第五話:男の子ってみんなそういうのが好きなんだから///
…………っかぁ〜!気持ちいい〜……。
異世界ってお風呂なくて大変!みたいな設定のも結構あった気がするけど、むしろめちゃくちゃ広くて良き良き。
この世界に来てから早3日、まだあの男の子の目は覚めてないみたい……。
いや、名前も覚えてないんだし心配なわけでもないんだけどさ……。
気になるのはしょうがなくない?
あ〜、なんかのぼせてきたかも。
あがろっ。
――――ざぱぁ〜。
――――ガラガラッ。
「………………はろー?」
「いっ……あっ……ごっ、ごめんなさいっ!」
――――バンッ。
……………。
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ひぃぃっ…!」
「目、覚めたの!?早く言ってよ!」
「え、は、はぁ。ってこっちこないでください!」
「えっ、あっ、ごめん!後でね!着替えるからっ、入っててっ!」
えっ、はずっ、一応タオル巻いてから行ったけどこんなん私変態じゃん。
まぁいっか。
「で、やっぱりライザさんの仕業だったんですね。」
「年頃の男女が裸で二人、そそるわぁ……。」
殺したろかこいつ。
今喋ってるのはメイドのライザさん。
地下の施設、二番街の研究員兼お屋敷のメイドさんだ。
意外とお話したら意気投合しちゃって、仲良くなっちゃった。
暴走気味だとは思ってたけど、やっぱり男の子をお風呂に誘導したらしい。
「で、さっきの子はどちらに?」
「ドラ様の部屋にいらっしゃるわ、準備ができたらいらっしゃるようにと。」
「あ、了解です。」
あー、ワクワクしてきた。
どんなスキルかを一晩中ライザさんと妄想してたから、もう何が来ても驚きません。
「失礼しまーす!」
「突然呼び出してすまない、こちらに。」
さっきの子も隣に座っている。
よく見ると可愛い顔してるなぁ、ライザさんがいじめたくなるのも分かるかも。
「あの、さっきは申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、ありがとうございました。」
「?、えっと、初めましてではない、とお聞きしましたが。」
「えっ!私のこと忘れちゃったの!?」
「あっ……えっ……、ごめんなさいっ!どこでお会いしたかお伺いしても?」
「私もあんまり覚えてないです!」
「え……?」
「あまりからかうのはやめてあげてくれないか、私にも何がなんだかわからない。」
じゃまするんじゃないよっ!!!
「もしかして……ここねさんですか?」
「え!なんで分かったの!?」
私あなたの名前覚えてないのに!
「僕、あなたの隣の席の尾形、勇斗って言います!覚えてませんか?」
「あ、え、えーっとねぇ。あ、うん!ごめんなさい!」
「あぁ、いえいえ、大丈夫です。」
だって入学式しか学校に行ってないんですもん……。
「え、えっと!本題話しましょ!」
「あぁ、ゆうと殿、お願いする。」
「えぇっと、どこから話したらいいのか分からないのですが……。僕はあの日いつもどおり学校へと行きました。そしてHRが始まる直前、周りの人間が倒れ始めて……そこでもう記憶はないです。」
「なにそれ、やばいじゃん。」
所謂クラス転移?でもなんで私まで巻き込まれたんだ。
「〜、んじゃ多分他の子達もいるんだ。で?なんのスキルもらったの?」
「えぇと、「創造」らしいです。」
え!めっちゃテンプレじゃん!そんなんもうハーレムまっしぐらよ!
「すごい!なんか作ってみてよ!」
「無理なんです。」
「え、創造なのに?」
「僕のスキル経験値を消費して効果を発動させるらしいです。なので今1レベルの僕には何も作れません。」
「そうゆーこと、デメリットはみんな付いてるのかもね。」
それならすることは決まり!
「じゃっ、早速レベル上げに行こ!」
「大丈夫です。我々には二番街に付いてるでしょう?」
「おぉ……。」
キラキラした目で拳銃を眺めるゆーくん。
あっゆうとだからゆーくんね、そっちのほうが可愛いじゃん。
やっぱ男の子はそーゆーのみんな好きなのかね。
村の外にいけばいくらでも襲ってくるって言ってたから、早速向かってるところだ。
私?私は木刀1本です。
なんか鉄の剣は重くて持てませんでした。
でも剣は使いたいじゃん!!!
村の外、どんなモンスターがいるかは何も聞いてないけどまぁいけるっしょ!
「GRUAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
えーっと、マズいです。
思ってた50倍のサイズのイノシシが咆哮を上げてます。
いやイノシシが咆哮すんなや、ゆーくんもビビってすくんじゃってるし。
………………ふぅ、しょうがないなぁ。私がやるしかないのかぁ!
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
足を目掛け突っ込む。
――どすっ。
見事木刀がクリーンヒット。
うーん、腕めっちゃ痛い。
そんなことより少しぐらい怯んでくれてもいいんじゃないですかね。
「UGAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
「うぁぁぁぁぁぁ!逃げろぉぉぉぉぉ!」
勝てるわけない!中ボスだろあいつ!
「ゆーくん!はやくっ!」
「ひっ………………。」
「もういい!それ貸して!」
奪い取った拳銃をイノシシに向ける。
――――ズギャーンっ!!!!
「うぁっ!」
反動で腕ごとふっ飛ばされそうになる。
放たれた弾の威力は最早大砲のような質量を持ちイノシシに襲いかかる。
見事頭に命中した、そう思った瞬間弾け飛び消える頭。
あたりが血の海に包まれる中、ゆーくんの恐怖は最早イノシシには向けられてはなかった。