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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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新世代編-12 天賦

12


「こんなものですわね。MDYです(まだやれます)けれど」

 息の合った連携に、札術でフォローしていたデデビビは驚くしかない。

 この連携がアテシアとムィが出会って次の日にはもうできていた、と知ったらデデビビはさらに驚くことだろう。

 そのぐらいアテシアとムィの適合率は高い。

 それすらもアテシアの才覚の、優秀さのお陰なのかもしれない。

 〈天賦(ギフト)〉と呼ばれるそれは知ってしまえば嫉妬を覚えざるを得ない才覚だ。

 レベルアップは〈早熟〉なみの速さ、能力値の上昇量は才覚がない冒険者の2.5倍。才覚がある冒険者と比較しても、1.5倍以上。

 最初から持っている戦闘能力。動きを見切れる戦闘勘。技能の熟練度を楽々高める戦闘技術。

 他を圧倒する改造(チート)よろしくの高スペック。

 改造し続けてもなお、高みに達せず、極みにも至らない、そんな冒険者からしてみれば憎悪の対象。

 見ただけで殺意を抱く可能性だってある。

 嫉妬、憎悪、殺意、そんな負の感情を一身に浴びる、それが唯一のデメリットだろうか。

 β時代にも〈天賦〉を持っていた冒険者がいたが、そんな感情を受け止めきれずに自殺したという逸話もある。

 そんな才覚を持っているのがアテシアだ。

「うへぇ、あっという間だね……」

 そんな才覚を知らないクレインは素直に驚く。

 もうクルドゥルは全滅していた。

 そのほとんどを倒したのはアテシアだ。

DD(どんどん)行きますわよ」

「これはすごい子を仲間にしたね……」

「でも、張り合いがあるよ。そうでしょ、デビ?」

「そうだね。張り合えるかはどうかは微妙だけど」

 デデビビは苦笑。

「何をしてますの? 敵がまた出てきますわよ」

「今行くよ」

 逸り尋ねるアテシアにデデビビは答え、構える。

 アテシアの言葉に遅れて、周囲にクルドゥルが出現する。

 敵の出現すらも予知できたのはアテシアの才覚ゆえだろうか。

 嫉妬を通り越して、その万能さに呆れ、クレインも走り出す。

 その頃にはアテシアが半数ものクルドゥルを倒していた。  

 負けてられない、奮起してデデビビもクレインも戦い始めた。

 アテシアの加入が、ふたりのやる気に火をつけていた。

 その日から三人での修行の日々は続き、空中庭園でレシュリー・ライヴがしでかしたことが噂になる頃――新人の宴の前日にはランク0のレベル上限70に到達しかけていた。

 ちなみに言うまでもないかもしれないが、アテシアはその数日前にレベル上限に達していた。

 そうして三人は新人の宴の日を迎える。



『冒険者情報』―――――――――――――――――――――――――――

デデビビ・バウリス

 LV68 札術士 〈???〉 ランク0

【取得スキル】

炎札、構築、札引、土札、光札、闇札、風札、氷札、水札

【装備】

雀の外套、雀の羽飾り、雀の防護腕具、雀の長靴


クレイン・レディ・アウス

 LV64 魔法士 〈無魔〉 ランク0

【取得スキル】

収納

【装備】

玉髄の安蘭樹杖〔犬の兵隊ググワンガ〕、練習用杖、紫陽花の外衣、紫陽花の頭巾、紫陽花の手袋、紫陽花の靴


アテシア・リリュー 

 LV70 盗士 〈天賦〉 ランク0

【取得スキル】

収納

【装備】

鐺耳付短剣〔耳なしホゥイーチ〕、鯨の纏衣(ホェール・ドレス)〈進〉、鯨の頂冠(ホェール・ティアラ)〈進〉、鯨の蒼手袋(ホェール・ガン)〈進〉、鯨の美靴(ホェール・ソック)〈進〉


ムィ

 LV215 王蝙妖蝠 〈王蝙蝠〉

【取得スキル】

なし

【装備】

なし

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