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其れは例えば宝石の様な  作者: 弦月 雪啼
白瑠璃の章
38/51

とある不審火と紅玉について

「五年前に拾った宝石?…あ~前に言ってたやつ?」

「そうです。此方なのですが…」

剣術家の友人、沖田時雨が相談に来たのは五月初旬の事だった。喫茶アディントンにて、実物を見せながら彼女が言うには、五年程前に本能寺付近で拾った宝石が最近になって時折鐘の音を響かせるようになったと言う。更に言えば、何となくだが表面温度も上がっているような気がするとの事。

「良くない兆候ですよね…」

「そうだねぇ。まあでも、幸いな事に今は怪盗が居るから如何にかなるかもよ?」

「と、いうと?」

不思議そうな顔で問う時雨に笑顔で答える。

「怪盗アルセーヌはアーティファクトの専門家だからね。盗んで貰えば良いんじゃない?」

「成、程…?確実にこれを無効化出来るのですか?」

「大丈夫、そこは保証出来るよ。」

白い静謐は怪盗アルセーヌが卯の花に出入りしているの事は確認済みな上、星野からの情報ではアーティファクトに関する協力関係を結んでいる事も分かっている。自信を持って断言した。困惑していた彼女はそれに納得したのか

「貴女がそこまで言うのなら信用致しましょう。」

と頷いた。そして続ける。

「問題は彼に如何伝えるか、です。これはあまり表に出さない方が良いでしょう?これが焔心の鐘声と呼ばれるものならば遺された燈火教団の陰が付いて回りますから。」

「そうだねぇ、そこは考えないと……否、良い事考えた♪」

白い静謐は一瞬神妙な顔になったかと思えばすぐに笑顔を取り戻した。そんな彼女に対して時雨は眉を顰める。

「嫌な予感がするのですが…」

「沖田ちゃん。大会インタビューとか雑誌に載るでしょ?それで宣伝しよう!」

「いやそれ真正面から喧嘩売ってますよね!?」

「よくよく考えたらちょっとでも危ない可能性があるなら潰しといた方が良いかなって。」

「本気で仰ってます…?」

「私の事情を抜きにしても彼等はそろそろ法の裁きを受けるべきだからね。」


◆◇


『もしもーし。私です。白い静謐で~す。今お時間宜しいでしょうか?』

「君か。如何した?」

『五年くらい前に御宅のデスクに火を放った不届き者を確保する算段があるんですけどぉ…』

「話を聞こう。君達にはあの時世話になったからね。」

『じゃ、日時決めて詳しく話詰めましょう。』

とあるオフィス。出入口から一番遠い位置のデスクに腰掛ける壮年の男が電話で話していた。神妙な顔で男は詳しい日時を決めていく。男にも、電話先の少女にもそれぞれ事情があり、難航したものの無事に決まり話し合いが終わろうとしていた。

『じゃあまたこの日に伺うので、宜しくお願いしますね。』

「嗚呼。…そうだ、今回の件とはあまり関係無いかもしれないが一つ。」

『?何ですか?』

「本来ならば我々の仕事である筈の場所に潜入してしまっている者が居てな。良ければ少しばかり手を貸してやって欲しい。何せ知っての通り我々は…」

『ほ~う?興味深いお話ですね~。それも今度お話頂けますか?』

「勿論だ。」

『じゃあまた。』

「嗚呼。」

通話を終えた男は悲し気にデスクの片隅に立てられた写真立てを見つめた。そこに収められた写真にはキリッとした表情で敬礼する数十人の警察官が映っていた。そしてあの襲撃を生き延びたのはその内の僅か六名程度だった。

あの日亡くなった彼等の無念を晴らすその日を、男は五年経った今でも待っていたのだ。

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