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其れは例えば宝石の様な  作者: 弦月 雪啼
白瑠璃の章
37/51

占星と菫青

ずっと解らなかった。

幾つもの未来で彼女_白い静謐が怪盗アルセーヌを殺す理由が。

しかし、今回の事でそれが解った。

彼女はループ事象にも、その根源が彼の仲に在る事にも己の知識と経験で気が付くのだろう。時間を掛ければ。そして気が付いた時には何かが手遅れで……彼を殺さざるを得ない状況に陥っていた。そう予測出来る。

ならば。

ならば彼女が早急に事態に気が付き、全容を把握出来れば。

それを防ぐ事は可能なのではないか。

だって、どの未来でも彼女は涙を流していたから。きっと本心では望んでいなかった筈だ。

そう考えれば早い時期に相談したのは良かったのかもしれない。


◆◇


日曜日の昼下がり。星野は桜の花びらが舞う病院前の公園にて、灰色の瞳を持つ少女を見かけた。その首に掛けられたネックレスが目に入った時、ハッと記憶が蘇った。

それは何時かに視た未来の光景。

若しくは何時かのループの記憶。


太陽を喰らう大蛇を打ち倒す光。

遥か上空から降り注いだそれを制御していたのは誰だったか。

確かなのは菫色に輝く宝石があしらわれた指輪をネックレスにしていた事。そして、それがキーとなっていた事。


これだ、と思った。

彼女は重要なファクターになる。関わらないと言う選択肢は無かった。

「…貴女、こんな所でどうしたの?」

「お姉さんだぁれ?」

幼く澄んだ瞳が不思議そうに見上げる。

「私は…あ。」

答えようとして自分の身形を見返す。白いシャツとスカートの上に金の装飾が施された瑠璃色のローブを羽織っている。魔術用の、師匠から貰った礼装なのだが…傍から見ればコスプレの様に見えるかもしれない。

「……魔法使い。」

苦し紛れに囁く様な声でそう答えた。すると、少女は目をキラキラと輝かせて言った。

「魔法使いさん…!すごい!どんな魔法が使えるの?」

「…占いよ。」


そんな出逢いをした少女に、私は怪盗アルセーヌの話をした。

何時かのループと同じ様に。


◆◇


「そういう事だから、何かあったらよろしく。」

「…いや、何かって何さ。ちょっと雑じゃない?」

お互いに部活動をサボり訪れたのは卯の花。カウンター席に腰掛けて菫と言う少女と、彼女にまつわる未来の話を白い静謐にした。そして、最後に一言付け足すと彼女は呆れた様に笑った。

「まあ大分重要な情報だったし、共有は有難いんだけどさ。」

そう言ってコーヒーに口を付けた彼女はハッと何かを思いついた様に顔を上げた。

「それってアルセーヌには如何アプローチする心算?」

「如何…?メッセージカードとか…?」

「……えー…マジか…そんなストレートに…?」

不服ながらに有り得ないものを見る様な視線を向けられる。何がそんなに悪いと言うのだろうか。きっと以前も同じ事をしている筈なのに。

疑問を乗せて視線を返すと、彼女は更に眉を顰めた。

「あのね、星野ちゃん。普通の人は知り合って一ヶ月も経ってない人がそんな突拍子の無い事言っても信じないんだよ。」

「でも彼は信じるわ。」

「…あーうん、そっかぁ…」

何処か遠い目をした白い静謐はそこで言葉を切り、気を取り直す様に咳払いをする。

「話は分かったよ。私も出来る限り援助はするけど、利用もさせて貰うからね~。」

「うん、はじめからその心算。」

「だろうね。」

そんな話をしながら自分で淹れたストレートのレディグレイを口に運ぶ。

「これからもこういう報告はこまめにしていこうか。」

「うん。」

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