11話 恋話
遅れました。さーせん。
えー、今俺がいるのは職員室です。
1時間前に先生を殴ったら職員室に呼ばれました。
俺的には良い事をしたと思ってる。だけど相手は貴族。
何をされるか…もしかしたら退学させられ、社会的に抹殺されるかもしれない。
そうなったらトゥルーエンドどころじゃない。超バッドエンドだ。
「…キリュウミナト、来なさい」
変なこと考えてたら呼ばれちゃったよ…
何を言われるかな…何か罰はありそうだしな…
「はい、今入ります」
俺は職員室に
「あ、話をするのはあちらの生徒指導室です」
入ろうとして綺麗に右方向に移動した。
よし、今度こそ入るぞ。
「失礼します」
そう言い、俺はドアを開けた。
「…お、来たのう…」
ドアを開けたその先には長い帽子をかぶったおじいさんがいた。
The 異世界おじいさん みたいな格好だ。
「わしの名前はヴァバム・ローデンじゃ。一応この学校の校長じゃぞ」
…まぁ見た目的に校長だよな。
「僕の名前は…」
「知っとるぞい。キリュウミナト、じゃろ?」
俺が言おうとした言葉は途中で遮られた。
「まぁ…はい」
「…早速じゃが、本題に入るとするかのう…」
本題、まぁ確定で先生を殴った話だろうな。
「キリュウミナトよ。お主は…」
来るぞ来るぞ…
「好きな女の子とかいる?」
ほら来た…え?
「あの…それはどういう質問ですか…」
「単純じゃよ。おるのかね?」
えー。好きな女の子はまだいない。戸田さんは確かに可愛いと思うが、まだ好きではないな。多分。
「…居ないですかね。可愛いなと思う子はいますけど」
「…恋愛って難しいと思わんか?」
「なんですか急に」
「いや何、わし、バツ2なんじゃよ。学生のうちに経験は積ませておきたいのじゃ」
「…これって、全校生徒にやってたりしますか?」
「たまにやっとる」
「それって本当にいいんですか?なんか話題になったりしないんですか?というか女子生徒にしてるならセクハラになるのでは…」
「せくはら?なんじゃそりゃ。…話題になったりはしんよ。わしが記憶消しとるから」
ええ怖。
「それって魔術とかですか?」
「そうじゃよ。わしの魔術は相手の心に直接食らわせる魔術なんじゃ。何かと不便なんじゃよ、これ」
「そうなんですね…」
というかまじでこの話で終わるのか?俺が先生を殴った話は無し?
「…キリュウミナトよ。その顔は先生を殴った話はな無し?って顔じゃな」
「やっぱり俺って顔に出てます?」
「結構出とるよ」
…確かに、前世でも嘘をついたらすぐバレてた。その時顔に出てたのかな。
「まぁよいよい。…話すとするか。あの先生はのぉ…クビになったのじゃよ」
…まぁそれはそうだろうな。クビになるべくしてなった人だろう。
「で、今お主が1番気になるのは自分の事じゃろう。お主は、このまま学校に滞在しなさい。お主も確かに、目上の人に腹を殴るのは良くないことじゃ。だが、聞く限りお主は正義を執行したまでじゃ。正義のヒーローが痛い目を見るのはおかしいじゃろう?」
俺、正義のヒーローだったのか…他の生徒達は喜んでたけど、俺がヒーローに見えていたのだろうか。
まぁそんな訳ないか!!
「もう戻ってもよいぞ。生徒達がお主を待っておる」
「はい!ありがとうございました!」
「あぁあと次からは敬語なしで頼むぞ!」
「あ、ええ?はい分かりました?」
「約束じゃぞ」
俺はドアを閉めた。
いやー、校長先生濃いなー。
いやすげぇよ。
急に生徒に恋愛話持ち込む時点で。
まぁ何はともあれ、無事に学校生活を続けることができるな。
よし、教室に戻ろう。そうしよう。
俺は駆け足で教室に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーー
教室へ戻ると初めて来た時とは一変して空気が賑やかなものになっていた。
そうそう。学校っていうのはこうでなくちゃ。
「よぉ、このクラスを救ってくれたヒーローさん」
急に前から話しかけられた。
誰だこいつ。
「あのー…だれ?」
「俺はケイ・モセって名前。よろしくな!」
「…よろしくね。ケイ君」
すげぇガツガツ来るなこの人。
「ケイ君…って言ったか?」
「え?うん…言ったけど…」
え、何か地雷を踏み抜いたのか俺。
「俺は…男じゃなくて女だぁぁぁぁぁぁ!」
あ、そういうことか。
「ごめんなさい!!!!!!!」
俺は綺麗な土下座をした。
「?!…いっいや、大丈夫だよ。俺にも問題があっただろうしよ」
「いや、これは俺が悪いです!!すみません!!!」
はぁ。トゥルーエンドを目指すとか言っときながら何やってんだろ、俺。
「いや、いいって!ほら、皆も注目しちゃってるからさ!早く顔上げろって!」
「え?あぁホントじゃん…よいしょっと」
俺はすぐに立ち上がった。
「なぁお前…本当に反省してるのかよくわかんないな」
「反省してるよ。反省してなかったら顔に出るから」
「そうなの?ならいいんだけど…ん?いや?良くはないか…」
ケイさんが何か1人で考察しているが、俺にとってはどうでもいい。
「そういえば、お前って剣術と魔術どっち受けるの?」
あーよく考えてなかったな。まぁ俺は剣術使ってみたいし剣術でいいか。
「剣術受けようと思ってるよ」
「ほぉーん…俺も剣術受けてるんだよ」
「それがどうしたの」
「え?いや、一緒だなぁって」
どうしたんだこの人。
「今日はもう帰る時間なんだ。明日の剣術…一緒にやらねぇ?」
「出来たらね」
そう、出来たら、ね。
ケイちゃんは
赤髪 身長はキリュウミナトより少し上の164。
男気で溢れている。