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情報を求めて

「むむ、これは手掛かりの匂いがプンプンするぞ」

 木下の発言を聞いて俺達は集合した。


 今いる場所は、小麦畑のど真ん中に佇む倉庫の屋内。俺等四人と一匹は、カビ臭い倉庫の中を調査していた。


「手帳かしら。でも文字は読めないわね……」


 麻紐で括られた紙の束を覗き込むと櫻井が言った。


「普通に読めるだろ。ええと“今日の予定、午前は小麦の収穫、午後はリファさん家の時計修理、その後はリファさんの誕生日プレゼントの買い物”って書いてるじゃないか」

「えぇ!?これ何語!?一条君はなんで読めるの?」

「だって普通にそう書いてあるぜ」

「私も読めないよ」

「あたちも」

「……例のコンニャクか」

「嘘だろ……ってか櫻井、お前化け物が喋ってたのは知ってるだろ?」

「意味は分からなかったわよ?え!?二人は理解してたの?」


 俺と工藤は頷く。

 あのコンニャク、マジだったのかよ。ますますファンタジーだな。なんでもありかよ。


「翻○コ○○ャ○食べるしかないのかな……」

「おおい!ほぼ伏せ字になったぞ!いつも言ってるだろ!並べるなよ!」

「一条君、少しうるさいわよ」

「もう少し声のトーンを落とせ」


 納得いかん。

 俺がツッコまなかったらお前ら死んでるぞ。


 木下はおもむろに、手持ちのビニール袋をガサガサと音を立てて開き始める。

 ようやく食べる気になったか。これだけの効果だ。流石に食べないわけにはいかないだろう。


「臭っ!!あーーくさっ!」

「え?うっっ……生臭い!!これきついわ」

「あたち無理かも」


 女子二人と一匹は、袋の中から漂うコンニャク臭に顔を歪める。

 ぷっ!わはははは!俺をコケにした罰だ。お前ら女子は臭えコンニャクでも食べてろ。わはははは。


「ぷぷっ、ほら食えよお前ら。ぶはっ!コンニャク臭いとか面白過ぎんだろ!しっかり噛むんだぞー。わはははは」


「エ○本持ってるときの一条君の匂いがする」

「え!?一条君ってこんなに臭いの?」

「あたちなら生ゴミに捨てちゃうね。こんな匂いしてたら人間じゃないもん」


「いいから早く食えーーー!!俺を傷付けるな!!おい工藤、お前なに笑ってんだよ」

「生ゴミ……ぷっ!」


 こいつら全員○したろか。

 誰がオ○ニーしすぎてイカ臭い生ゴミ人間だって?


「鼻摘んだらいけそう。もぐもぐ」


 木下クリア。


「ど、どうしよう…………そうだ!うさちゃんが食べたら、私も言葉が分かるようになるんじゃないかしら?」

「そうね。あたちとななみは繋がってるから、その可能性は十分にあるわ」

「しゃ!うさちゃんお願い!私の為に死んで!」

「そっくりそのままお返しするわ。ななみ、あたちの為に死になさい」

「こんのうさぎがー!本体である私の言う事を聞きなさいよ!」

「勘違いしないでよね。あたちが本体で、ななみが尻尾なんだから」

「そんなわけないでしょ!」

「そんなわけあるわよ!」


「喧嘩はよせ」

「むぐっ!?」

「あむむ!?」


 工藤は二人の間に割って入ると、そのまま口にコンニャクを差し込んだ。

 どうやら三等分したらしい。工藤自身も同じように、コンニャクを咥えている。


「俺も同じ思いをしてやるから。二人とも食べろ」

「もぐもぐ……はい」

「もぐもぐ……おいちい」


 喧嘩の種火は一瞬にして鎮火された。

 何こいつ。

 “俺も同じ思いをしてやる”だと?カッコつけてんじゃねーぞ元メガネ野郎。

 なんで櫻井とうさぎはちょっと嬉しそうなんだよ。


「ん、これ」


 あ?なんだよ木下。俺の服掴んで。


「くさっ!近付けんな!くっっさ!!」


 泣きそうな顔の木下。

 俺は悪くねーぞ!!

 クソっ、全部工藤のせいだ。なんで俺まで食わなきゃならねーんだよ。


 俺はヤケクソ気味に、木下からコンニャクを受け取り頬張った。

 にっこりと笑顔の木下。

 まぁ……これも悪くないか。


 もぐもぐ、うまっ。


ーーー


「読める!読めるわ!オーホホホホホ。櫻井夫人、あなたは読めてるかしら?」

「夫人じゃないし。読めてるわよ」

「ワンランク上のうさぎになったきぶんだわ」


 一悶着あったが、なんとか全員文字が読めるようになったか。


「でも大したことは書かれてないわね」

「手帳の持ち主が、リファって娘を好きな事は分かったね」

「こいつ絶対にストーカーだろ。“リファさんがご飯食べる時間”とか“リファさんがトイレに行く時間”とか“リファさんがお風呂に入る時間”とかが書かれてるぞ」

「おぇー、キモすぎる」

「しかし見ろ。最後には“僕が必ずリファさんを守る”って書かれてる。何かから守ろうとしていたんだよ。少し好感がもてるな」

「ピュアか!ストーカーは大概そう言うんだよ!」

「別に守ってもらう必要ないのにね。寧ろ危険人物はお前だ!っていう」

「ストーカーは嫌だけど、私は守られるのは好きかも」

「最初はまともそうな人なのに、徐々にストーカー的な内容になってるわね」

「つーかこいつの事掘り下げても意味ねーだろ。他に情報が無いなら、ここから離れようぜ」


 思いの外何も無かったな。

 毛むくじゃらの化け物達はここで何やってたんだよ。


 倉庫の中は閑散としており、錆びて使い物にならない農具や、壊れた机が散乱している。


 こんな場所で時間を掛けてる暇はない。

 何も無いなら無いで、次の手を考えるべきだ。


 俺の意見に皆が賛同し、倉庫を後にした。


ーーー


『これ以上歩いたらしぬー』

『私ももう限界かも』

『誰かレタス持ってない?』


 女子達が音を上げ始める。


 かれこれ何時間歩いただろうか……

 永遠に歩き続けてるが、俺達は未だに小麦畑のど真ん中にいる。


 俺達は倉庫を出た後、次の手掛かりを求めて大海原に飛び込んだ。

 どうにかなると思った。物事を楽観視し、四人とも目を輝かせていた。


 しかし現実はこの通り。我々は詰んでおります。


 空には気持ち良さそうに飛び回る小鳥の姿が。

 あぁ、俺も空を自由に飛べたらな。


 進む速度が遅々としてるとはいえ、ここまで何も無いと流石に気が滅入ってくる。


『空飛自由に飛びたいな……工藤君、竹で作られた空飛ぶ道具を生成してくれよ』

『誰が便利なハイスペック次世代AI搭載の機械人形(タイプC)だよ。俺が出せるのは、手で持てるサイズの武器だけだ』

『それならあれはどうかな?映画であったじゃん。めっちゃタフな鉄男が、手から火を出して飛ぶやつ』

『固有名詞避けるあまり、文章が酷いことになってるわよ』

『現実的には不可能だ。圧倒的なエネルギー不足だし、全身アーマーもといアークリアクターありきだからな。手袋だけ生成したところでリパルサー光線すら出せないぞ。そもそも“飛ぶ”為の推進力の80%はジェットブーツで、手袋はその補助に過ぎない。“空を自由に飛ぶ”という人類の課題はそう簡単に実現できないというわけだ。

 人は皆、上に飛ぶ事を考えがちだが、エネルギー効率を考えると流体に身を置き、揚力を活用するほうが現実的だろう。飛行機が高度1万メートルを飛行するのと同じことで……』

『ごちゃごちゃとうるせぇなぁ!男なら黙って飛べ!』

『そんな、バンジーじゃないんだから』


 俺は傾き始めた太陽を見上げて考える。打開策は無いものか……このままだと遭難確定だ。

 俺一人なら飲まず食わずで数日は持つ上、なんなら木のお化けを粉砕しながら、全力で突き進む事もできる。

 あくまでも一人なら、だが。


 木下と櫻井を置いて行く事は出来ないわな。工藤はしらん。一人で生きろ。

 あー、どうすっかなー

 面倒くせーけど二人を抱きかかえて走るか?


 んん?……それでよくね?

 

 俺にとって木のお化けは障害になりえない。ガン無視で駆け抜ければいい。


 いやまてよ……もしかして……

 シナプスが繋がった。閃いたぞ!


 女子を触り放題出来るのでは?

 必然的に起こる体の密着。触る場所は俺が自由に決められる。なんならハプニングを装って布切れを剥いだり、手を滑り込ませれば……


 なんという事だ。なんで今まで気付かなかったんだ。目の前に答えがあったんだ。始めっからそうしていれば良かった!

 工藤はしらん。一人で生きろ。


 だが今からでも遅くはないはずだ。

 ここから始まる。俺のファンタジー・ライフ。

 しけた世界だと思っていたが、判断するにはまだ早い。俺は触りまくる!木下と櫻井を。


 ……そうと決まれば善は急げだな。いつまでもちんたらしてられん。


 俺はどことなく周囲を見渡し、他の三人の様子を伺いつつ口を開いた。


『皆聴いてくれ。俺は閃い……』

『あ、私閃いたかも』


 俺より一手早い木下。

 これはしゃーない。

 俺は木下に向って顎で合図を送り、先に話しをするよう促した。


 木下の閃きなんぞたかが知れてる。まぁ聞いてやろうじゃないか。

 俺は内心、木下を馬鹿にした態度で耳を傾ける。


『ドローン生成したらいいんじゃない?』


 三人の脳天に稲妻が突き刺さった。

 呆然と立ち尽くす三人。


『ちょっと木下さん!最高のアイデアじゃない!』

『まさか素人に出し抜かれるとはな』

『だそだそ!私って閃き系女子なんだよね!普段から占いばっかしてるからかな?』

『それは知らないけど。工藤君できそう?』

『出来る。俺の直感が出来ると言ってる』

『やった!ようやく小麦畑から脱出できる!』

『かなり複雑な構成だからな。少し時間をくれ。今から練り上げる』

『工藤君ありがとう!大変そうだけどお願いします!』

『レタスが……遂にレタスが食べれるのね』

『工藤君は頼りになるなー』


『それは駄目だ!!!』

『うわ!びっくりした』

『一条君どうかしたの?』


『ドローンは駄目だ!!!』

『え?どうして?』

『最適解だと思うんだけどなー』


『駄目だったら駄目!』

『なんでよ』

『一条君、何か案があるの?』


『……ある』

『それを先に言いなさいよ』

『おせーておせーて』


『……俺が木下と櫻井を抱きかかえて突っ走る』

『は?却下です』

『うーん、私もドローンの方がいいかも。何か成功率低そうだし』


『なんでだよ!抱かせろ!』

『それだと意味変わってるくるから!』

『一条君の本音はそこか!?』


『俺に任せたら大丈夫!不安なのは最初だけだから!優しくする!絶対に!』

『そもそもの内容が無謀だって。諦めなさいよ』

『私もそう思うな』


「うるせぇ!やるったらヤルんだよ!」

「「きゃっ!」」


 俺は女子二人のお尻に両手回し、少し持ち上げながら抱き寄る。


 オ○禁中の俺はもう理性が飛んでいる。

 こちとら昨日から出すもの出してねーんだよ。エロいことしないと収まらない。


 妄想で膨れ上がった欲望は破裂寸前である。いや、もう破裂した。


 目の前には美味しそうな二人のおっパイナップルが。


 ゴクリッ……食欲には逆らえねーな。※性欲です


 この世の全てのナップルに感謝を込めて……いただきます!!


「「きゃゃああああーーー」」


 女子の悲鳴とは真逆に、俺は気持ちは天国へと飛び立った。


 右にもナップル。左にもナップル。

 おでこ、鼻、ほっぺた、口、耳、どこで触っても素晴らしい。


 ときには押しつけ、時には持ち上げ、時には弾く。俺は無我夢中でナップルを堪能する。


 これだ、これこそが俺が求めていた日常。


「ちょっといい加減にしなさい!」

「んんん!一条君大胆過ぎ!」


 身をよじり、もがけばもがくほど、俺の指は柔らかいお尻に埋もれ、俺の顔は柔らかいナップルに埋もれていく。


 無駄な足掻きよ。

 四冠の名において俺が手を離すことは絶対にない。これは決定事項だ!


 そんな決意を胸に秘め、俺はいざ走り出そうと気持ちを切り替えた。しかし、その次の瞬間、とんでもないものを見つけてしまった。

 それは、櫻井の制服に突如現れた突起物だ。


 ニップル……だと?


 まさかブラがズレたのか?

 いや。そんな事はどうでもいい。ニップルがそこに居る事実。なんてっこった。制服ごしなのにこの吸引力。間近で見るとこんなにも凄いのか。

 あぁ駄目だ。抗えきれない。

 俺の口が櫻井のニップルに引っ張られる。


 パクッ……レロレロレロ。


 櫻井の驚きと恥辱にまみれた声が響き渡ると同時に、俺の意識がシャットアウトした。


ーーー

 

 工藤蓮視点


 目を閉じて考える。

 武器の生成にはイメージが大切だ。

 ディテールにこだわる事で、既存の物と全く同じ物を作り上げる事が出来る。


 自身で制作している刀剣類や、銃器、爆発物なら、簡単に生成できるのだが、ドローンは別である。

 普段から制作してない上、コンピューター制御システムも俺には分からない。


 では生成出来ないのか?

 いや、そんな事はない。

 

 この指輪を身に付けた時から感じる不思議な力。常識では計り知れない力。


 指輪が俺に答えをくれる。


 言葉では無く、感覚が俺に宿るのだ。

 ドローンは生成出来る。道筋が見えた。


 俺は瞼を開き、両手の平を見つめる。

 指輪が呼応している。


 よし……開始するか。



「うるせぇ!やるったらヤルんだよ!」

「「きゃっ!」」



 む、生成速度がかなり遅いな。

 大部分を指輪に頼ってるせいか?


 バッファリングが間に合っておらず、生成がかなりぎこちない。



「「きゃゃああああーーー」」



 まるで3Dプリンターなみの遅さだ。

 このままだと、明日まで掛かるんじゃないか……


 完成予定時間も分からない状況だと、流石に待つのは厳しいな。

 どうする?何か手は無いか……



「ちょっといい加減にしなさい!」

「んんん!一条君大胆過ぎ!」



 さっきから五月蝿いな!

 ここをどこだと思ってるんだ!

 うるさくしてたら木のお化けが……


 ズズズズズッ


 この地面を引きずる音。

 出やがった。辺り一面、木のお化けが姿を現し始めた。

 

 ふざけんな!まだドローンも出来てないんだぞ!?こんな奴らに囲まれて生成出来るか!!


 折角ここまで頑張ってきたのに。

 何やってるんだこのアホどもは!?


 俺は怒りの眼差しを三人と一匹に向ける。

 するとそこには、衝撃の光景が広がっていた。


 一匹の猿が櫻井と木下のお尻を鷲掴みし、抱き寄せ、気持ち悪い笑みを浮かべているではないか。

 それだけでも衝撃なのだが、俺はさらに衝撃の事実を目の当たりにする。


 女子二人の胸に浮かび上がるポッチ。

 こここここれは!?

 もしや、ちちち乳首!?


 女子二人の顔は真っ赤に赤面し、猿は自身の顔面を女子二人の胸に押し付けている。


 その柔らかさを想像し、俺の意識が飛びそうになる。


 いったい何が繰り広げられているんだ?


 どうなってるのか理解出来ず、ただただエッチな光景である。


 お、俺には刺激が強すぎる。

 当事者でもない俺の顔は火照り。頭のてっぺんから湯気が登り始めた。


 これ以上見てられないと、顔を背けようとしたその時……


 パクッ……レロレロレロ。


 !?


 ビクッと体を震わせ、「あ」っと声が漏れる櫻井。その表情を俺は一生忘れないだろう。


 俺には……刺激が……強すぎる……


 暗転する世界。


 俺が最後に目にしたのは、櫻井のダブルスレッジハンマーで、ぺちゃんこになったお猿の姿だった。

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