

 ロスユルサナイタスケテニゲロナンデドウシテシネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデシコロ

 スユルサナイタスケテニゲロナンデドウシテシネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデシコロス

 ユルサナイタスケテニゲロナンデドウシテシネコロスユルサナイタスケテニゲロナンデシコロスユ


 あらゆる場所から向きから逃げ場のないほどに反響する負の不協和音。

 聞いているだけで不快。聞かされているだけで不快。

 静かな場所で口ずさむ音程の不確かなメロディーのような、耳を塞いでいても零れ聞こえる騒音のようなそんな不快感が、この場を盛り上げる――いや、ドゥドドゥドゥ・ジョーカーだけを盛り上げる舞台音響のように響き渡っていた。

 指揮者のようにドゥドドゥドゥは笑い、

「さーあ、舞台は整ーいましーた。レシュリー・ライヴを殺す復讐の舞台がねええええ」

 今まで対峙していたディエゴに興味などなく、ドゥドドゥドゥは先程やってきた、未だ状況が分からないであろう、レシュリーへ怨嗟を告げた。

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