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プロローグ
秋風が少し冷たさを帯び始めた令和7年の10月。
東京の私立・白楓学園高校では、一人の少女が泣いていた。
教室の隅で、うつむき、誰にも見られたくない自分と向き合いながら――。
この学園で、やがて起きる連続する不可解な事件。
その始まりは、ほんの些細な出来事だった。
だがそれは、青春の輪郭を濃く、熱く、そして痛々しくも染めていくことになる。
そして、事件の中心にいたのは——
過去に縛られた少女・真白梨華と
どこか掴みどころのない転校生・家山勇輝。
誰も知らなかった。それが**「真実」と「恋の始まり」**になることを。