第4章 「忍び寄る影」
時は12月20日。学園を震撼させた密室事件から時が経ち、生徒たちはようやく平穏な日常を取り戻していた。街はクリスマスを目前に控え、浮かれた空気に包まれていた。しかし、そんな安寧を破るように、再び学園に異変が起こる。
突如として、1年生の男女生徒が立て続けに何者かに襲われる事件が発生した。幸い命に別状はなかったが、その異常な行動に学園内は再び騒然となる。さらに年が明けた1月10日、都内でも高校生が襲われる事件が起こり、同様の事件が全国的にも報告され始めた。
1月20日、学校に宛名も差出人もない一通の手紙が届く。その内容は、まるで事件の目撃者である1年生の皆倉姉妹に対する口封じのような脅迫文だった。不安と恐怖に怯える皆倉姉妹を見て、真希、細川、そして前回事件の際に助けられた梨華が、彼女たちを守るために立ち上がる。
だが、守る側であるはずの3人にも魔の手は迫り、事件に巻き込まれていく。不安を覚えた細川は、勇輝に相談。勇輝は警察への報告を促すが、梨華はかつて助けられた恩を返すため、これを拒否。真希と真里もその意志に賛同し、調査を続けることを決意する。
やがて、後輩が襲われた徳川も加わり、勇輝は梨華たちと共に再び事件の真相に迫ることを決意する。情報を集めるうち、勇輝はある共通点と不審点に気づく。それは犯行が極めて計画的かつ広範囲に及ぶことを示唆していた。
だが、学生たちの独自の行動は警視庁の刑事たち――夏目と天久に察知され、厳しく注意を受ける。しかし、勇輝の観察と分析によって導き出された事実は、刑事たちの目を見張らせ、結果として報告義務を免れることとなる。
刑事たちもまた、勇輝たちの指摘を無視できず、独自に調査を開始。そして高校生6人――勇輝、梨華、真希、真里、細川、徳川は、それぞれの視点と経験から事件の鍵となる情報を掴み、警察に報告。再び夏目に叱責されながらも、彼らの分析力と行動力は徐々に認められていく。
夏目から、警察内部でも未公開であった事件の一部情報を聞かされた梨華は、それをもとに犯人像を整理。動機、行動パターン、過去の事件との関連性を明確にしていく。その分析を聞いた勇輝は、犯人逮捕に繋がる決定的な証拠の可能性に気づき、夏目たちと協力することとなる。
2月5日、徳川の部活の後輩が襲われかけた事件をきっかけに、捜査は大きく進展。さらに、同様の事件が福岡でも発生していることが確認され、全国的な連続傷害事件の可能性が高まる。
警視庁でも同様に、連続傷害事件の特別捜査本部が立ち上がっていた。担当は、前回の密室事件で関わった刑事・夏目とその部下・天久だった。
「また高校生が襲われた……しかも今回は福岡でも同様の事件が起きてる。もはや偶然じゃないな。」
天久が資料を机に叩きつける。夏目は静かに目を閉じ、状況の重さを噛みしめていた。
そんな中、勇輝たちの非公式な動きが警察に発覚し、学校経由で警告が入る。しかし、勇輝は夏目刑事との面談を申し出た。