告白
49
「いいのでござるか」
「何がよ?」
前を行くアリーに追いついたコジロウがアリーに問いかける。
「ああ見えてレシュリーはモテるでござるからな。見ないうちに変な虫がつくかもしれんでござるよ」
「……だから何よ?」
「変な虫がついてしまうのは仕方ないとしても、自分のものだと主張するおまじないでもかけておいてはどうでござるか?」
「……はあ、なんで私が?」
「いや拙者がやったらおかしいでござる」
「……いや、確かにそうだけど」
それでもアリーは立ち止まり、何かを考えて再びレシュリーのほうへと歩いていく。
それをニヤニヤ顔でコジロウは見つめ、
「さて、拙者がいるのは野暮でござるな」
ひとり颯爽と去っていった。
***
「レシュ」
アリーが僕の元へと戻ってきた。どうしたんだろう?
「……はっきりと言ってなかった気がするから私も言っておくわ」
アリーが真剣な眼差しで僕を見つめる。
唾を飲み込み、僕は少し構えた。
「私もレシュが好きよ」
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言葉の意味はきちんと理解していた。したうえで僕は何も言えず、まるで時が止まったかのように固まっていた。
「何よ?」
「いや、嬉しくて」
「あと……もうひとつあるのよ」
「なに?」
「今からすることは深い意味はないから。ただあんたは私のものだっていうおまじないだからっ!」
意味不明なことを口走ったアリーは、意を決したように僕にキスをした。
僕は何も考えずただアリーの唇を受け入れていた。
長い、永いキスの後、突然アリーに突き飛ばされた。
「調子に乗らないっ!」
アリーが顔を赤く染めて少しだけ怒っていた。
「もう知らない!」
僕を小突いたアリーが怒りながら去っていく。
「ハハ……」
それでもその怒りが、絶対に許せないという怒りではないと僕は理解していた。
ただ確かにちょっと調子に乗りすぎました。ごめんなさい。
「僕はアリーが大好きだっ!!」
大空の下、僕は思いっきり叫んだ。恥も醜聞も知ったことか。
心に残るのは、青空と同じ清々しさだった。
「うっさいわよ……バカ」
振り向いたアリーが照れくさそうに呟いた。




