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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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空中庭園編-25 誘引

【合成】したりしたら……魔物を引き寄せる球とか作れるんじゃないかな?


 その面白い提案に乗っかるように僕が【合成】したのは、ジョバンニさんの言葉どおり、引き寄せる球だった。

 もっとも魔物に限定せず敵対者を、だけれど。

 新しく作り出した黒い球体を僕は魔法の展開位置へと地面を這わせるように投げる。

 高速で転がり、その球は争技場の中心ぐらいで止まった。

 誰かに警戒されたり【打法】で跳ね返されるのが一番恐かったこともあって僕は目立たない方法を取ったけれどそれはリスキーだった。

 失敗すればリアンたちの渾身の火魔法が無駄撃ちになってしまう。

 それでも成功した。

 中心でとまったその球が効果を発動する。

 その球のもとになった装置が敵を引き寄せたように、この球は僕の敵対者をその球へと引き寄せる。

 球体のなかで黒い渦が蠢く。

 そして敵対者たちは――闘球専士たちは引き寄せられる。

「防御展開!」

 僕が作り出した【誘引黒球(ブラックホーラー)】に引き寄せられるなか、闘球専士の誰かの声が飛ぶ。

 全員が展開される魔法に備え、防御姿勢。MOST10と呼ばれるらしいMVP48の上位10人を守るように身を寄せていく。

 そうして地獄を彷彿させるような炎の猛威が闘球専士たちを焼き尽くしていく。

 一番外側にいる闘球専士たちが、かつて僕がしたように【断熱球】を連続投球。一点突破するかのように一箇所に【断熱球】が集まってくる。

 炎系魔法にしたのはシャアナの〈炎質〉を活かすためだったけれど、この発想に至れば軽減される可能性はあった。

 それすらも考慮にいれて、それでも炎系魔法にしたのは、全滅を狙ってないからだ。

 魔法士系を多く失った現状でそれを狙うのは欲張りが過ぎる。

 欲張らずあくまで人数減らしを狙った結果だった。

 炎が消え、視界が開ける。

 そこには大火傷の重体で倒れていた闘球専士たちの山。

 それが崩れ出す。中から。

 むくりと、出てきたのは10人の闘球専士。MOST10の10人。

 全員がどこからしら火傷を負っているもののの致命傷には至っていない。

 それどころか全員が僕たちをにらみつけるように闘志を燃やしている。

 本気になるのが遅すぎた、と後悔するように。

 彼らにはどこかきっと油断があったのかもしれない。

 2倍以上の人数。自分たちが有利な戦場。

 負ける要素がない、とでもそう思っていたのだ。

 それが思ったよりも肉薄し、そして今は追い詰められている。

 こっちの人数はだいたい30人。あっちは10人にまで数が減っている。

 それでもこれからが本番だ、と言わんばかりにMOST10たちは疲弊や負傷を感じさせずに走り出していく。

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