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tenth  作者: 大友 鎬
第9章(後) 渇き餓える世界
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拡散


117


アリーとアルルカ、コジロウ、そして僕。

 四人が使える技能をそれぞれ考える。

 コジロウはインスタフライとハエトリグサから逃げる役目がある、それを踏まえてできることを考え、できないことを排除していく。

 時間はない。

 一気に大勢のインスタフライを倒す方法。

 言い換えれば【照明球・青】の光を大勢のインスタフライに当てる方法。

「――ッ!」

 【照明球・青】で絶対数を減らしながらも、減らないインスタフライに苛立ちを覚えながらも、思いつく。

 打開できる光明。

「アリー! 【水鏡】は使える?」

 僕の声にアリーが耳を疑った。

 ここでの提案が、炎で焼き尽くすことでもなく、その正反対。

 しかも反撃用の魔法なのだ。

 それでも――

「使える、けど。熟練度は低いし、解放した【水鏡】は魔法よりも凸凹してるわよ!」

「むしろ、それが好都合だよ」

「コジロウは薬を隠しておいて。【収納】でもいい」

 承知、と頷くのを確認。

「アリーはコジロウの後ろに【水鏡】」

「インフタフライに突っ込ませるつもり?」

「まあ、見ててよ」

「なんでもいいわ。いくわよ。写し出せ、レヴェンティ」

 コジロウとインスタフライの間に【水鏡】を展開。

 攻撃を受けて反撃する水の鏡は魔充剣から解放され、仁王立ち。

 インスタフライを待ち構える。

「いっけええ!」

 それに向けて僕は【照明球・青】を放り投げた。

 同時にハエトリグサが反応。【水鏡】に何かがあると思ったのか、僕の投げた【照明球・青】を跳ね飛ばそうとしていた。

「させません!!」

 僕が特に何かを指示したわけではないがアルルカが反応。

 僕が打開すると気づいてこその援護だった。

 ハエトリグサの妨害せんとしていた葉を猛る炎の刃で切り刻みながら体を反らせる。

 一直線に【水鏡】に向かう【照明球・青】の軌道上にあったため、同時に回避したのだ。

 その姿に思わず見とれてしまう。攻守一体の姿。

 【照明球・青】にぶつかり【水鏡】が僕の攻撃に反応。水飛沫の反撃をあげる。

 距離は短く、攻撃した僕へとは届かない。もちろん、それでインスタフライが殲滅できるわけでもない。

 【水鏡】にぶつかったことで【照明球・青】は割れて発光。強烈な光を放つ。

 しかも【水鏡】を介して。

 波打って平坦でない、さらに凸凹して、まるでザラザラの鏡によって光がより本来の【照明球・青】よりも広く、広がる。

 一瞬のうちにその青い光に包まれて、インスタフライがアポトーシスによって死んでいく。

 木箱を破壊した報いを受けるように、バタバタとではなく、死を感じないぐらい一瞬で。

 そこには美しさなどなかった。

 むしろ美しいものだけを追いかけて、事故死してしまうような愚かしさ、そんな不注意に気づけない醜さまであるようだった。

「光を乱反射させたのね?」

 アリーが言った。その通りだった。

 町のはずれで家なき人たちがテントを明るくするためによく使う方法だった。

 凹凸のある透明な板やガラスでランプを覆って光を反射させて、少量の光を大きくして、明るくするのだ。

 その手法で【照明球・青】の青い光を大量のインスタフライが死滅するほどに拡大させたのだ。

 結果は見ての通り、インスタフライの姿はもうない。

「さて、これがキーになるといいでござるが」

 インスタフライの猛追を避けて、コジロウが薬品を見せる。

「早速使ってみよう」

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