16-幕間
アリバ出立まで残り一日と差し迫っていた現在、僕は学園の紹介で隣町にあるそこそこ大きい装身具店『ヘンゲイ』にて変装具を取り揃えていた。
改めて僕の容姿を簡単に説明すると、長すぎず短すぎずのショートで整えられた茶髪に、一番の特徴であるブルーとゴールドのオッドアイを持っている。
前世と同様この世界でも、オッドアイは非常に珍しく、僕以外では母が同じくだが、それ以外では見たことがない。
対して今回の任務は潜入スカウト。入国早々見つかるようなヘマは許されない。
その為、如何にビジュアルを変えれるかが肝な部分となっていた。
――まず最初に、容姿を変えるとなると、真っ先に思い浮かぶのは整形だろう。
指名手配犯が追っ手から逃れるために、自分の顔を殴って変形させて潜伏するというような話はよく耳にする。
だから僕も考えがなかった訳ではない。でもそれは簡単に切り捨てる事ができた。
整形とは、その名の通り形を整える外科学だ。
アリバから帰国した時に行うならまだしも、行く前から施行しても意味が無い。よって除外だ。
そうなればやはり、小道具を使うしかないだろう。
なんと言っても一番目立つのはこの眼だ。
というわけで眼帯が売ってある場所まできた。
海賊の時代からよく使用されてきた一般的な黒調の眼帯。
「一個490エン。眼帯にしてはちょっと高いな」
ちなみに『エン』というのはこの国の貨幣の単位。
どことなく聞き馴染みがあると思うが、関係性はないだろう。
基本的に硬貨は扱われておらず、紙幣での支払いが主流だが、記念硬貨は例外とされる。
一部を挙げると、スターダスト学園設立記念銀貨幣一万エンや、国王御在位50年記念金貨幣五万エン等があった。
――眼帯を身に付ける理由は単純な話、自身の素性を徹底的に隠すためである。
盗賊国家と呼ばれている国だ。怪我の一つや二つはあってもおかしくは無いだろうし、眼帯なんて何ら珍しいものでもないだろう。
というわけで購入。次に必要なのはウィッグである。
在り来りな黒のウィッグを手に取った。
髪の長さはセミロング。
完全に髪を染めてしまうのも良いが、アリバへの潜伏期間がまだ不明な以上、色落ちが心配である。
何よりも長髪には少しばかり憧れがあった。
後はカラーコンタクトレンズだったり、眼鏡だったり、コンシーラー等のメイク道具やその他諸々、使えそうな変装具を一通り揃えた所でお会計。
「1万6800エンになります」
少々買いすぎた気もするが必要経費だ。
学園から支給された入金額100万エンを超えるカードで支払いを済ませ、店を後にした。




