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タイトルは面白そうのキーワードは「合言葉」かもしれない…って言うか全部ムダに使ってみた!

作者: 双鶴
掲載日:2025/12/09

年末の街角で、僕は古びた文具店に立ち寄った。棚の隅に積まれた年賀状の束を手に取ると、紙の匂いが幼い頃の記憶を呼び覚ました。祖母がオルゴールを鳴らしながら宛名を書いていた姿が、淡い旋律とともに蘇る。あの頃、僕らの合い言葉は「来年も笑って会おう」だった。けれど今は、誰に向けて書けばいいのか分からない。自転車を押して歩く帰り道、突然の雨に降られ、古い商店街の軒先で雨宿りをした。濡れたアスファルトから立ち上る匂いが胸の奥に重く沈み、孤独を際立たせた。そこで見つけた小さな箱には「ギフト」と書かれていて、中には焼きたてのホットケーキが一枚だけ入っていた。温かさに救われるように頬張ると、隣の家の風鈴が鳴り、澄んだ音が湿った空気を震わせた。ふと、人生はサバイバルだと思った。誰もが孤独と戦い、木枯らしに吹かれながらも、何かを守ろうとしている。夜になると、商店街の奥で小さな舞踏会が開かれていた。人々は古びたスピーカーから流れる音楽に合わせ、ぎこちなくも楽しげに踊っていた。僕はその輪に加わらず、ただ遠くから眺めていた。踊る人々の影は揺れ、笑い声は風に溶けていった。その輪に入れない自分の孤独が逆に際立ち、参加しない理由が胸に重く沈んだ。帰り道、ポケットの中の年賀状を指でなぞりながら思った。「タイトルは面白そう」と誰かに言われるような物語を、僕はまだ書けていない。けれど、この夜の断片は確かに未来への灯火だった。誰かに届くかは分からないが、僕は来年もまた、紙に言葉を刻むだろう。

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