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未練になるからだろうよ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

作者はこの作品、根底にあるのは恋愛だと思ってますよ。


幼少期『絶対忘れない。ずっと一緒にいる』なんて甘っちょろい事言ったって、時間というものは残酷で、会わないうちに記憶なんざ平気で薄めにかかる。そうして過去の面影がなくなった頃に、大人になった事を実感する。

そうして全ては私の預かり知らぬところで終わっている。


「何だよ。久しぶりじゃねぇか」

久方振りにあった旧友の面はあの頃の無邪気さが剥がれ落ちて、何処か哀愁漂う悲壮な色を纏っていた。此奴は僅かに口角を上げて、ただ薄ら笑いを浮かべる。手首にぶら下がった、ちんまいコンビニのビニールを押し付けて来た。

「□□は元気か」

「あぁ、本日も元気に悪態ついて、素行不良全開だよ」

ビニールの中身を覗くと、ミント色の箱が目に入る。今の俺達の関係には程遠い、爽やかな色をしている。彼奴がこれを見たら、何時もよりも輪にかけて舌打ちを噛ましそうだ。

直接会って渡せばいい物を、こうして回りくどいやり方をする。最後の時も録に挨拶もせずに、短文の手紙一つ寄越して、唐突にこの場を去ったぐらいだし。

言わなくても良い。行動で示せば理解して貰える。その傲慢性は何一つ変わってない。そしてその傲慢性が俺達の間に大きなしこりを残している事に、此奴自身は気づ付いているだろうか?

「彼奴に会ってこい。間違っても笑顔で迎えてはくれねぇが、拳で熱烈に歓迎してくれんぞ」

「はっ、やなこった」

此奴はだらしなく舌を出して、その場を去った。背中が語る。役目は終わった。暫くまた、顔を合わせるつもりは無いと。


家に帰ると、ふんぞり返ってスマホを弄る□□がいた。勿論、俺が△△に会った事は知らないようで、ダラダラとしている。

「……□□、△△は覚えているか」

「あ゛?」

俺が彼奴の名前を出した途端、目付きが鋭くなった。やはり根には持っている様で、突発的に姿を消した事を許すつもりもない様で、顔に鬼の面が乗っている。

俺は黙って貰ってきたコンビニの袋を上下に揺り、中身からチョコミントの箱を取り出した。

「!? 彼奴来たの!? いつ?」

「さっき」

「チッ……。挨拶もなしかよ……。最後と同じ。違うのは手紙も寄越さねぇこと。前よりも遥かに悪化してる」

むくりと起き上がったのもつかの間。会う気が無いと分かった途端、すぐにソファに体を埋めた。文句を言う相手がいないなら、動く気もない。

「お前、忘れたんじゃなかったか?」

「綺麗で淡い記憶ほど薄まるのさ。だって元から淡いからな。すーぐ忘れる。でも濃いものは忘れないのさ。ある日突然、蒸発した事とか、私と面を合わせない事とか。……『忘れてやる』という手紙だけを寄越した事とか」

ま、会わない理由なんざ一つだろうよ。お前と会ったら、未練になるから。

突発的かつ、手紙一文という強烈な別れ方をしている為に、中々忘れられません。

皮肉利いてますね。『忘れてやる』という一文故に。

その相反する言動と、約束を破った事に関して、□□は怒ってそうです。

口ではそう言ってますが、行動では忘れさせる気はさらさら無さそうです。


それは△△がさり気なく□□の事聞いたり、まどろっこしく来たことを示す辺り、お分かり。

会ったら迷うし、未練になるから、こんな行動でしょうね。


そんな関係って、よっぽど深い関係じゃないと駄目ではないかと。

親友なら会えば良い。殴って、殴られて解決すれば良い。

でも一方的な片思いをしている相手なら?

しかも叶わないと分かっているなら?


会って未練になるのって、思い人くらいじゃないですかね?


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