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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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空中庭園編-30 金槌


 30


「ちょっとだけあの力を使うの」

 ルルルカはアルルカに告げた。

「モココル、モッコス。少しだけ時間稼ぎをお願いなの」

 アルルカは自分の名前が出なかったことで、姉は自分にもあの力を使って欲しいと暗喩しているのだと理解した。

「お願いします」

 姉の言葉を了承するように、モココルとモッコスにアルルカもそう言った。

「はい~」

「任せておれ!」

 モココルとモッコスがふたりを守るように近藤勇の前に立ちはだかる。

 近藤勇の鉄錐棒〔誘いコテツ〕と大金槌〔杭打つドンピシャリ〕が打ち合う。

 誰もが忘れがちで、モッコス本人も忘れがちだが、モッコスも武器を持っている。

 筋肉ばかりが武器ではなかった。

 思い出したようにモッコスは鍛え抜かれた筋肉を盛大に利用して大金槌〔杭打つドンピシャリ〕を打ち下ろす。

 それをやすやすと近藤勇は受け止める。

 狂戦士であるモッコスの一撃を、だ。

 正確には受け止めるように、威力のみを受け流しているのだが、その技術は素人目には分からない。

 なぜ受け止められてしまったのか、脳みそまでもが筋肉のようなモッコスは深く考えない。

 結論はいつもこうだ。

「なかなか、いい筋肉をしておるようぢゃな!」

 だから、自分の筋肉に対抗できているのだと。

 モッコスは【筋力増強】を使わない。なぜなら簡単に筋肉をつけれるそれは、努力もなしに手に入れた偽りの筋肉だからだ。

 ゆえにモッコスは拮抗していても、己が筋肉を信じる。

「ふんぬんんわあああああああああああ!」

 気合とともにモッコスは押し出していく。

 同時に攻撃をしかけてきたモココルの攻撃にあわせて、近藤勇は後退。

 入れ替わるようにモココルが前へと出る。

「負けませんよ~」

 愛らしい表情とは裏腹にやる気は十分。

 取り出したるは大鋏〔切り裂くジャック兄弟〕。

 ぢょ、ぎん! ぢょ、ぎん!

 切れ味の良い刃が動くたびに小気味良い音がする。

 それを前に構えたまま、突進。

 開いて閉じて、開いて閉じて。

 その幅を広げたり狭めたりして、開きのタイミングを絶妙に変える。

 挟まれてしまうかもしれない、そんな恐怖心を与えるのが目的だ。当たらなくてもよい。

 モココルは足止めの意味を理解していた。

 倒す必要はない。

 近藤勇はルルルカとアルルカを明らかに警戒していて、注意が散漫。

 モココルが近藤勇を刃の内側に捉え、

 ぢょっ! ぎん!

 近藤勇は宙へと離脱。

「ふう、ぬぅん!」

 気合とともにモッコスの鉄拳。大金槌〔杭打つドンピシャリ〕は【収納】していた。

 入れ替わるようにモココルが後退。

 モッコスの鉄拳を防いだ近藤勇は【転移球】をモッコスへと放つ。

 転移先ははるか後方。

 乱戦の最中、近藤勇はそこに誰もいないと見抜いていた。

 モッコスが離脱してもモココルは動じない。

 連射銃〔全弾不発のアタリ〕を取り出し、乱射して威嚇。

 近藤勇は回避。回避に次ぐ回避。時折、【緊急回避】。

 転がるように避けて、モココルに近寄り、鉄錐棒〔誘いコテツ〕で一撃。

 モココルは咄嗟に連射銃〔全弾不発のアタリ〕で防ぐものの半壊。

 追撃の勇の蹴りは対応できず、そのまま勇は連続攻撃。

 防御しきれずにモココルは倒れる。

 が、足止めは十分。

 アルルカが近藤勇へ走り出し、ルルルカの"20本"の匕首が勇へと強襲していた。

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