第四話:日本人としての誇り
深夜テンションで書きました。ごめんなさい。
はぇ〜、すげぇ〜……。
圧倒的に異世界とは不釣り合いなその見た目に私は圧倒されてしまった。
え、だっていや普通にモニターとかおいてあるよ!?
みんな画面に向かってなんかしてるし……。
「こちらだ。」
案内されるがままに連れてこられたのは大量のモニターに囲まれた恐らく電気椅子みたいな装置。
「えっとぉ、これに座ろうって感じですかぁ?」
「そうだ。ここであなたのステータスを見させてもらう。」
「もぉ、そんなことしなくても見せますよぉ!」
「ん?他人のステータスウィンドウは見れないだろう。さ、座ってくれ。」
「因みに痛くしないですよね?」
「それはここね殿次第だ。」
マジトーンじゃん。
あれ、これ、死ぬパターンじゃない?
えっと、えっと、どうしたら……。
………………いつからだろう、日本人としての誇りを見失ったのは。
…………いつからだろう、何事もそのうちどうにかなると勘違いし始めたのは!
私はだらだらと、周りに流され生きる人間ではなかったはずだ!
私はいつまでも行動を起こさず眠っている子羊ではなかったはずだ!
ぎゅっと掴んでいたスカートの裾から手を離し、ゆっくりと姿勢を低くしていく。
「ん?どうかなさったか?」
舐めるな!見ろよ私の大和魂!!!
額を地面に擦り付け叫ぶ。
「うっ……ひぐっ……ごめん……なざいっ………………わだしっ、うぐっ……ほんどうはっ……。」
どうだ!このシンプルでなおかつ最大の屈服の意を示すJapanese DO☆GE☆ZA☆の威力は!
しかも女の涙付き!これでうろたえない男などこの世にいない!
「なっ……落ち着いてくれ、あくまでも君が私達に害をなす者かどうか調べるだけだ。全ての研究員及びに実験体はデータによって保管されている。」
「うぐっ……違うんですっ……私っ……嘘、ついてて……。」
「何?どこからだ。」
「わだしっ、本当は、転移なんて知らないんです……。」
「……まぁいい、早く座ってくれないか?それだけでいいんだ。」
え?なんかめっちゃ面倒くさそうな顔してるじゃん。
しかもあのTHE・死刑みたいな椅子に座らされるのは確定なのね。
ま、まぁ、流石にすぐには殺さないでしょ……。
恐る恐る椅子に座るとたくさんおじさんたちがやってきた。
手首と足首を固定され例のヘルメットみたいなのをかぶる。
ひぇぇぇぇぇ、こわ、まじで泣きそう。
「では、失礼するぞ。」
———ガガガガガコンッ。
重たそうなレバーを下げ切ると沢山のモニターが忙しなく動き始めた。
――――フォン。
あ、わたしのステータス画面出てきた。
相変わらず弱っちぃ〜。
ん?なんか見たことないの書いてない?
・足立 ここね レベル:0
│ 15歳。女。154cm B:79.3 W:55.3 H:68.5 O型
│ 天川高等学校1年2組2番。
│ 入学式後学校には通っておらず、典型的な引きこもりとなる。
│ 普段家ではアニメ鑑賞や漫画鑑賞などの2次元コンテンツに勤しんでいる。
家庭内での関係は非常に「ギャァァァァァァァァァッッッ!!!」
コイツ等にはぷらいばしぃだとかでしかしぃだとかは無いのか!
「ちょっと!なんですかこれ!ねぇ!」
無視ですか!?
ドラさんは一生懸命モニターに映るわたしのステータスを覗いている。
そんなに私のスリーサイズ気に入ったのか?あ?
「ふむ……大方君が嘘をついていないことは分かった。」
「え、あ、ありがとうございます。」
「しかしながら君が敵国のスパイだとか以上に話を聞かなければいけない存在だということも同時に分かった。」
「はにゃぁ?わたしなんのことだかさっぱりぃ!」
「………………もういいから。」
「ごめんなさい。」
「にわかには信じがたい話だが……。」
「私にとってはこんなに文明が発達していたことのほうが信じられません。」
「ははは!そうだろう。個々の技術は帝国が厳重に秘匿してるからな。もし誰かに言ったら即首チョンパだ、もちろん君もな。」
「ひっっ……。」
この人マジで冗談言えないタイプの人間だから困る。
「そしてだが……先程拝見させていただいたここね殿のステータスだが。」
「やっぱりなんか特別なものなんですかね?」
「あぁ……ここね殿はレベル0だったな。」
「はい。」
「……あれはこの世界ではありえないものなんだ。すべての生物は生まれた瞬間はレベル1だ。」
「まだお腹の中ってことですか?」
「…………恐らくここね殿の持っていたスキル、武具能力上昇の影響だ。」
「あ、あぁそれは自分でも見ました。本人の獲得経験値を0にするって。でもそれだとレベル1になるはずじゃないんですか?」
「これは仮定の話だが、恐らくこの世界にここね殿が召喚される以前にもうスキルというものは決まっていたのだろう。だからここね殿が生成される段階でスキル効果が発動し、本来得るはずの初期経験値さえ得られてないのだろう。」
「だから0レベル?まぁなんとなく分かるような分からないようなですけど、それじゃ私やっぱり赤ちゃん以下の力しかないんじゃないですか?」
「いや、ステータスは自身の身体能力に大きく左右されるから、ここね殿のステータスはその体相応の力だろう。しかしそれ以上の上昇は望めまい。」
「えぇ〜、ぶーんってなってばーん!ってしたかったのに……。」
「ここね殿が望んでいたものではないかもしれないが、身体能力を強化することはできるぞ。」
「え!まじ!やった〜!」
「まぁ、高度な技術がいるが…。」
まぁ空飛べる可能性があるだけね?
「それでさきほど紹介した男の子だが、彼も特殊なスキルを持っていた。」
「やっぱり!?なんですか?」
「いや、それは彼が起きてから説明しよう。あと、これからここね殿のことは私達が管理させていただく。大変申し訳無いが、私達にできることなら全力でサポートさせていただきたい。」
「え、んじゃぁ、住むところと、お金欲しいです!」
「もちろん用意する、しかし私達もあなた方を急に呼び出す場合があると思う。その時はよろしく頼む。」
「ええ!」
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「因みに棚の上にずっとおいてあったこの……拳銃らしきあれは本物ですか?」
やけに目立つ黒光りするそのフォルム。
見た目はシンプルだが、威圧感が途轍もなくアウトレイジ。
「あぁ、もちろん。」
――バゴーーン!
いやなんで撃つんだよ!
「使うかい?」
「い、いえ……まだ大丈夫です……。」
「そうか……ここには大抵の物はあるから欲しかったら言ってくれ。」
当分お世話にはなりたくないです……。