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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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空中庭園編-24 黒渦

 そう思った瞬間、

 弾けた。

 何かにぶつかり鉄錐棒が弾けた。

 リアンを包み込んでいた何かがひび割れていく。

 何重、何層にも折り重なっていた、透明の何かが。

 ひび割れたことでそれが鎧の形を模っていたことが分かる。

 癒術階級2【守鎧(ソリッド)

 それは対象者を守る透明な強固な鎧を作る癒術だ。

 本来なら全力の斎藤一の攻撃を防げる代物ではない。

 それでも防げたのは【守鎧】が何十にも折り重なっていたからだろう。

 それを成し遂げたのはヴィヴィだ。

 隠密のようなことは好きじゃない、と思いながらもヴィヴィはレシュリーから密命を受け、ジョーが呼んだ隕石の欠片に隠れながら癒術を展開していた。

 ヴィヴィとレシュリーの距離は放れていたがそれでも作戦が実行できたのはコジロウの【念波(テレパス)】によるものだ。

 かつてジネーゼの力を借りて遠方のアビルアと会話したときのようにヴィヴィに密命を伝えていた。

 ただ元来の戦闘ではそれはオススメされていない。

 盗士系が敵にいれば盗聴されるおそれがあるからだ。

 けれど今回のように闘球専士しかいない状況であれば話は別。密談し放題になる。

 そうやって密かに通じたヴィヴィはレシュリーに頼まれたとおり、リアンに【守鎧】を何重にも展開していた。

 レシュリーも魔法士系の重要性は分かっていたからこその保険だった。

「残念だったね」

 追いついたレシュリーはしたり顔で斎藤一を見ていた。

「舐めるなよ」

 斎藤一は振り返らず、連撃を繰り出した。

「【活火激発(エクスプロージョン)】!!」

 けれど魔法は発動する。

 その後数瞬にも満たないときを経て斎藤一の殴打がリアンへとぶつかり、リアンを壁へと打ちつける。

 ヴィヴィの【緩和膜】で威力を軽減したがリアンは精神磨耗も重なり気絶してしまう。

 それでも攻撃魔法階級8【活火激発】は後方、つまりBCTやMVPたちとジネーゼたちが戦っているほうへと向かっていく。

 それに合わせてジネーゼたちは、後方へと退避し始めていた。

 当然、追いかけるかたちで闘球専士たちも退避し始めた。

 そのせいか当たらないかのようにも錯覚してしまう。

 けれど同時に発動していたエル三兄弟の三重【炎轟車】にシャアナの階級9なみの【憤怒炎帝】、ムジカの【炎帝】、テテポーラの殲滅技能【火の小玉】が同じ場所に向かっていた。

 斉藤一は困惑する。

 おそらく敵味方関係なく後方に退避できてしまう。

 狙いが分からない。あのままではリアンを守って魔法を展開した理由も説明がつかない。

 何か策があるのか。

 近藤勇に視線を送る。勇はNo.2だが、壬生ウルフズのキャプテンではある。

 勇も困惑していた。だが長々と考えるのは良くない。

 他の魔法士系に視線を送った勇はやれ、と合図を送る。

 今はそれに従おう、斉藤一は思考を振り切り、シャアナを一閃、止まらぬ速さでテテポーラ、エル三兄弟を倒していく。

 続いて斉藤一がムジカたちのもとへと向かおうとした途端、

 身体が争技場の中心――魔法の展開位置に向かって引き寄せられた。

 何が起こった?

 視線をなんとかそちらに向けると、中心で球体のなかの黒い渦が渦巻いていた。

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