見たことのない君
キーンコーンカーンコーン……
朝っぱらになるチャイム、ざわざわと人が座っていく音、先生が入ってくる音。
ぼーっと聞き乍廊下に立っている俺。
「おはよう皆、早速だが転入生を紹介する、入りなさい。」
教室から呼ばれ、いつもとは違う髪色で違和感無いかを何度も確認し中に入った。
一気に集まる視線に少しにやけそうになる。
「えー、今日からこのクラスに入る、霧島君だ、紹介どうぞ。」
「ういっす、霧島空っす、よろしくな。」
にぃ、と笑みを浮かべ自己紹介する俺様何様ラーギスト・アイリン様さ。
何故入ったかというと、ここの生徒会長が愛するあいつだと知ったから。
「あいつ見たらどうなんのかなあ……」
楽しみだな、と思いながら空いている席へと座った。
休み時間、案の定質問攻めにあう。
「空君かっこいいね!何処にいたのー?」
「頭いいんだねー、ここ教えてー」
等々、きたのは女ばかりだった。
それでも紳士的な俺は全部受け答えた。
折角の休み時間がよ…
「……ちっ…」
昼休み
質問攻めから逃げるように教室を出てリオお手製の弁当を何処かで食べようとしたとき、校内放送が流れた。
『……×年×組の霧島空君、×年×組の霧島空君、至急生徒会室へ来てください。』
名前を呼ばれた、より声の主でだいたい気づいた、それにしても……
「敬語かよwww」
つい笑ってしまい少し変な目で見られ乍も、生徒会室へ急いだ。
ーートントン
「失礼しまー。」
生徒会室の扉を開けると、王道な形だなーと思ってしまった。
椅子に座る生徒会長()と副会長かわかんないけどそんな感じ。
「…副会長、済まないが席を外してくれないかな?」
うわあああwww敬語wwwwww
笑ってしまいそうなのを抑え、ついに二人きりになる。
弁当を置こうと机に近づくと圧倒的な早さでソファに押し倒された。
「oh......」
「……ようこそ」
にやりとイヤーな笑みを浮かべる愛人、黒亞奏は何故か怒っていた。
「何怒ってんだよ…」
そっと撫でてやると別にと顔を背けられた。
「…来るのが遅い」
それだけかーいっ
「ごめんて。」
顔をこちらに向けさせるとそのまま唇を重ねる、奏がキスに夢中の中、扉の方を見ると誰かが見ていた気がした。
にやっと笑うと覗いていた主は赤くなったのか少し物音を立てて走り去っていった。