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  作者: 星空
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第5話 駆け引き

 二人は予定どおりにパスタのお店に入った。冴子はペペロンチーノを注文した。良彦はまたもや決めかねていたが、結局トマトソースの普通のパスタを選んだ。

「私は、結婚してから今まで、あなたのような素敵な人に出会ったことがありません。」

「あら、ありがとうございます。でも、どうして結婚しているのにこんなふうに私を誘うのですか?」

「・・それはあなたが魅力的だからです。」

(いえ、そうじゃなくて)

そんな言葉を冴子は飲み込んだ。そしてまた嘘をつく。

「ありがとう、嬉しいです。」


 食事を終えると、そのまま別れた。

「ごちそうさま。今日はありがとうございました。」

「いいえ、こちらこそ。デートできて嬉しかったです。」


また彼はずっと遠くなるまで見送ってくれている。後ろを振り返って、そっと手を振る。 


 相変わらず毎日メールが届く。『逢いたくてたまりません』とか、『いつも思ってます』とか。そのたびに、冴子も返信をするのだが、いつもあいまいな返事しかしない。どんどん辛くなってくる。まるでじらしているみたいだ。でも本当は違う。面倒くさいだけ。それなのに、良彦はそんな冴子の態度にますます心を奪われていくのだった。すぐに自分のものにならないものは、ますます欲しくなるものなのかもしれない。そして、そんな駆け引きのうまさが冴子には、もともと備わっているような気がした。


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