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tenth  作者: 大友 鎬
第4章 見捨てられる想い
34/873

悲劇

10.


 四つの正三角形を重ね合わせて作られた三角形が地面に描かれていた。

 アネクが右下、リアンが左下、アルが上の三角形の中央に立ち、リレリネがそれら三つの三角形の一辺で作られた中央の正三角形の中央に立った。

 途端、四つの正三角形の辺に結界が張られる。とはいえ、半透明のその結界は、正三角形間の攻撃、移動を防ぐのみ役割であるため、触れたところで何ら罰則はない。

 頭上に制限時間である六十分が表示される。その時間が切れるまで、そこから出ることはできず、なおかつ時間切れになると生存していてもランク5冒険者は昇格しない。

 ランク5冒険者が合格するには制限時間内にボスを倒し、なおかつ従事するランク3冒険者がひとりでも生存している必要がある。

 なお、ランク3冒険者は時間切れまで生き残る、ランク5冒険者が制限時間内にボスを倒すまで生き残る、ランク5冒険者が死亡するまで生き残るとランク4に挑む権利が与えられる。もっとも与えられるのは、あくまで権利であり、ランク4になるにはさらに的狩の塔(ハンティングタワー)を合格する必要があった。

「始まるよ」

 結界の張られた三角形の中央でリレリネが呟いた。三人は思い思いに構え、敵が現れるのを待った。

 そこに現れたのは、デュラハン(首無騎士)と三匹の、斧を持ったレッドキャップ(帽頭赤鬼)

 死の予言者という異名があるデュラハンは、小脇に自分の顔を抱え、リレリネのもとへ。

 三匹のレッドキャップ――廃墟を好み、そこに寝泊りせざるをえない冒険者に惨殺の限りを尽くしその血を以って帽子を赤く染め直す特徴を持つ子鬼どもがアル、アネク、リアンのもとへと現れた。

 レッドキャップが手に持つ斧の(ポール)は血糊によって赤く染められているが、斧頭(アックス・ヘッド)刃先(アックス・ブレード)には血など一滴たりともついてなどいなかった。炎のような真っ赤な瞳で睨みつけるとレッドキャップは問答無用と言わんばかりに、それぞれの獲物に飛びかかる。

 実はレッドキャップはランク3の冒険者が倒そうと思って倒せる相手ではない。この試練でランク3冒険者に求められるのは、判断力。己が力量を見極め、いかに生き残るか。それが重要だった。

 あんたたちでは敵わないから無理はしないこと、リレリネも三人にそう忠告していた。

 しかしアネクはレッドキャップに真っ向から勝負を挑んでいた。

「アネク!」

 結界が張られているとはいえ、無謀に挑むアネクの姿が見えるリレリネは警告する。

 けれどアネクは逃げ回るよりも、レッドキャップと打ち合ったほうが六十分間を凌ぎ切れると、そう判断していた。

 自分は大丈夫だとリレリネに視線を送る。屠殺剣〔信義たるレベリオス〕とレッドキャップの斧がぶつかる。アネクは力負けすることなく、その斧を押さえ、その結果でリネリネに大丈夫だと伝える。

「このまま、六十分間耐えてやる」

 ふと零れた言葉は、アネクの力強さを現していた。

 対してアルは刀剣〔優雅なるレベリアス〕で牽制しながら、冷静にレッドキャップの斧の長さを確認する。と同時に、レッドキャプが斧を振るう。

 時折、隙を突いてアルはリアンの姿も確認していた。首飾〔命辛々ナイアガラ〕があるとはいえ、自分の目で確認すると安心した。

 アルはレッドキャップを一目見て、自分が敵わないとすぐさま判断できた。アネクのように、ごり押しでなんとかできるとは思ってない。体格も使っている武器ですら違う。

 だからこそ、避ける。避けるのが無理だと思ったら、受け流す。自分が習う新月流にはそれができた。それを受ければ自分の武器が壊れてしまう、そんな相手の武器の威力を和らげるどころか無力化し、方向をそらす【新月流(しんげつりゅう)居待(いまち)(さばき)】。

 もちろん、アル自身が皆伝の腕ではないので、完全に無力化することは敵わず、レッドキャップの斧を受けるたびに振動が腕に伝わり、痺れる。それでもなんとか凌げていた。

 一方でリアンは逃げる。その強靱な斧からは逃げるしかなかった。攻撃に転じることはできない。斧に避けるのが精一杯のリアンには詠唱を紡ぐ余裕などなかった。

 しかしこのまま何もせず六十分間も逃げ回る余裕も、アルやアネクのように攻撃を受け切る技量もないことはリアンが理解していた。やはり最後は魔法、特に覚えたての癒術を使う必要があるだろう。賢士であるリアンは一本の杖でなんだってできるのだ。

 レッドキャップがその強さでリアンに詠唱すら許さず、ただそれだけで魔法の使用を封じているのであれば、リアンは弱弱しい肉体と魔法よりも短く詠唱できる覚えたての癒術でなんとかするしかないのだ。

王冠(ケテル)からアレフを通り知恵(コクマー)へ」

 弱弱しい声でしかし力強く呟く。

 レッドキャップの斧をたどたどしく避けるも、髪の毛が少し切れる。整えていた毛先が切れたことにリアンは少しショックを受けて、まだそんなことを気にしていられる余裕があることに安心感を覚える。

 それがまずかったのかもしれない、レッドキャップの攻撃を避けようとして体勢を崩してしまう。悲鳴は押さえ、代わりに声にならない声で祝詞を紡いだ。それがきちんと認識されたかどうか分からない。レッドキャップが振り下ろす斧がリアンを襲う寸前、それは発動する。

 弾力ある膜がレッドキャップの進路を阻み、レッドキャップの斧を跳ね返す。

 癒術ランク1【緩和膜(クッション)】だった。が効果は薄い。一回きりでその膜は破壊され、再度レッドキャップの凶悪な一撃が振り下ろされた。しかし当然のことながらリアンは体勢を整え、そこから逃げ出していた。

 デュラハンの持つ首は、対峙する人間によって違う。リレリネの場合は、数年前に命を落とした夫、ガレリエ・ゲムーの首だった。もちろん、リレリネがそれを偽物だと理解している。とはいえ思わず、感心してしまうほど、本物に限りなく近い精工さだった。

 ガレリエの眼球が赤く不気味に光り、デュラハンは首の無い馬に跨ったまま、リレリネを襲う。

 偽者とはいえ、やはりリレリネはやりにくさを感じていた。

 無心になるようにリレリネは桃太刀〔ザ行の奏者モモタロン〕を鞘から引き抜く。桃太刀は鞘から引き抜かれる際、鞘に五音階の仕掛けが施されてあり、「ざざざざ」「じじじじ」「ずずずず」「ぜぜぜぜ」「ぞぞぞぞ」とザ行を奏でる。それが刀の特徴でもあり、かつての名将モモタロンの口癖でもあった。

 鞘から飛び出る瞬間、「ぞーん」と音を奏で、デュラハンを強襲。

 対するデュラハンも長剣(ロングソード)でリレリネに襲いかかる。リレリネはロングソードを三角盾〔伝説ジェルダン〕で受ける。

 長剣(ロングソード)がその三角盾の真ん中に捕らわれる。試練に使われている紋様と同じように四つの正三角形を合わせたような正三角形の形状をしていた。その真ん中は空洞。しかしそこを剣が貫通するわけではない。その真ん中、空洞の正三角形は剣を捕縛する。捕縛された剣はまるで謎解きのように決まった方向に動かさないと取ることはできない。

 デュラハンが捕らわれた剣を解放しようとする最中、桃太刀がデュラハンの肩に突き刺さる。だけではない、「ざざざざ」という音が奏でられ、そしてリレリネは押すようにデュラハンを切っていく。「じじじじ、ずずずず、ぜぜぜぜ」と剣先から柄に近づくにつれて、音階が変わる。そして柄まで到達し「ぞぞぞぞ」と音が鳴り響く。

 そして一気に引く抜く。「ぞーん」という音とともに血飛沫。デュラハンの右肩から臍の辺りまでが一気に切られた。

 同時に、間合いを取るためにリレリネは自らの意思で三角盾の謎を解き、デュラハンの長剣(ロングソード)を解放する。

 音階ごとに切れ味が違う桃太刀が奇怪な傷跡を残しているのを確認するとリレリネは【収納(ポケト)】によって、両刃剣〔最後のファーファン〕を取り出し、桃太刀をしまう。両刃剣(ブレイド)を握るやいなや不思議な効果音がリレリネの耳に届く。

 途端、ありとあらゆるステータスが上昇し、漲る。

 三角盾もだが、この両刃剣(ブレイド)は隠技剣によく似ている。いや同じものだと思ってもいい。

 全ての名前は刀匠が決めるので両刃剣(ブレイド)と名を決めたとしても何らかの能力が隠されている場合もあった。

 両刃剣〔最後のファーファン〕の場合、柄を握るものに劣化【筋力増強(ドーピング)】のような恩恵を付加していた。

 両刃剣(ブレイド)を握り締めるリレリネにデュラハンは恐怖など見せず襲いかかる。もちろんリレリネも疾駆。

 馬に乗っているデュラハンは速度、間合いともに有利。リレリネはそう判断し、さらに先程の桃太刀の攻撃で馬を殺さなかったことを悔いた。何にせよ、あとの祭りだ。

 三角盾をブーメランのように投げ、デュラハンが長剣(ロングソード)で払う。がリレリネはそれを待っていた。首なし馬めがけて、両刃剣〔最後のファーファン〕の横薙ぎの一撃。左前足と左後ろ足を切断した首なし馬はそのまま倒れ、デュラハンも転倒。抱えていたガレリエの首を落とした。デュラハンは立ち上がるもガレリエの首には見向きもせず、拾おうともしない。首なんぞどうだっていいのだ。

 偽者にしろ夫の首を存外に扱われる、それがリレリネの癪にほんの少しだが障った。

 戻ってきた三角盾を両刃剣〔最後のファーファン〕とともに【収納(ポケト)】。

 今度は棍棒〔浚姫コングゥ〕、木槌〔子育てヨシミ〕を取り出す。デュラハンの足を折り、移動不能にするつもりだった。

 駆けるデュラハンの足取りは、馬に乗っていたときより遅く、むしろリレリネのほうが速い。疾走しつつ、激突。振るった棍棒が、ぅほぅと音を奏で、デュラハンの膝を強襲。デュラハンの動きを鈍らせるが破壊にまでは至らない。

 デュラハンが相打ち覚悟で振るった長剣(ロングソード)がリレリネに襲いかかっていた。もちろんリレリネはそれに気づいている。だからこそ、木槌を長剣(ロングソード)にぶつける。両者がぶつかり、でてぃぅ、と奇音を鳴らす。さらに僥倖というべきだろう、長剣(ロングソード)を弾くことに成功し、デュラハンの手から離れる。

 勝てる。

 勢いに乗るリレリネは小型屠竜剣〔竜討伐のモモト〕、狩猟銃〔迸る雷撃イレィヴン〕へと持ち変える。狩猟銃の引き金を引くと、弾が十一もの小さな弾へと分かれる。

 散弾のように一気に散らすのではなく、散った弾の速度を変えることで初めは三発、追撃の四発、最後に四発と分けて散らせることが可能だった。つまりこの銃は『三、四、四』『四、二、五』などといった、まるでフォーメーションのような散弾のバリエーションが作ることが可能だった。

 今回の散弾は『三、四、四』。最初の三発こそ避けたデュラハンだったが、追撃の四発、さらに四発を受けてしまい、身体が仰け反る。

 さらにリレリネが握る、変事すらなくただの屍に変えるという逸話をもつ小型屠竜剣〔竜討伐のモモト〕が、デュラハンの胴体を切断! 

 したかに思えた。その悪人ですら改心してしまいそうな一撃は弾かれてしまっていた。

 リレリネの狙った箇所が、特別頑丈だったわけでなかった。時間経過によって、デュラハンの能力が向上していたのだ

 さらに変化が起こる。結界のひとつが洞窟のような土壁になっていた。

 結果、アネクの戦っている場所とリレリネのいる場所が断絶。リレリネからアネクの姿は確認できないようになった。ふとリレリネは胸の谷間から懐中時計を取り出し、十五分が経過していることを確認する。

 十五分刻みで結界が土壁へと変わり、そのたびにデュラハンの身体能力が向上するのだろうと推測する。

「厄介だねっ!」

 まずはアネク以外の安否を確認。

 リアンとアルは存命。アルはともかくリアンはよく粘っている。アネクの姿は確認できないが、おそらく大丈夫だろう。

 第一、アネクだけは祖父ではなくリレリネ自身が鍛えたのだ。大丈夫に決まっている。リレリネのなかで一番不安だったのはリアンだ。魔法士系複合職(スタンダード)である以上、この手の試練で不利は否めない。

 突如衝撃音が鳴り響く。あたりに気を取られすぎていた。壁へと変わった結界へとリレリネは衝突していた。デュラハンの突進だった。辛うじて長剣(ロングソード)の剣先だけは避けれたのは僥倖か。ラッキーが続いたことが逆にリレリネを不安にさせる。

「大丈夫ですか、師匠!」

 その衝撃音にアネクが反応。姿が見えないことで不安が募ったのかもしれない。

「軽傷よ。あんたこそ、きちんとやんなさい!」

 リレリネは心配してくれたアネクに警鐘を出す。けれど、気遣いに嬉しさを覚え、こんなときなのにリレリネは笑う。緊張していた気持ちがどこか和らいだ。

 思考を切り替えるリレリネ。デュラハンを素早く倒すことこそ、全員が生存したまま帰還する最善手。当たり前のことを反芻する。

 リレリネは【収納(ポケト)】によって武器を切り替える。今まで頻繁に武器を切り替えたのは、有効打を知るためでもあった。

 両刃剣〔最後のファーファン〕と三角盾〔伝説ジェルダン〕を選択。両刃剣の効果で能力が向上する。能力を向上させるデュラハンに対抗するための選択だった。三角盾の武器封じがデュラハンに有利なのは立証済みだ。

 デュラハンが長剣(ロングソード)を振るい、リレリネが三角盾で弾こうとすると、デュラハンは瞬時に軌道を変える。そうだろうと予想していたリレリネも軌道をずらした。しかし真ん中に収束することはできずに弾くだけに留まる。

 両刃剣〔最後のファーファン〕から再び、レベルアップしたかのような効果音が響き、能力が向上。全体的に身体能力が向上したリレリネは両刃剣(ブレイド)を振り下ろす。一定間隔で能力向上をもたらす両刃剣〔最後のファーファン〕は時間経過によって使用者を徐々に強化していく。

 デュラハンの能力上昇率は両刃剣〔最後のファーファン〕以上だと推測しているリネリネは、だからこそ、というわけではないが、予想以上に急く。

 弾いた長剣(ロングソード)の兇刃が再び自分を襲う前に、両刃剣(ブレイド)で一閃。デュラハンは身をそらして長剣(ロングソード)を握る右腕だけは死守。しかし代わりにリレリネに左腕を切断される。

 左腕が血飛沫を上げ、

「ぎゃああああああああああああ!」

 同時に男の悲鳴。

 それは眼前のデュラハンから発せられたものではなかった。第一、デュラハンには顔がない。

 地面に落ちているデュラハンが持っていた顔が胴体の痛みに連動して声を荒げたわけでもなかった。第一それなら、今までの攻防でも悲鳴をあげている。

 リアンではない。リアンの悲鳴ではなかった。

 でもその悲鳴に聞き覚えはあった。嘘だと思いたい。

 アルのほうを向く。アルは悲鳴の主が誰なのか気づき、振るう剣が乱れていた。

 だとすればリアンも危ないのかもしれない。リアンも悲鳴の主が誰なのか理解し、立ち尽くしている。リアンのもとへレッドキャップが強襲。間一髪でリアンは避けたが、どこか呆然としていて危なげだった。

 間に合わない、リレリネはそう感じた。

 リアンも恐怖に青ざめていた。

 それでも逃げる。リアンの道具袋から何かが落ちた。

 落ちたのも偶然だろうが、レッドキャップはそれを踏みつけ、転んだのも偶然だった。

 それは安物の腕輪だった。

 リアンとアル、アネク、三人でお揃いの何かをつけたい、それがリアンの密かな願いで、この試練が終わった後に渡そうとしていたものだった。

 リアンが運良く助かったことにリレリネは安堵したが最悪の事態は終わってない。

 ずっと悪夢のなかにいるような感覚に陥ったリレリネは呼ぶ。

「アーネック!」

 アネクの名を。しかし返事はない。

 そんな……まさか……と落胆する前に、リレリネの胸に長剣(ロングソード)が突き刺さった。

 瞬間――リレリネの意識は消えた。

 心配するあまりの大いなる油断だった。

 結界が解放され、レッドキャップとデュラハンが消え去る。

 試練の合否に関わらず、出口のある部屋へとふたりの人間とふたつの死体は転移した。その一角に言葉を失うアルと泣き崩れるのを必死に耐えるリアンの姿があった。眼前には、胸を刺されたリレリネと頭が破砕されたアネクの死体があった。

 それからすぐのことだった、リアンは歩き出す。

 まだセフィロトに名前は刻まれてない――リアンは諦めていなかった。

 かつて自分が助かったように、アネクもリレリネも助かる。

 助けられる人を知っている。

 だからリアンは駆ける。この試練会場のどこかにいるだろうヒーローの下へ。

 ヒーローが試練の最中である可能性をリアンは微塵も考えていなかった。

 ただただ、失いたくなかった。

 仲間を、

 親友を、

 こんなにも情けない自分に惚れてくれている男性を。

 リアンは知っていた。

 アネクが自分に惚れていることを。

 リアンは自分で、自分のことをずるい女だと思っていた。

 アネクが自分のことを好きだと知っておきながら、アルとアネク、ふたりとずっといたいから、何も言わなかった。

 自分が誰を好きだとか何も伝えなかった。

 言ってしまえば何かが変わりそうで、リアンは恐かった。

 でも言っていれば……アネクは死ななかったのだろうか。

 だから贖罪のようにリアンは祈り、走る。

 息はとっくに上がっていたが、それでも止まらない。

 もちろん、リレリネのことも忘れていないが、リアンの胸のうちはアネクのことでいっぱいだった。

 皮肉にもこんな状況になってようやくアネクはリアンを独占できていた。

 偶然か必然か、リアンはヒーローを見つける。

 いや正確にはヒーローの仲間、コジロウを見つけた。顔は焦燥しきりで左腕が切断されていた。

 リアンの脳裏に嫌な予感がよぎる。

 ヒーローは柱が邪魔でよく見えないだけだ。そこにいるのだろう、

 リアンは柱から顔をのぞかせ、

「助けて、ヒーロー」

 そう叫んだ。

 リアンの眼前には絶望の光景が広がっていた。


 時は遡る。

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