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【第一章】エピローグ

空は今日も快晴。

昨日の雨が嘘の様に晴れ渡り、中途半端に振ってくれた雨のおかげでいい感じに蒸し暑い。

休日明けの朝の坂道をいつもの様に下る。熱気の籠った風が閉じた右瞼に当たる。

うん、暑い。

坂の下のいつもの場所で弘一と合流。軽く手を挙げて挨拶すると弘一はいつもの様に俺の右隣に並ぶ。

昨日は雨に打たれて寒かったというのに今日は蒸し暑い気温で汗が止まらない。

体調壊しそうだ。

因みに昨日はずぶ濡れ状態だった訳だが、何故か二人とも風邪は引かなかった。

まぁ、それならそれで全然良い事なんだけど。

弘一には昨日のうちに話を通しておいた。

二人だ話しあった事、少し言い合いになった事、それも解決したこと、二人でやりたい事を見つけること。

それと。


「ん、おーい一香!」

「大声出さないで」


彼女を名前で呼ぶことにした事も。

昨日の帰り際に名前で呼べと言われ、俺はそれを受けた。

それだけなんだけど、確かに距離は縮まった気がした。

ただ、一香の方も俺の事を名前で呼び続けるらしい。

一香の姿を確認すると、弘一は黙って俺の『左側』に移った。

そのまま一香は俺の『右隣』に並ぶ。


「おはよう夕姫、木下君」

「あぁ、おはよう」

「おはよ、ってかやっぱり夕姫て呼ぶのか…」

「そうよ、最初からそうだったじゃない」

「いや、まぁいいけどさ」


いつもの朝、いつもの風景に一人分の音が増えて学校への道を歩く。

今はまだ新鮮な気分だけれど、俺と弘一と一香と、三人で歩くこの朝がその内当たり前の日常に変わっていくんだろう。


「そういえばずっと右目だけ閉じてたのって訳があったのね」

「そりゃそうだろ、何だと思ったんだよ」

「いや、なんか変な癖なのかと」

「……お前なぁ」

「…まぁ、良いじゃないか」


一香の問いに俺が若干呆れて、それを弘一が苦笑気味で乗ってくる。

そんな、何処にでもあるような会話が、今はすごく楽しいと感じる。


「そういえばさ、一香」

「何?」

「入学前に初めて会ったときさ、なんか歌ってたじゃん。あれなんて歌なの?」


初めて会った時。その時もあのとっておきの場所。

俺が自分から変わっていこうと思ったきっかけをくれたのもあの場所で。

昨日二人で本音をぶつけ合って、そして今この時間を作ったのもあのとっておきの場所。

思うとあの場所はいつも何かのキッカケをくれる気がする。

だからだろうか、あの場所で最初に聞いた一香の声。あの歌が気になったのだけれど。


「…内緒」

「何だよ、教えてくれてもいいじゃん」

「嫌」

「おーい、一香ぁ」

「嫌」

「…はぁ、まったく」


弘一の呆れた感じの声は、青く澄んだ空に吸い込まれていった。

俺と一香はそれに気付かずに言い合いながら歩く。

確かにこれから先、考えもなしにやりたい事を見つけるなんて言ったけれど、ホントに何かが変われるのかは分からない。

けれどそれでも今の関係は悪くはないと思う。

わからない事だらけなのが当たり前、と前に弘一が言っていたけれど、それは今ならわかる気もする。

まずは理屈っぽく考えるのを直そう。その後何かを楽しむってことを実感しよう。

それで、一香と弘一と三人で高校生活を楽しんでいけばいい。

そうさ、色々難しく考えるには俺の視界は狭すぎるんだから。


「一香さーん?」

「嫌」

「ほら、そのペースだと遅刻するぞ」


弘一の声、一香の声、俺の声。

いつもの道は、いつもより賑やかだった。


第一章、とりあえずひと段落です。


なんとかここまでは書けました。


大体4・5章くらいで終わらせ・・・られたらいいなぁ。


完結目指して頑張ります。感想・意見はいつでも歓迎です!

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