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其れは例えば宝石の様な  作者: 弦月 雪啼
白瑠璃の章
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予知、預言、或いは経験

明確に視えた元凶のビジョン。あれは確かに蛇であった。

太陽を喰らう程に巨大で邪悪な蛇。

あれだけ強大な存在であれば何かの資料に残っているのではないかと、星野は考えた。あわよくば弱点や対策も分からないかと。

蛇の化け物と聞いて一番に思いついたのはペルセウス座の神話に登場するメデューサだったが、何か違う気がする。蛇使い座は確かアスクレピオスだった筈だから違うし…としばらく考え込んで諦めた。自分の専売特許は星座に関する事のみ。限られた知識ではどうにもならないだろう。

そして放課後に訪れたのは市の図書館。知らないのなら調べるしかないと思ったのだ。伝承や神話などのジャンルの本を幾つか借りて読書スペースの片隅で“蛇”の記述が無いかを探す。そんな作業を小一時間程続けて分かった事は日本神話に登場するヤマタノオロチの逸話や、白蛇は神の使いとして考えられている事など、何となく聞いた事のあったそれらはいまいちピンと来ない。

そんな中、本を元の場所に返却している途中で本棚と本棚の間から見えた読書スペースに人影を捉えた。図書館はまだ開館時間だ。人が居るのは不自然な事では無い。けれど、何となくでその人影を注視すると、その人には見覚えがあった。薄い茶色の髪に赤みを帯びる瞳。たくさん新聞を広げ、真剣に調べ物をしている青年は紛れもなくクラスメイトの家達 律槿だった。

「…っうぅ…」

彼の顔を見た途端、強烈な頭痛に苛まれた。堪らず頭を押さえてしゃがみ込んでしまう。そして、脳内に知らない記憶が流れ出した。

_爆発する何処かのパーティー会場。大勢の悲鳴。

_毒殺事件。人工衛星。

_黒い服の男達と廃墟となった研究所。絶望に染まる銀色の目。

_血に染まる白銀の銃。血の様に赤い石。

_蛇。

記憶の奔流が治まると、はっと目が覚める様に現実に戻ってくる。幸い、誰にも見られなかったらしく騒ぎにはならなかった。まだ少し頭が痛むが、何事も無かったかのように本を戻して考える。

あれは予知などではなく明確に経験した記憶だった。

三月になってから、つまりはループ事象が始まってからこのような事は幾度かあったが未だにこれが何なのかが分かっていない。

白い静謐にループ事象の話をしたのもこの奇妙な記憶に起因している。これが無かったら、きっと私は彼女と敵対していただろう。彼女が近い未来、在瀬 翠(怪盗アルセーヌ)を殺す事は知っているから。

ともあれ、私は家達 律槿にコンタクトをとる事にした。


◆◇


自宅に着き、家達宛のメッセージカードを用意していると点けっぱなしのテレビからとあるニュース速報が流れて来た。それは、先日来日した“清森の憧憬”と呼ばれるエメラルドに対して、怪盗アルセーヌから予告状が出されたというもの。予告された日時は明日の夜23時だった。

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