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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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飛空艇編-17 怒涛

17


「ギィイイィ!」

 複雑骨折したのか、不恰好に走り、痛みも気にせずセイテンが跳躍。

 宙返りをして、尻尾を叩きつけてくる。

 見飽きた、と言えば余裕綽々のように見えるけれど、その攻撃は単調ゆえに強い。速度も負傷しているとは思えないぐらい速い。

 だけれど僕にはセイテンの弱点が見えていた。

 セイテンは尻尾が敏感なくせに、尻尾で攻撃するという矛盾を持った魔物だろう。

 とはいえ、突いたり叩いたりしてくるあたり、それらは平気らしい。

 唯一嫌がったのは握った動作だ。

 だから僕はもう一度、尻尾を受け止める。

 握ってやろうと思った瞬間、セイテンも気づいて尻尾を縮める。

 互いに蹴りを放って距離を離す。

 同時に僕は【戻自在球】を放ち、手首の捻りで軌道を一段変化、【変化球(ムーバー)利手曲(カーブ)】によって二段変化させ、セイテンの背中へと回る。

 さらに【戻自在球】を【手球(キャッチャー)】へ変化させる。手の形をしたそれは当たった対象を掴むというだけだけど、【戻自在球】には元々蜘蛛の糸がついている。

 【手球】はセイテンの尻尾を掴み、そのまま僕の手元へと引き寄せてくる。

 セイテンは尻尾を掴んだままの【手球】が気になってこっちを見ていない。

 向かってくる勢いを利用して、鷹嘴鎚〔白熱せしヴァーレンタイト〕を叩きつける。

 【戻自在球】で連撃し、【浮遊球(フェザー)】に変化させ、わずかにセイテンを宙に浮かせる。

 【戻自在球】で刹那に叩き落して、【麻痺球(パラライサー)】でセイテンの身体を数秒弛緩。

 【転削球(ドリラー)】をすかさず放つ。

 同時に【手球】が効果切れで尻尾から離れ、セイテンが防御姿勢。【麻痺球】の効力の低い麻痺効果ならこの程度か。

 だけど僕の連撃は止まらない。

 練度の低い、しかも片手だけの連撃だけれど、このまま一気に畳みかける。

 回転する三角錐がセイテンの身体に強襲。

 防御する腕をガリガリと削っていき、やがて回転が止まっていく。

 でもその前に僕は手早く四連投。

 それぞれがセイテンの上下左右に飛び、見当違いのようにも見える。

 けれど、それぞれが方向を変えセイテンを強襲。

 【転削球】を防御し終えたのも束の間、四方向から同時攻撃を食らわせる。

 四連投した【変化球・利手曲】に【変化球・急落下】【変化球・逆手曲(スラープ)】【変化球・急上昇】の速度を微妙に変え、同時に当たるように調整した結果だった。

「これでトドメだ」

 【剛速球】がセイテンの胸を強烈に抉る。

 そのまま、一回転、二回転と地面を転がり、セイテンは動かなくなる。

「なんとか……倒した。でもまだまだ……か」

 片手で連係を繋ぎなんとか倒したけれど、こんなにも毎回巧く繋がるわけがない。

 今回はたまたま、と思うことにして研鑽を積まないと。

 僕は猛省しながらセイテンに近寄り、尻尾を切り取った。

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