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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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88.ボロボロチームの成長と余裕

「公女、ひとまず置いておきます。

こんな感じで合ってますか?

それとこの葉っぱは洗浄しておきました」

「まあまあ、ありがとう。

お肉の大きさもバッチリね!」

「それじゃあ、残りをやっつけたらまた持ってきますね!」

「ええ、助かるわ」


 ローレン君がまずは半端に私が切り取っていたお肉の塊を丸々1つ処理して持って来てくれたわ。


 お肉を綺麗に削ぎ落とした殻をお盆のように再利用しているの。

あのバナナの葉っぱっぽい草も再利用を考えてくれているなんて、あちらの世界のサステナブルね。


 使い方が合っているのかは聞かれても困るわ。

前世お婆ちゃんだった頃の言葉だし、ネット環境も無いから調べられないもの。


 間違いないのは、ローレン君も素敵な若者だということね。


 遠ざかる彼の背中にキラキラした視線をお見舞いよ!

彼のお昼のお肉もお婆ちゃん、増やしちゃう!


 まあそれはさておき、そんなボロボロチームだった私達も、この1年で蠱毒の庭に飛ばされても落ち着いて魔獣を狩れるくらいに成長したのね。


 初合同訓練であの上級生達に散々ダメ出しを食らったのも、当時の4年Dクラスとの合同研究でラルフ君のお兄さんが組むグループに手ほどきを受けたのも、食料を寄付して孤児達に喜んでもらえたのも良かったのだと思うわ。


 ラルフ君のお兄さんは卒業後、次代の領主としてあの塩害地域の復興に尽力しているの。


 当時のお兄さんグループは現役冒険者パーティーとして仲間を何人か増やして活動していて、ラルフ君もローレン君も時々そこに混ざって訓練をつけてもらいつつ、寄付の調達もしているわ。


 うちのクラスの人達は皆似たようなものね。

1年前はボロボロ、1年経った今は成長して見違えた姿よ。

ちゃんと指導してくれる人達からの、命のかかった実戦て大事ね。


 余談だけれど、私のキャンプ飯の腕前や調味料に調理道具も進化したのよ。

あのオネエな王家の影、ガルフィさんにも時々進呈して喜ばれているくらいに。


 ほら、こういう葉っぱを手頃な長さに切って編み込んで、簡易のお皿をパパッと作れるようにもなったわ。

抗菌効果のある笹風な香りのお皿の出来上がりよ。

葉っぱの量が多いから、たくさん作れそう。


 そんなこんなで2年Dクラスの各グループは、仲良しこよしのグループというよりも仲間(パーティー)と呼ぶべき結束力を持つようになったの。


 そういう背景もあって家格君達と違ってこんな危険な場所でも、自分を見失わずにすべき事を冷静に、淡々とこなしていられるんじゃないかしら。


 魔獣であっても命を軽視しない事、次にすべき事を念頭に入れて今の行動を決めるって、ある意味生きる希望とか執念に繋がるもの。


 家格君達だけならあのムカデをただ殲滅して終わりでしょうね。


 そうね、ただ目の前のムカデを殲滅するだけなら魔力消費なんて考えずに、ムカデの出てきた穴に水を張って土蓋してグツグツに沸かせてしまえばいいのよ。


 もちろん全て魔法で処理するわ。

その方が早いもの。


 ムカデの毒液が体中を巡って食べられなくなるでしょうし、滲み出て毒水になった水は気が向けばそこら中に撒き散らしているわね。


 魔獣()()の普通の害虫なら、その水で殺せそうだもの。


 でもそれは何の生産性もない、その場凌ぎ。


 それに魔獣だらけの場所だもの。

魔力を温存しながら討伐しないと、いつ何に襲われるかわからない。


 私達グループが生き物の命を狩るのは必要な場合か、相手が殺意を持って襲って来た時よ。

それも素材は無駄にしない方法で、手間はかかっても長く戦える方法を選択したいものね。


 これは時に素材の提供を要求される冒険者としても、どこかに所属する魔法師としても必要な素養よ。

その素材が商品となって流通しているのだから、この世界に生きる人に等しく必要な素養だと言えるはずなの。


 この世界全ての人が利用頻度に差はあれど、魔獣の恩恵にあやかっているのだもの。


 けれどやっぱり私の1番はせっかくの学生を満喫しながら合同訓練をする事かしら。

遊び心や状況を楽しむ余裕がないと勿体ないわ。


 純粋に青春(あおはる)を楽しめる時間は案外短いもの。


 パチ、パチ。


 小さく炭の火が爆ぜたわ。

さあさあ、次の行動ね。

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