第3節 夏の喧騒
…あ、今何時間目だ…あぁ昼休みかボーっとしすぎていた。少し顔を洗ってくるか。そう思い外の水道がある場所まで移動した僕は顔を洗おうと蛇口をひねろうとした瞬間
「おい、今日のうわさって本当なのか」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。その質問をする時点で僕のことを疑っている「敵」に他ならない。
「君に話す必要のないことだ。これは僕と彼女の問題だ。勝手に首を突っ込んでこないでくれ」
自分で言っておきながらも少し言い過ぎた気がした。
「…んだよ」
文句を聞く気力もない。もう僕に友達はいなくなった、そう感じた瞬間だった。あの女が許せない絶対に許してはならない、、、その怒りを胸に真面目に受けれるはずのない授業を受けた
そして約束の放課後。僕は約束な場所に向かった、もちろん彼女のほうが先に来ていた。
「ふふふっやっぱりあなたって面白いわね」
なんだこの女は…
「なんのマネだ…」
「なんのマネ?事実をみんなに話したまでだけど?」
くそ女が…
「何が目的だった、最初から何か目的があったのか?」
僕は怒っていた自分でも驚くぐらいには
「あなたに説明したいことはあるのだけれどもう耐えられないわ、なにがしたいの」
「は?何言って…」
何を言っているのか理解ができなかったから聞こうとしたときガサガサと僕の後ろの草むらが揺れ動いた
「誰だ!!」
僕が怒りの矛先をそちらに向けた瞬間
「もうこんな茶番やめましょ、拓哉お兄ちゃん」
拓哉なのか、何でここに……は?お兄…ちゃん…?僕は疑問が一気に出てきて混乱していたそんな僕のもとへ拓哉が寄ってきて
「すまない、広樹…お前には隠してたことばっかだったほんとにごめん」
何がどうなってるんだ…意味が分からない
「今は混乱しているでしょ一度教室に戻りましょそこで一から説明するわ」
僕はボーっとした状態のまま教室に連れて行かされた
「広樹君にはほんとに申し訳ないことをしたわ」
教室につくなり開口一番そんなことを言われた
「どうなっているんだ…」
いろいろな感情が入り混じっていて今僕がどんな気持ちなのかがわからない。いろいろな疑問がある、なんなんだ…そして静寂が訪れるこの狭い教室の中に外にいるセミの鳴き声が響き渡る
「このクラスっていうかこの学年の誰も知らないんだけど…実は俺と凛は兄妹なんだ」
は?どうゆうことだ…苗字が違う、だが言われてみれば顔は似てい…!?
「気づいた?」
斎藤凛が目元を指さしながら僕に問いかけてきた、そう気づいたのだ…
「目元にほくろの位置が完全に一致してる…」
こいつらほんとに…じゃあ何であんな無意味に思える罰ゲームとバスケ勝負を仕組んできたんだ…
「あなたには説明しないといけないことがたくさんあるのだけれどまずはこれを見てほしいの」
と凛から渡されたのは一冊の卒業アルバムのようなものだった
「広樹、それの一ページ目を見てほしい」
と拓哉から言われ、指示通りページを一枚めくると
「…!?」
と、思わず息をのむような事が記されていた。
「なんで…この本に俺の名前が載ってるんだ…」
外はこの場の空気の重さとは裏腹に晴天で鳴りやまぬセミの声とともに夏の喧騒が僕らの周りを包み込んだ。