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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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飛空艇編-6 腕試

 6


 ――この先は大怪獣の爪跡ですがご理解しておりますか?

「知ってるつーの!」

 門番にそう言われたとき、むかついたのは何時間前だっただろうか。

 ゴジライ・ムッサージカはそう言った自分を恥じた。

 止めておけばよかった。

 理解しているつもりだった。自分たちが勝てると理解しているつもりだった。

 見通しが甘かった。自分たちの実力はそんなものだった。

 倒れた仲間、ミッザーハ・クルスとトトイナ・ギールの出血がひどい。

 必死に治療するコレイア・ミースを守りきらなければ、全員が死ぬ。

 自分ひとりで守りきれるのか。

 無理だ、と理解した。仲間を失う、と理解した。

 最低だと、最悪だと罵られても、仲間を見殺しにして逃げるべきか考えた。

 そんなことをすれば誰も自分を今後信用しなくなる。

 人生が終わる、と理解した。

 目の前が真っ暗になったような気がした。

 死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ。

 惨めに死ぬ。蹂躙されて死ぬ。

 それでも諦めず、戦うのはやっぱり守りたいからだ。

 ミッザーハは年下だがいい奴だし、トトイナとは人形の狂乱からずっと一緒だ。コレイアとはこれから生涯を一生に過ごしたいと考えている。

 今ある状況を、恵まれた環境を失いたくない。楽しかった日々を失いたくない。

 なのに今失いかけている。

 今までぬるま湯に浸かって満足していたのに、さらに適温を探そうとして火傷した。そんな状況とでもいうべきか。

 身の丈に合わない背伸びをして、ゴジライは後悔していた。

 ここで死ねば新調した防具も失うことになる。

 来月には的狩の塔を受けようと決めて、腕試しのつもりだったのに。

 こんなところで。

 ぐだぐだうじうじとゴジライはそんな愚痴を零しながら襲いかかってくるガラモノ(鋭爪猿)を断切刀剣〔万乗のギンガ〕で次々と切り倒す。

 けれど集中力を欠いたゴジライは気づいていない。

 後ろには先ほど切り倒したガラモノとは違うガラモノが迫っていた。

 ゴジライがそれに気づいたのは不意の一撃を受ける寸前だった。

 その尖った鋭い爪での切り裂きは避けれそうもない。

 ゴジライの防具はもうその攻撃を耐えれないのは明白。

 ゴジライが全てを諦めかけたそのとき――

 ガラモノの頬に丸い何かがぶつかり、ガラモノの頭が弾け飛んだ。

 その丸い何かは、鉄球だった。その鉄球が目にも止まらぬ速さで、ゴジライを狙っていたガラモノを一撃で仕留めたのだ。

 思わず、声を失う。

 鉄球が飛んできた方向にはもう誰もいない。

 なぜなら――

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