月面に雨が降る
大いなる未来への希望とは、膨大な不安とどれだけの違いがあるというのだろうか。月面にただ一人、立ち尽くすかの如く、この寂しさは形になるとでも言うの。この雨はきっと、雲から降ってる訳じゃない。振り返る事も怖いけれど、前に進む事さえ恐ろしいのです。
月がこれから先も、正面を見せて浮かぶことに恐怖を覚えます。何も解らない私は、月面に足を付けた未来への一歩ですら、怯える事しか出来ない。どうして先へ進めるというの、例えその裏側を見せてくれたとしても、解消でさえ不安なんです。
月面にただ一人、立ちつくして雨が降っている。乾燥した大地に触れた水は、まるで無いものかのように消えています。これを希望と言うのなら、その引き換えの不安は大きすぎて、私がそれを持つには重すぎる。この悲しさ、誰が受け止めてくれるの。
十八番目の天体が、私を監視しています。正面を常に向けて、貴方は逃げられないと、訴えかけるのです。見てくれている人は他に居ない、この寂しさは癒されない。希薄な望みである事は知っていて、それなら絶ってくれた方が生きていけるでしょう。
強制的な未来への飢望とは、膨れ上がる不安ともに訪れている。それをただ一人受け止めて、どうしようもなく立ち尽くす、この寂しさを誰も見てくれない。この雨はきっと、雲が私の為に降らしてるの。振り返る事なんて出来なくて、何も見えないまま歩かされるのです。
月面にただ一人、立ち尽くして雨を見ているの。寂しいよ、悲しいよ、誰かこの手を掴んでよ。でも、ここには声を伝える空気も無くて、伝えたい相手さえ居ないのです。
大いなる未来への希望とは、膨大な不安とどれだけの違いがあるというのだろうか。月面にただ一人、立ち尽くすかの如く、この寂しさは形になるとでも言うの。この雨はきっと、雲から降ってる訳じゃない、空虚な心を埋めようと、願ったものだったんだ。
当然真っ暗足場も無くて、月を呪いながら、月に呪われているの。それが生きるって事なんだ