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tenth  作者: 大友 鎬
第7章 放浪の旅
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新世代編-5 展望

5


 そんなとき、膝を突いたデデビビがうわ言のように、自分を奮起させるように、こうつぶやいた。

「僕はレシュリーさんのようになるんだ」

 だから彼女を救わなければならない、デデビビは動かない身体にそう言い聞かせていた。

 レシュリー・ライヴは今、原点回帰の島で修業する冒険者のなかでの人気は高い。

 落第者になりながらも、逆境に耐え、何人もの[十本指]を倒し、一発逆転の島の風習さえも変えた冒険者。しかも短期間のうちに[十本指]にまで上り詰めている。

 憧れる人は多い。

 自分を落ちこぼれだと思っている人間は特に。

 デデビビもそうだが、クレインも憧れを抱いていた。デデビビほどの憧憬はないにしても。

 そんな人になりたい、明確な目的をデデビビは持っている。

 ボクごときを助けにきた、そんな人をみすみす殺しちゃあいけない。

 クレインの体が動き出す。

 勇気が恐怖を上回る。

 ワイヤーニードルの動きは単調だ。クレインに真っ直ぐ向かってきている。

 フェイントも何もないだろう。

 だからクレインはただ叩きつけた。

 そうして起こる衝撃。

 ワイヤーニードルが地面にたたきつけられた衝撃と、自分でも敵を倒せたという衝撃が同時に起こり、クレインは目の前の光景と自分自身の力に思わず放心する。

 ワイヤーニードルを一撃で屠った女の子の姿にデデビビも驚き、声も出ない。

「……これがボクの」

 可能性、だとは思えなかった。クレインはそう思えるほど楽天的ではない。それどころか少し悲観的だ、

 それでもどこか戸惑っている。まだ諦めるなと励まされているようだった。

 そうして我に返ったように、クレインはデデビビに近づく。

「……大丈夫?」

「ああ。キミが無事でよかったよ」

 こんなときでさえボクの心配をするんだ。

 クレインは呆れると同時になぜか胸が高鳴った。

 倒れそうになるデデビビを支えるように肩に腕を回す。

「これじゃあ、どっちがどっちを助けたんだか分からないな」

 悔しそうにデデビビはつぶやいて意識を失った。

「……ありがと」

 クレインは照れくさそうにそう囁いて、帰路につく。

 いつの間にかクレインにあった陰鬱な気持ちはなくなっていた。


『冒険者情報』―――――――――――――――――――――――――――

デデビビ・バウリス

 LV32 札術士 〈???〉 ランク0

【取得スキル】

炎札、構築、札引、土札、光札、闇札、風札

【装備】

雀の外套、雀の羽飾り、雀の防護腕具、雀の長靴


クレイン・レディ・アウス

 LV24 魔法士 〈無魔〉 ランク0

【取得スキル】

収納

【装備】

玉髄の安蘭樹杖〔犬の兵隊ググワンガ〕、紫陽花の外衣、紫陽花の頭巾、紫陽花の手袋、紫陽花の靴


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